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第35話 十三という数字は不吉な法則について

 第二職員室の近くまで行くとその奥にある階段で集まっていたのでそこ駆け寄ると新堂の毒のある一言をが迎えてくれた。

「遅いわよ。もう少し機敏に動くことはできないのかしら? まあ、ここで説教をする気もないし調査を再開しましょうか。次の七不思議は十三階段よ」

「それはまたトイレの花子さんに続いてベタなのが出て来たな。けど、これもどうせ一味違うんだろ」

「ええ、そうよ。いつも十二段のはずの階段が放課後には十三段になっていて、それをのぼってしまうとあちらの世界へ連れて行かれてしまうというものが普通なのだけどこの階段だとあちらの世界はあちらの世界でも異世界に連れて行かれるそうよ」

「異世界ってどこのラノベだよ」

 ラノベ作家を目指している俺としては興味深い話だし、最近は異世界もののラノベが人気だからそれは試してみたいと思う生徒がいたとしてもおかしくはなさそうだ。

「意外とここは人気でね。どうしてそんな噂が流れるようになったかは知らないけど、試す人が多くて生徒会は困っているみたいだからここは確認しておくべきね」

「それじゃあ、俺がのぼるよ」

 どうせこいつは自分から試す気はなさそうだし、他のメンバーに肉体労働を強いるのは可哀想なのでここは俺がやるとしよう。

 そして一段一段ゆっくりとのぼっていく。

「十二……あれ? ここで終わってる。十三段もないぞ」

 数え間違えかもしれないともう一度試してみたが結果は変わらない。

「場所を間違えたとかじゃないよな」

「そんな初歩的なミスするわけないでしょ。でも何か見落としいるのかしら? この七不思議は結構、曖昧な情報ばかりだったし」

「じゃあ、誰かに聞いてみるか?」

 学園の裏サイト。

 ここなら最新の情報が、あわよくば実際にのぼった生徒から階段のことについて聞き出せるかもしれない。

「なるほど。確かにそっちの方が良いかもしれないわね。それじゃあ、早速調べておいて」

「何々先輩? 内緒話ですか? 愛梨も混ぜてくださいよ」

「こら。邪魔をしたら駄目よ。時間も時間だしこれからは二手に分かれて調査をしましょうか」

「この調子だと日が暮れるからそれが良さそうね。それじゃあ……」

「はい! 私は先輩と一緒が良いです。新堂さんばっかり先輩と話してるのは不平等です」

 流石の新堂と愛梨の押しには敵わないらしく、珍しく人の意見を聞き入れた。

「分かったわよ。それじゃあ、こういう風にするからそっちはせいぜい階段の謎を解いておくことね」

 こうして俺、愛梨、葵。そして新堂、八ツ寺、啓で二手に分かれて引き続き七不思議の調査をすることになった。

 蓮にとってこれは計算外で堕天使候補のうちの二人も動向が確認できない状況に陥ってしまった。しかし、ここで二手に分かれることを反対すると怪しまれてしまう。

 この階段の調査を早めに終わらせて合流すればいいだけの話だ。

「さて、じゃあ俺は詳しそうな人から聞いてみるから二人は階段のところに怪しいところがないか確認してくれ」

「はい! 先輩のために私頑張ります」

 返事をするや否や目を皿にして隅々まで確認していく後輩の後ろ姿は何とも頼もしい。そんなことを感じているとふと葵が口を開く。

「ねえ、蓮。少し聞きたいんだけど新堂さんとは仲が良いの?」

「どうしたんだ急に? 別にあいつとは最近知り合ったばっかだし、持ちつ持たれつって関係かな」

「そう……それなら良いんだけど」

 何その反応?

 それは俺が別の女と話ていたからやきもちを焼いているというのか?

 何だよそれ。俺の幼馴染可愛すぎかよ‼︎

 けど、今は我慢だ。後でゆっくり相手をしてやるとして今はこの十三階段の謎を解こう。

 他人の知識を借りて。

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