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夏休み特別編 夏はやっぱり水着回の法則について

 鬱陶しい蝉の鳴き声が部屋中に鳴り響く。

 蓮たちは暑さに項垂れていると活発な方の幼馴染が突然押し寄せ、蝉の声をかき消すほどの大声で恵は叫んだ。

「夏といえば海だよ!」




 ということで俺たちは海へ行くことになった。移動は電車で片道数時間のところにある人気の少ないところだ。

 夏には決まって三人でここに来る。

 この近くにある民宿のおばさんとは子供の頃からの知り合いで今回も泊まらせてくれることになっているのだが……。

「それにしても今回は随分と多いな」

 リリエルは家に置いて行くのは可哀想だし、何をしでかすかわかったものではないから同行するのは頷けるが五十嵐、新堂、柊たちまでも来ているのかわからない。

 もしかして暑さのせいで幻覚でも見ているのだろうか?

「海は危険です。何かあった時のために救護要員は必要です。その役目は私が引き受けますので皆さんは怪我のないように楽しんでください」

「こんな面白そうなこと私が見逃すはずがないじゃない」

「私はただ誘われて特に断る理由もないし、行ってあげても良いかなって」

 ああ、残念ながら現実のようだ。

 男子生徒から人気のある美女揃いだが、面倒な連中ばかりだ。

「唯一の救いは委員長も参加してくれたことだけだよ」

 この人数を捌き切れるほどの精神は持ち合わせていないのでまとめられる人がいるというのはありがたい。

「私の方こそ誘ってくれてありがとう。それじゃあ、電車も来てるから行こうよ」

 進行役は委員長に任せて海へと向かう。

 



「いや〜、海は良いな」

 海が青いのは空の色が反射しているからと聞いたことがある。それに地球の七割ほどを占めているこの海は壮大で自分をちっぽけな存在だと気づかせてくれる。

 が、何と言っても一番輝くのはこの季節。

 夏である。

 この暑さを海の冷たさで吹き飛ばそうと人は服を脱ぎその肌を晒す。まあ、要は水着が見れる。

 次々と更衣室から水着に着替えた女性陣が浜辺に集まる。

 恵は活発的な性格が表に出たようなオレンジ色のホルスターネックの水着だ。ヒラヒラの部分がお気に入りのようで元気に砂浜を駆け回っている。

 一方、葵は白と青色のパレオでかっこよく決めている。若干、着慣れてない感があるけどそれも良い。

「何をニヤニヤと見つめているの。通報されるレベルの顔よ」

 黒いビキニでその抜群のスタイルを披露する新堂は相変わらず憎まれ口を叩いている。

「仲良くしてください。折角の海なんですから喧嘩はしないで楽しみましょうよ」

 と仲介に入った委員長は水玉模様のサロペットを着用しており、新堂の横に立っていてもそのたわわな胸に目がいってしまう。

「そうだぞ二人とも。海には危険がいっぱい潜んでいる。怪我をしてから後悔しても遅いぞ」

 最後に五十嵐。

 この流れで二人に匹敵するほどのスタイルの持ち主である五十嵐に期待をするのは必然というもものだが、彼女の水着は競泳水着だった。

「どうした東雲。この水着がそんなに変か? 機能性に優れ、誰かが溺れた際にすぐに救出に行く時に役立つので総合的に考えてこれが最適だと思ったのだが」

「そ、そうか……」

 気にした方が負けだ。

 折角の海なので今回は目一杯楽しむことにした。

 定番のスイカ割りやビーチボール。運動は苦手だがこの時だけは夏の海が与えてくれた謎エネルギーのおかげで体が羽のように軽く、気がつくと日が暮れていた。

 民宿では別々の部屋で泊まることになったが、男である俺はたった一人で静かに夜を過ごすことになる。

 そして翌日には帰宅することになったが、その途中で気になったことを事の発端である恵に聞いてみた。

「夏休みの宿題は終わってるのか?」

 残りは今日を含めてあと数日。

 これまで宿題をしている様子は微塵も見せなかったのにこんなに遊んでいて大丈夫なのだろうか……って、恵は冷や汗を流しているのだが。

「やってないんだな」




 夏休みは計画的に。

今回は初の特別編ということで今後も機会があればこのような回を設けていきたいと思っていますのでよろしくお願いします。

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