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第27話 純粋な質問ほど返答に困る法則について

 保健室に戻ると目を疑いたくなるような光景が広がっていた。

 まるで強盗にでも押し入られたかのように荒れており、地べたに座っていた恵がこちらに気づきはいはい歩きで近づいてくる。

「あ、蓮だ〜。も〜遅いよ〜」

 何か様子がおかしい。こんな状況だというのに慌てていないところから察するに恵がこの状況を作り出した張本人ということだ。

 しかし、恵はこんなことはしない。五十嵐なら納得できるがこれは……。

「なあ、俺にいない間に何があったんだ?」

「う〜んとね。実は美味しそうなチョコがあって、ほわ〜んとした匂いがしたから気がついたらそれを食べちゃってて〜それからはあんまり覚えてない」

 リリエルから預かった天界のお菓子が原因か。鞄にしまっていたはずだが……。

 いや、食べてしまったのは仕方がない。こうなったら想い人が誰かを聞くこの機会を逃さないようにしなくては。

 この効果は長くは続かない。三十分程度で切れてしまい、人間が食べすぎると悪影響が及ぼすということで二度も同じ手を使うわけにはいかない。

「そうか。なあ、五十嵐のことをどう思ってる?」

 まだ食べてからそう経っていないはず。となると急ぐ必要はない。となると効果がどれくらいのものか確認してみることに。

「何だか怖いかな〜。けど、基本良い人だよ」

「なるほど。それじゃあ、俺のことはどう思ってる?」

「好きだよ。昔からずっと蓮が大好きだよ」

 いやいや待て待て。まだ慌てるような時じゃない。日本語ってのは難しく、好きにはライクとラブの二種類がある。

 恐る恐るそのどちらかを確認するための質問を投げかけた。

「そ、それは異性としてか?」

「うん。そうだよ!」

 満面の笑みを浮かべる恵。

 これは初っ端なから核心に触れてしまった。恵の想い人が俺だったとは……。

「ねえ、蓮は私のことをどう思ってるの?」

「お、俺か⁉︎」

 唐突な質問に声が裏返ってしまう。

 ここで何と答えようとも忘れる。つまりは適当に答えても問題はないが、それは恵の気持ちを軽視しているみたいで自然と言葉が詰まる。




***




「あれ? もしかして私寝ちゃってた?」

「そうだよ。起こすのも忍びなかったからそのままにしておいたけど三十分くらい眠ってたぜ」

 結局、あの質問に答える前にお菓子の効果が切れて恵は眠りについて今に至る。やはりその時の記憶がないようで戸惑いを隠せないでいる。

 だが、帰り道の途中にこんなことを聞いてきた。

「ねえ、私変な寝言とか言ってなかったよね」

「いや、何も言ってなかったけど」

「そっか。良かった〜。変な夢見ちゃったから心配したんだけど」

 勘が鋭いのかそれともリリエルが持ってきたあれの効果が弱かったのか。どっちでも良いけどこれで二人の想い人は特定できた。

 二人とも俺を想っていてくれたのは嬉しい誤算だが、この状況をどうしようかと頭を悩ませていると新しい悩みの種が舞い込んできた。

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