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第23話 球技は得意不得意がはっきりと分かれる法則について

 球技大会。

 バレー、サッカー、軟式野球の三種目の球技が行われるこの大会は各クラスが三種目全てに参加者を出して優勝を目指すという学校行事で、優勝商品が学食無料券ということもあって運動部はやる気勢が多い。

 しかし、部活に入っている生徒は自分が所属している部活の種目(バレー部ならバレー)には参加できないというハンデがある。

 これはそのクラスに三種目の内、どの部活にも所属していないという生徒しかいないという偏りのせいで平等性が失われるのを避けるためだ。

 男子はサッカーと軟式野球、女子はバレーに参加するということになっており、これでも余ってしまう生徒がいるのでその人たちは応援という形になっている。

 ちなみに応援も別に強制ではないし、教師は自分のクラスを応援したりと忙しいのでそれを利用して空き教室でゲーム大会を開いている生徒もいるとかいないとか。

 蓮は今回、生徒会の手伝いをするためどの種目にも参加せず行けたら応援に行くということになった。

 ちなみに恵とリリエルはバレーに参加することになったという。そういえば一週間くらい前から二人で出かけていたが、今思えば今日のために練習をしていたということか。

「折角の学校行事なのにこんなことに付き合わせてしまって悪いね東雲くん。葵くんから何度か話は聞いているよ。説得の件ではお世話になったね」

 この人は生徒会長の千秋 優。葵の想い人、筆頭候補だ。

 物腰が柔らかく、仕事のできる男。

 あのサッカーのエースよりも好感が持てる相手だ。女子の人気もそいつほどではないが、そこそこあるようでバレーの応援をしている最中でも何度か話しかけられていた。

「別に俺はちょっと話をしただけですよ。でも生徒会長はここにいて大丈夫なんですか?」

「うん。東雲くんのおかげで球技大会は順調に進んでいるからね。ちょっと様子見とお礼を言いにね」

「そうですか。じゃあ、ついでに聞きたいんでけど葵って生徒会だとどうですか? 幼馴染として少し心配で」

「良くやってくれているよ。他の役員たちとも仲良くなっているし、東雲くんが心配しなくても大丈夫さ」

 無難な回答だ。

 俺のジャブにもしっかりと対応するあたり流石生徒会長と言ったところか。しかし、この様子だと葵の想い人がこの生徒会長だとひても本人は気づいてなさそうだな。

 だって顔からして朴念仁だもん。

 いや、失礼なのは承知だけど何度見ても朴念仁顔だよ。数多のギャルゲーを攻略してきた俺にはこの人はそういう人だと直感でわかる。

「それじゃあ、僕はこの辺で。また何かあったらよろしくね」

 まだ試合は終わっていないが、他のところの様子にでも行くのかそのままバレーコートから姿を消した。

 先ほどのやり取りから一筋縄ではいかない相手だということは分かった。まず勝手に決めつけているが葵の想い人があの生徒会長なのかどうかを確かめなくては。

 けど今までみたいにのんびりやってたら球技大会が終わってしまう。

 矢内先生の提案で委員会の人たちも別でやるが場所が違うだけで期間に変わりはない。葵は今そっちの方にいるだろうがこの短時間ではやはり両方を同時に幸せにするのは至難の技だ。ここは葵に専念して次に恵を……。

 といつものように合理的な判断を下そうとしたが昨日見たあの笑顔を思い出してその考えを捨てた。

 幸せにするなら二人一緒にだ。

 どっちが先でどっちが後かなんてことより、その方法を考えようと頭をフル回転させる。

 そして次の瞬間、蓮の頭に強い衝撃が走る!

 彼の顔面にバレーボールが直撃したのだ。

 それも狂人であり、同じ人間とは思えない強靭な肉体の持ち主である五十嵐が放った強烈な一撃で蓮の視界は真っ暗になった。


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