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第13話 何だかんだで幼馴染の手料理が美味しい法則について

 昨日は有意義な時間を過ごせた。

 幼馴染とイチャイチャしてただけだって?

 それの何が悪い?

 例えば好きな異性がいるとする。幼馴染でもいいし、謎の多い転校生でもいい。その人と喋ることができるとそれだけでその日は何だか幸せな気分になれる。

 俺にとって幼馴染との時間はそれに匹敵する。つまりは必要経費というやつだ。

 正直、情報収集なんて面倒なことはやっていられない。幼馴染である恵のためだからこそ必死になってやっているが、他人ならばまずここまではしない。

 しかし、面倒なことでもやらなくてはいけない時もある。夏休みの宿題も面倒だと後回しにしていると最後の日になって苦労することになる。ちなみに恵はいつもギリギリになってから俺に助けを求めに来るタイプだ。

 そんな恵は放課後にまた一緒に下校しようと誘ってきた。

「え? 今日も……か」

「もしかして用事があった?」

「いや、ないけど連続で休みなんて珍しいな」

 また恵と一緒に帰れるのは嬉しいが、幸せなことが連続して起こると逆に不安になってくる。

「先生が病気でしばらくお休みだし、男子の方が練習試合近いからって使えるコートが少なくてレギュラーメンバー以外は部活ないの」

「ふ〜ん、そっか。そんなこと珍しいから少し驚いただけだよ。けどもうクレープは奢らないからな」

「分かってるよ。でも代わりにちょっと買い物に付き合ってよ」

 二つ返事で答えると恵は商店街へと歩を進めた。

 買い物と言うからてっきり服でも買うのかと思ったが、晩飯の食材を買うだけで終わる。

「今日はお母さんが仕事で遅くなるからご飯が私が作るの。蓮も食べていきなよ」

 幼馴染の手料理。

 親の手料理よりも食したそれは俺の胃袋を鷲掴みにしている。特に恵の料理は凄い。

 ラブコメ作家を目指している身として凄いの一言で済ませてしまうのはどうかと思うが幼馴染云々をなしにして凄い。

 運動できるキャラは総じて料理はからっきしかと思いきや既に恵は花嫁修業始めている。幼馴染として俺が良妻になることをここに宣言しよう。

「ああ、お言葉に甘えさせてもらうよ」

 俺は恵の手料理が食べられるとウキウキしていたのだが、恵の部活休憩期間が一週間も続いてサッカー部に羽鳥のことを聞く絶好の機会を逃してしまった。これは大きな痛手だ。

 まあ、恵の手料理は相変わらず美味しかったから気持ちを切り替えていこう。まず五十嵐が言うには裏がありそうな可能性がある。俺はそれをまず確かめつつ、恵の意中の相手があいつなのかを判断しなくてはいけない。

 これは一人では厳しい。あまり使いたくない手ではあるが仁那の時と同様に俺の本当の目的を知らせないで協力関係を結んでいこう。

 今回の相手は新聞部部長、新堂 箕良。この学園の問題児の一人で五十嵐のような狂人ではないが自分が気になったこと、知りたいと思ったことはどんな手を使ってでも徹底的に調べ尽くすという変わった人だ。

 彼女を味方にすれば怖いものはない。

 ただしそう上手くいかないのが世の常で新聞部の部室に行き、直接頼み込んだが返事はノーの一言だった。

「確かに羽鳥 潤のことについては調べようとしているけど、貴方の力はいらないわ」

「じゃあ、俺が使えることを知ってもらわないとな」

「ええ、それが出来たのなら今の提案を引き受けてあげてもいいわ」

 試されているようではあるが今はそんな些細なことを気にしている場合ではない。まずは彼女を認めさせるために奔走する。

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