あの子とたっくん
「いっいらっしゃませ」
声が裏がえり、何かちょっとおかしい感じだった。
「たっ君。おちついておちついて」
何てこいつに言われると何かムカつく。
あの子に対してどんな態度をとれば良いのか?気持ちがあたふたとした。
仕事に専念して気を紛らわせようとしても、何かギクシャクしてしまう。
そんな俺に対して、店長が、
「松本君大丈夫?」
「だっ大丈夫っす」
声が裏がえり、自分でも思うが大丈夫じゃないかも。
そんな俺を心配した店長は、ちょっと早いが休憩をもらった。
事務所でたばこを吸って、とにかく落ち着けと深呼吸を繰り返した。
何なんだよこの気持ち?
すると言葉にもしていない俺の心の中を読んだのか?橘が、
「それは恋だよ」
何て言われて、俺は叫びたい気持ちを押し殺して、
「ああん?」
と鋭い視線を橘に向けた。続けて俺は、
「あんたはもしかして俺の心を読めるのか?」
「いや、心は読めないけど、たっ君の態度を見ていたら分かるよ」
『今すぐ俺の前から消えろ』と大声を上げてぶっ飛ばしたいが、叫ぶ訳にもいかないし、こいつに物理的攻撃は通用しない。
だから俺はその目を閉じて、たばこを吸う。
少しだけ落ち着いた。
休憩時間を終えて、先ほど橘が言っていた『それは恋だよ』と言う気持ちを受け入れられるように不思議となってきた。
そういえば俺の人生の中でも、何度かそういった気持ちになった事が合ったっけ。
具体的に思い出すと、また俺は壊れそうな気持ちに翻弄されそうになったが、とりあえず思い出さないように、仕事に専念することで気を紛らわせた。
それよりも、何か胸が熱く、心臓の鼓動か張り裂けそうになる程に高鳴っている。
素直な気持ちに問いかけると、俺は気づかぬ内にあの女の子が好きになってしまったのかもしれない。
相変わらず女の子は遠くから俺を見つめている。
また目が合って、女の子は意を決したかのように、店の中に入ってきて、俺に近づいてきた。
女の子は顔を真っ赤にして、何か怒っている感じの態度だった。
「ねえ、これ」
そういって昨日貸した折りたたみの傘を俺に差し出してきた。
「おう」
と返事をして受け取り、続けて俺は、
「風邪ひかなかったか?」
すると女の子はさらに表情を紅潮させ、
「はあ?何で私があんたに心配されなきゃいけないの?」
何で俺は怒られなきゃいけないんだ?
「とにかく余計なお世話よ」
そういって、昨日貸した折りたたみの傘を俺に押しつけて、ピューと帰ってしまった。
そのやりとりを店長や周りにいるお客さんの注目を浴びてしまった。
そんな人たちにどんな顔をすればいいのか?俺はとりあえず「いらっしゃいませ」と笑顔を取り繕った。
その後、店長に呼び出されて、『あの子に何か失礼な事をしたの?』とか言われて俺は『いや別に』と言って、店長に『ちゃんと仕事をしてね』何て注意を受けてしまった。
帰り、思いもよらない出来事に心はひどく傷ついていた。
じろりと俺の横でふわふわと、とりついている橘に視線を向けて、
「何が俺の誠実さにひかれただよ。全然そんなようすじゃなかったじぇねえかよ。おかけでひどい目に合ったし、すげー傷ついたよ」
何て言って、以前生きていれば良い事あるなんて信じた俺がバカだと本気で思った。
「フフ」
何か橘が笑っているのに本気で憤って、もはや俺の堪忍袋の尾は完全に切れていて、もはや本能が理性をりょうがして人目もはばからず、
「何がおかしいんだよ」
と罵ってしまった。
その瞬間に理性を取り戻して、辺りを見渡すと俺の事を変質者で見るような白い目で見られてしまい、深呼吸をして気持ちを落ち着けて帰った。
家に到着して、俺は叫びたい怒りをこらえながら冷静に橘に言う。
「お前どうしたら、俺の前から消えるんだよ」
「それは僕にも分からないし、今朝の事で怒っているなら、それは誤解だよ」
「何が誤解なんだよ。お前の言っている事なんて何もかも嘘じゃねえかよ。何が誠実な俺を見ている奴がいるだよ。全然そんな事ありえねえじゃねえかよ。おかげで恥をかいたし、傷ついたよ」
「・・・」
その目を閉じて笑う橘。
「何笑ってんだよ」
「・・・」
相変わらずの橘。
とにかく俺は呆れてしまい、今度こそ、こいつと口を聞くのもやめようとした。
その後俺は、気分を癒されようと、美少女巫女奈々のDVDを見ることにする。
この主人公の奈々は少し間抜けなところはあるけれど、かわいくて素直で正義感のある純情な女の子だ。
現実の女は俺の事なんか見向きどころか嫌悪され、俺は傷つけられるだけ。
何が、俺の誠実なところを見ている奴がいるだよ。
信じた俺がバカだったのだ。
まあそれはそれで良いとして、楓ちゃんの事は別かな?あの嬉しそうな笑顔を見せてくれて・・・いや女なんかみんな悪魔のような奴ばかりだよ・・・いや自分の気持ちはそうは言っていない。あの楓ちゃんの嬉しそうな笑顔を否定してしまったら、何かいけないような気がするのはどうしてだろう?
それで俺は複雑な気持ちに陥る。
いや現実の女なんか、みんな学歴や収入ばかりを気にするような最悪な奴ばかりだ。
でもそう言い切ろうとすると、あの楓ちゃんの笑顔が頭によぎり、そうは言い切れず、何か自分はとても素直じゃなく、小さなガキのような感じで何かみっともなく思ってしまう。
じゃあいったい何なのだろうか?分からない。
そんな気持ちの整理もつかないまま、朝を迎えて、俺はいつものように出勤する。
今日はあの子は来ないだろう。
いや来たら、どんな対応をすれば良いのか気持ちがあたふたとしてしまう。
仕事中もライフスタイル全般にこいつにとりつかれたことにも慣れてきた。
今日はおはようの挨拶しかしてこなかったが、それでも俺はこいつの嘘をつかれて憤って俺はシカトしたんだっけ。
いつものように品だしをしていると、橘が、
「たっ君」
俺を呼び、指さす方向を見ると、いつも俺を見つめてくる女の子がいた。
目が合って、一瞬女の子は目を丸くして驚いたような表情をしていたが、すぐに嫌悪的な表情に変わり、俺は何か気分が悪い。
とにかくそんな顔をされて見つめられると、不快な気持ちに陥りそうなので、すぐに反らして、仕事に没頭した。
何で、俺はあの子にそんな目で見られなきゃいけないのか?別に俺はあの時、傘を貸しただけで、彼女に恨まれるような事をした覚えはない。
俺の何が気に入らないって言うんだよ。
再び彼女の方に視線を送ると、彼女はおらず、とにかく消えてくれたことにほっと胸をなで下ろした時、店内に入ってきた。
とりあえず俺はお客として迎え、「いらっしゃませ」と言うのだった。
嫌悪的な表情をしながら、俺に近づいてきた。
「ねえ」
と声をかけられ、
「はい」
と返事をする。
「何私の事、じろじろ見ているのよ」
『見ているのはそっちだろ』と言ってやりたかったが、昨日みたいなトラブルにならないように、俺は不本意だが「申し訳ありません」と謝って置いた。
すると女の子は顔を真っ赤にして「ばか」と言って俺の頬を思い切り叩いて、去っていってしまった。
しばらく呆気にとられて、叩かれた頬をさすると、じわじわと痛みが滲みだして、本当に俺は泣きそうだった。
幸いな事に今日はあまりこの時間お客さんが入っておらず、注目の的にはならなかったが、店長に『注意してね』と言われてしまった。
それはそれで良いとして、どうして俺はこんな目に合わなきゃいけないのか?橘の方を見ると、何がおかしいのか「フフ」と笑みをこぼしていた。
「笑い事じゃねえだろ」
怒りをかみしめて、橘にしか聞こえないような小さな声で言った。
どうして俺ははたかれなきゃいけないのか?そんな事をばかり考えながら、仕事をしていた。
だったら俺もぶち切れて、叩いてやりたいと思ったが、女性に暴力はいけないだろう。
思い出したくない事が頭の中に浮かんだが、とにかく思い出さないように仕事に専念して、気を紛らわせた。
帰り道、俺は俺にとりついている橘に不服を言う。
「何が俺の誠実さに惚れただよ。それで何で俺はこんな目に合わなきゃいけないんだよ」
すると橘はため息をついている事に俺は憤り、
「何、ため息何てついているんだよ」
そういって、横で浮遊している橘に視線を送る。
「気づかないかな?たっ君」
「ああん?」
意味の分からない事に俺は不快な声を漏らす。
「僕の口からではなく、本当はたっ君自身に気づいてもらいたかったけど、もうあの子はたっ君にベタ惚れだよ」
「何を・・・」『根拠にそんな事をいっているんだって』罵りたかったが、ここは人通りの多いオフィス街で、昨日と同じようになったら、また俺は不審者を見る目で見られるので我慢した。
俺は今本気でこいつに消えてもらいたい。
何でそんなでたらめな事を言うのか?本当に信じられない。
俺は本当に傷ついたんだよ。
罵られたあげく、ついでに頬まで叩かれた事に。
本当に女は信じられない、それは楓ちゃんも含めて。それと嘘を俺に吹き込むこいつも。
何がベタ惚れだよ。
冗談にも程がある。
やっぱり現実の女は本当に信じられない。
だからそんな女は想像力のないリア充にでも、任せておけば良いのだ。
俺は俺でリア充とは違うオタクだし、今秋葉でブームの美少女巫女奈々の事を思っていれば良いのだ。
帰ったら昨日と同じように弁当でも食いながら、美少女巫女奈々のDVD鑑賞と行くかな。
早速帰って、シャワーを浴びて、先ほどのコンビニで弁当と一緒に買った五百ミリリットルのビールを二本テーブルの上に置く。
今日合った事を思い返すと、ビールが進む。
マジで飲んでいなきゃやってられない。
何が誠実な俺を見ている奴がいるだよ。
それにあの子は俺にベタ惚れ何て橘はでたらめな事を言う。
飲んでいる俺を見て橘は言う。
「お酒に頼る事もたまには良いけど、飲まれすぎないように気をつけるんだよ」
「うるせーよ」
「・・・」
黙り込む橘。きっとこんな俺を見て呆れているんだろう。
朝起きた時、すさまじい頭痛が生じた。
時計を見ると午前七時を示していた。
とにかくコップに水をくんで一気に飲み干して、少し楽になった。
何かすごく憂鬱な気分で俺は優れない。そんな俺に対して橘が、
「たっ君おはよう」
「あんたいつ成仏するんだよ」
「何度も言っているけど、僕にはこの世に未練を残したまま死んじゃったからね」
暢気に笑いながら言う橘。
本当にこいつを見ていると、マジでムカつくし、本当にろくな事がない。
今日行けば、明日は休日だ。
仕事に行く途中俺は考える。
橘に聞くとあの子は俺にベタ惚れと言っていたが、何だろうか、それは信じても良いんじゃないかと思ってしまった。
俺も昔、好きな子に対して、意地悪したり、時には嫌悪なふりをして、構ってもらいたさにそんな事をしていた。
だからあの子も同じなのかな?
いやそれは俺の妄想だろう。
誠実に生きたって良いことなんかないだろう。
相変わらず橘が俺の周りを浮遊しながら、ついてくる。
マジでうざい。だから俺は、
「どうしたらあんたは成仏するんだよ」
「やっぱり未練を解決させる事かな?」
ふと視線を上に向け考える仕草をする。
「やっぱりあんたが請け負っている生徒の事が未練なのか?」
「だと思うんだけどね」
こいつの請け負っている生徒は数え切れないほどいる。
以前俺に心を開いてくれた楓ちゃんはその一人に過ぎない。
しかも楓ちゃんの件で人一人請け負うのも大変だと分かった。
まあ楓ちゃんは本当に自分の力ではダメな時に、橘を頼って電話が来ると言っていた。
そういえば二三日前、楓ちゃんから泣きながら俺のスマホにかけて来たっけ。
ふと思い出し、何か心配になった。
仕事中、あの子が来ないことを俺は祈った。
でもその祈りはもろく、昼過ぎに現れたのだった。
店内に入ってきて鋭い視線を感じるが、俺は見ないようにして視線を反らしていた。
見たら見たらで、また因縁つけられそうだからだ。
そこで橘が、
「今日はそう来たか?」
楽しそうに俺にとって意味深な事を言っていた。だから俺は、
「何がそう何だよ」
と聞いてみる。
「とにかくそのまま反らしていたら、彼女に失礼だよ。ちゃんと見てあげなよ」
「見てどうする?」
「いいから」
橘にそう促されて、彼女の方を見ると、今日は制服ではなく、フリルのついた白く長いロングスカートにデニムのジャケットを羽織り、髪は栗色に染めあげ、顔にはお化粧を施していて、とても魅力的な感じで見ている俺は心奪われそうだった。
そして目が合うと、彼女が目を丸くして驚いたと同時になぜか胸の鼓動が高まった。
だが、彼女はすぐに頬を膨らませ鋭い視線で俺を見て、俺は『また因縁付けられる』と思ってすぐに視線を反らした。
すると彼女はその鋭い視線を俺に向けながら、近づいて来た。
「ねえ」
「はい」
俺はなぜかビビってしまって、声が上づってしまった。
彼女は何か視線を斜め下に向け、
「・・・・なさい」
何か言っているが、あまりにも小さくて俺は聞き取れなくて、「ごめんなさい。ちょっと聞こえませんでした。もう一度良いですか?」とお客様口調でそういって耳を彼女の方にそばだてた。
「だから・・・・・・・なさい」
また小さくて聞こえなかった。
何か彼女の表情を見てみると、何か俺に疚しげな感じだったので、そこでピンと来て昨日俺にピンタした事にわだかまっている感じだが、実際それは分からないので、「ごめんなさい。小さくてちょっと聞こえないです」とその真意を聞いてみる。
彼女はその俯いた視線を俺の瞳に突きつけ、
「だから昨日はごめんなさいって言っているでしょ」
と大声で謝っているのか切れているのか、分からないがそれは両方だと感じた。
今日は土曜なので店長もいなくて、普段より客足があまりなくて、今は店に俺と彼女しかいない。
女の子はばつが悪そうに黙り込み、俺はこんな時、どんな事を言えば良いのか分からなかった。
俺と彼女の間に緊迫した空気が漂っている。
そんな中、橘が俺の耳元でささやく。
「たっ君。『今日はお洒落だね』って言ってあげな」
俺はテンパっていて、それは言って良い事なのか悪い事なのかの判断する余地がなくて、
「今日はお洒落だね」
と言った瞬間、俺は何を言っているんだと、後悔してしまった。
彼女は思いきりその瞳をつむって、見る見る顔がタコのように真っ赤に染まってしまい、「バカ」と罵って店から出ていってしまった。
本当に訳が分からない。それはともかく俺は橘に、
「何て事を言わせるんだよ」
「たっ君。君は何も分かっていないね」
「何がだよ」
「もう彼女はたっ君に首っ丈だよ」
『嘘つけ』と罵りたかったが、その瞬間に昔の事がよぎる。俺も好きな人に対して、構ってほしいあまりに嫌がらせや、色々な事をしたことが。
いやそれは先ほども思ったが、俺の中の妄想が働いたのだろう。すると橘は俺の心を読んだのか?
「疑っているようだけど、あの子は本当にたっ君に気があるんだよ」
『何を根拠にそんな事を言っているんだ』と怒鳴り散らしてやりたい気持ちだったが、今仕事中だし、何人かお客が入っている。それにもうこいつに怒鳴ったって、自分が虚しくなるだけで、早くこいつが消えてなくなる方法を真剣に考えるべきだと思った。
俺がこいつの事をシカトして仕事に集中しようとしたとき、橘は、
「たっ君はそんなに自分に自信がないのかい?」
それを聞いた俺は、今まで感じた事のない激しい憤りが生じて、もはや理性で止められず、俺は、
「誰のせいでこうなったんだよ」
と罵ってしまった。
『ハッ』と我にかえると、お店には何人かのお客がいて、俺は注目されてしまった。
とにかく俺は、
「申し訳ありません」
と謝っておいた。
今日は店長がいなくて本当に良かった。
もし聞かれていたら、厳重に注意を受けるか最悪の場合首にされていたかもしれない。
俺はこれで気持ちの整理がついた。
こいつといるとろくな事がない。
そういえば、あの惨劇を忘れる事は出来ないが、とにかく思い出さないように気持ちのコントロールが出来るようになった時にこいつにとりつかれ、また思い出す羽目になった。
仕事が終わって、俺は本気で決意する。
こいつを俺の目の前から完全に消えてもらいたいと。だから俺は聞く。
「何度も聞くようだけど、あんたの未練って何だよ」
「僕が請け負った生徒達かな?」
先ほどのこと悪びった気持ちもなく平然とした笑顔で答える。
「じゃああの部屋に行けばいいんだな?」
「さっきの事なら謝るよ。確かに僕の発言からして、たっ君に失礼だと思ったよ。だから自棄を起こさないでくれないかな?」
こいつははっきりと今、俺が『自棄になっている』と言った。
先ほどと同じように理性を壊されそうな程の憤りを感じたが、ここは冷静になって深呼吸して落ち着けた。
そんな時である。
俺のスマホに着信が来た。
画面を見ると楓ちゃんだった。
出るか出ないか?迷ったが、楓ちゃんは今俺にしか、自分の気持ちを打ち明ける人がいないんだ。
だから橘には許せない気持ちが存在しているが、多々の悩みを持つ楓ちゃんには罪はない。だから俺はスマホに出る。
「もしもし楓ちゃん」
通話機の向こうから、風の音がして外からかけているかも。
「もしもし。もしもし。楓ちゃん」
何か心配で気が気でない気持ちに陥り。
「楓ちゃん」
すると、風が吹く音と共に楓ちゃんがすすり泣く声が聞こえて来た。
そのすすり泣く声を聞いて、
「どうしたの楓ちゃん」
泣きじゃくった声で「助けて」と楓ちゃんが言う。
俺はもうあまりにも心許なくて、スマホに耳をあてながら走って、
「楓ちゃん。今どこいるの?」
「もう隆さんには迷惑かけないって誓ったのに・・・」
「そんな誓いは破って良いよ。今の楓ちゃんには俺が必要なんだろ。だからどこにいるのか教えてくれ」
俺はもう人目もはばからず、大声でその思いを楓ちゃんに伝える。
それで俺は手がかりのない地平線を走っていた。
そんな時である。俺たちの話を聞いて、悟ったかのような様子で、橘が、
「スマホのGPS機能を使って見たらどう?」
「その手が合ったか」
それで楓ちゃんのスマホに探知したが、どこにいるのか表示されない。
「通話が出来てGPSに探知されないなんて、どういう事だ。楓ちゃんに何か合ったのか?」
恐ろしく心配になってくる。
「ビンゴだよ。僕の言うとおりに行けば、楓ちゃんの居場所は分かる」