橘先生
バイトが終わって、今日はこいつにとりつかれて、いつもより疲れてしまった。
外に出て、辺りは夜の闇に包まれていた。
歩いている横に相変わらず橘が浮遊しながら俺についてくる。
「たっ君も苦労しているんだね」
俺を労っているようだが、こいつに言われるとすげームカつく。
「・・・」
だから俺はシカトして、いつも通っているスロット店に足を向ける。
とにかくこいつは時が経てば消えるだろうから、それまでシカトしていようと思う。
スロットをしている最中に橘が言う。
「たっ君、スロットをやるんだ」
何てほざいているが、とにかく無視する。
これは俺の唯一の仕事の後の楽しみなので、誰にもとやかく言われたくない。
店を出た時、今日は負けてしまった。
いらついている横で橘が、
「負けちゃったね」
「うるせえ」
と思わず叫んでしまった。
今日は一回もボーナスが出なかったので、すげーいらつく。
元はといえば、こいつ(橘)が疫病神だから俺は負けてしまったんだと勝手に決めつけ、
「てめえのせいで負けたんだよ」
「僕のせいじゃないよ。たっ君の運が悪かったんだよ。たいていのパチンコ店は店側が儲かるように設定されているからね」
そして俺は忌々しい橘の幽霊にまとわれつきながら、コンビニで弁当とサラダを買って、アパートに帰った。
テーブルの前であぐらをかいて、先ほど買った弁当とサラダと飲み物を取り出して、早速食べる。
俺が食べていると橘は、
「たっ君、コンビニの弁当はあまり健康に良くないよ」
何て、けちを付けられて、うるさいと罵ってやりたかったが、今朝みたいなトラブルにならないように、シカトして黙々と弁当を食した。
ほおって置けば、いずれこいつは消えるだろうと俺は思う。
とにかく明日は日曜だ。俺の唯一の休日だ。だから明日はスロットを心おきなく楽しみたい。
目覚めた時、またあのような夢を見てしまったようだ。
もしあいつや橘に出会ってなければ、もっと生き甲斐を感じられる職業についていたんじゃないかと思う。
でも過ぎてしまった事は本当に仕方がない。
とにかく今日は休日だ。
一週間にため込まれたストレスを、解消させなければならない。
何て考えていると、存在を忘れていたが、橘がさわやかな笑顔で、「おはようたっ君」
俺は驚いて、悲鳴を押し殺して、部屋の隅に後ずさってしまった。
「何だよお前」
改まった感じで橘は改めて、
「おはよう」
と言った。
休日なのにこいつにとりつかれたまま、過ごすのに、うんざりしてしまった。
せっかくの休日をこんな奴に壊されたくないので、俺は横で浮遊している橘をシカトしてパチンコ屋に向かった。
「たっ君。またパチンコ?」
「・・・」
こいつが何を語りかけようと、これからはシカトしようと決めた。
パチンコ屋についたのは午前九時を回ったところだった。
俺はいつもやりたい台をあらかじめ決めて、開店一時間前まで待っている。
三千円で今日もスロットを楽しもうと思う。
いつも俺は、勝ち負け気にせずに楽しめれば良いと思っている。三千円つぎ込めば、確実に当たりを引ける。
俺の横で浮遊している橘にも、気にしないようにするしかないだろう。
待つ時間はやたら長く感じられる。
「スロットより、もっと楽しいことを見つけてみない」
また俺の近くにとりついている橘が、俺に対して癇に障ることをほざいてたが、とにかくシカトして、開店時間を待った。
そして十時になり、開店した。
俺のお気に入りの台に座れて、すごくドキドキしてしまう。
仕事がある日は帰りに、千円しか使えなかったが、今日は休日なので俺はフリーで時間はたっぷりある。
とにかく楽しむしかないだろう。
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信じられない。一円スロットで三千円つぎ込んでも一回も当たりも引けずに負けてしまうなんて。
確率的にはまずあり得ないと思う。
「負けちゃったね」
人事のように言う橘。
先ほどはシカトすると言ったが、もしかしたら、こいつがとりついていて俺の運が悪くなったんじゃないかと思って、
「お前何だよ」
罵ってやりたい気持ちを押し殺して、俺にとりついている橘にナイフをイメージした威圧的な視線を向けながら言った。
「何だよって言われても」
三千円で一回もボーナスを引くことが出来ない事に、何かこいつにとりつかれて、運を悪くしてしまったんじゃないかと思う。だから俺は、
「お前、もしかして疫病神かよ。俺を絶望の淵にでも落とすために現れたのかよ」
と大声を発してそんな橘を罵る。
はっと我にかえると、周りの人の注目の的になっていた。
そうだ。こいつは俺にしか見えないんだった。それに声も俺にしか聞こえない。
周りは不審者を見るような目で俺の事を見つめていた。
とにかくこの件に関しては、誰もいないところで語るのが良いだと思うので、
「ちょっと来い」
「言われなくてもそうせざるをえないよ」
とにかく人目のつかない路地に行って、橘に大声で罵る。
「お前、俺の前からとにかく消えろよ」
「消えたいけど、どうしようもないんだな。それにさっきの話の続きだけど、僕はたっ君を絶望の淵におとしめたりはしないし、そのつもりもないよ」
「じゃあ、何でスロット三千円つぎ込んでボーナスも一回も引けずに負けちまったんだよ」
「それは僕のせいかい?」
「とにかく俺の目の前からとっとと消えろ」
と怒鳴り散らした。
すると何だろう。
本当にこいつは俺にとって疫病神だ。
こいつに出会って本当にろくな事がない。
受験を頑張っていた俺に対して、しなければならない症候群と訳の分からない病名をつけられて、あいつを贔屓して俺の事を見捨てた。
そして俺は・・・・。
やばい。こいつのせいで負けて、嫌な思いをして、思い出したくない記憶がよみがえり、その思いに心打ちひしがれそうだった。
その思いを目の前に居る橘に罵ってやりたいが、以前と同じようにきっと俺はこいつに理屈っぽい事を言われて、はぐらかされるから何も言わずに俺は帰る事にする。
忌々しい事に、橘は俺の横で浮遊しながらついてくる。
とにかく気分転換においしいラーメンでも食べて気持ちをリフレッシュしたい。
「あいよ。おまちどう様」
注文したラーメンが、運ばれてきた。
「おいしそうなラーメンだね」
何て橘が言う。
何かこいつの声を聞いているだけで、マジムカついてくる。
怒鳴り散らしたい気持ちを押し殺して、とにかく気を取り直して、注文したラーメンを食す事にする。
「でも、カロリーが高そうだね。あまり僕的にはおすすめ出来ないラーメンだよ」
何てけち付けてきて、いらだちを押し殺して、とにかく無視するしかない。
パチスロには、ぼろ負けしたが、うまいラーメンを食べられて、少し憂さははれた感じだ。
とにかくせっかくの日曜日、こんな奴にまとわりつかれて不快だが、とにかく無視して、秋葉原の町を堪能することにする。
今日はぼろ負けしてしまったので、マンガやグッツを買えないが、物色するだけでも楽しいので、一軒一軒回ってみた。
でもこいつにまとわりつかれて、せっかくの休日なのにストレスがたまってくる。
こいつ本当にうざい。
俺が住んでいるアパートに帰った時は、時計は午後五時を示していた。
何か一日中こいつにまとわりつかれて、スロットもぼろ負けして、考えるだけで憤りを感じて、殺意を抱いてしまうが飛びかかっても、橘には物体その物がないのですり抜けてしまうだけ。
一週間にたまったストレスを発散どころか、逆にストレスが増した感じだった。
ちらりと橘の方に目を向けると、暢気な表情で笑っている事にいらついて暴れたい気持ちだが、ここでまた騒ぎを起こしてしまったら、今度は何を言われるか分からないので深呼吸して気持ちを整えた。
本当に今日は、何度溜息をついたのか分からない。
こんなストレスをため込んだ気持ちで、明日から始まる仕事に挑めと言うのか?こんな奴にまとわりつかれて、本当にろくなことがない
俺は何かこいつに恨まれる事をしたのか?それは逆だろう。思い出したくないが、こいつのせいで俺の人生はむちゃくちゃになったのだ。
あまりその件に関して深く考えると、おかしくなってしまうので考えないようにする。
とにかく冷静になろう。
俺の部屋に浮遊している橘に視線を送り、
「おい」
と声をかける。
「どうしたのたっ君」
「お前何で俺にとりついているんだよ」
「さあ、僕にも分からないよ」
視線をさまよわせ、苦笑いの表情で答える橘。
「お前、俺に何か恨みでもあるのかよ」
「それはないよ」
即答したので、どうやら、俺に恨みはないみたいだ。
「じゃあ・・・」『何で俺に取りついてんだよ』と続けたかったが、また同じ会話を繰り返してしまって霧がいなし時間の無駄だと思って、やめておいた。
こいつ見ていると、あの忌々しい過去を思い出してしまいそうだ。
とにかく溜息と共にまとめた答えが出た。
まあ、ほおって置けばいつか消えるだろうと。
翌日になり、朝目覚めると、相変わらず橘はさわやかな笑顔で「おはよう」と言ってきた。
俺は呆れて声も出ない。
顔も見たくないので、とにかくシカトしようと、テレビをつけて、ニュース番組を流しながら、インスタントラーメンでも食って、仕事に出かけようと思う。
満員電車に揺られて、溜息と共に出た言葉がこれだ。
「仕事行きたくねーな」
でも仕事しないと生活できないし、どんなに落ちぶれていても俺はニートにだけはなりたくない。
ちらりと天井の方に橘が浮遊している。
見ているだけで、憤りが増して、ストレスがたまってきそうなので、そっぽを向いた。
バイト先であるコンビニに到着して、店長に「おはよう」と挨拶をして、店長は「はいはい」とやる気のなさそうな返事にいらだちを感じる。
仕事が終わった時には、とにかく今日も無事にすんでほっとしてしまう。
橘も今日は空気を読んだみたいで、俺に話しかけるような事はなかった。
スロットをやって帰ろうと思ったが、俺には疫病神である橘がいるから、今日はやめておこう。
そのうち消えるだろうと思っていた。
でも橘は俺にとりついたままだ。
こいつ見ていると、あの事を思い出しかねないので、黙って居るしかない。
橘も橘で空気を読んでいるみたいで、おはようの挨拶ぐらいしかしてこない。
まあ、こんな奴と喋りたくないので、俺はいつも黙っている。
そんな生活の中一週間の時間が過ぎて、こいつとの生活にも慣れてきた。
とにかく黙って居ればいい。橘も橘で空気をよんでいるみたいだし。
そんな時である。
休日のある朝、橘がその口を開く。
「ねえ、たっ君たっ君」
何か俺の事を呼んでいるみたいだが、とりあえずシカトしておく。
「ねえ、たっ君」
しつこく呼ばれて、憤り、
「何だよ」
と罵ってしまう。
我にかえると、ここは俺のアパートだった事に気がついた。
橘は橘で、唇に人差し指を当てて、「しー」と静かにといいたそうな感じだ。
マジムカつく。
すると、俺の声に反応したお隣さんは、俺のうちのドアを激しく叩きながら、「うるさいわね。何なのよ」
とにかくここは冷静になって、すいませんと謝って置いた。
とりあえず、面倒な事になりそうもなかったので、ほっと息をもらして落ち着いた。
そんな俺の気持ちを逆撫でするかのように、橘が「たっ君たっ君」と呼んでくるので、俺は罵りたい気持ちを押し殺してその瞳を閉じて、
「何だよ」
ぼそっと答える。
「多分、僕はこの世に未練があるから、幽霊になってここにいるんだと思う」
「じゃあ、何で俺に取りついたんだよ」
「それは僕にも分からないけど、僕にはこの世に未練がたくさんある。だから幽霊となってたっ君にとりついたんだと思う」
「だから何でよりによって俺なんだよ。あんたには三人の子供も居るし、信頼を寄せている人達がいるんだろ。そういう連中に取りつけば良いじゃねえかよ」
「分からないけど、なぜか、たっ君にとりついちゃったみたいだね」
「とりついたじゃねえよ。とっとと俺の目の前から消えてくれないかな?」
「消えたいのは山々だけど、どうやら出来ないみたい」
舌を出してヘラヘラと笑っている橘に堪忍袋の緒が切れそうで、叫びたい気持ちだったが、その場で深呼吸して気持ちを整えた。
「だからたっ君。協力してくれないかな?」
「知らねーよ」
と吐き捨てて、今日は休日で、パチスロは先週俺に疫病神である橘に取り疲れたことによって負けそうなので、行く気にはなれず、とにかく今日は、駅前のビデオ屋でも行って、好きなアニメでも借りたいと思う。
早速着替えて、ビデオ屋に向かう途中、橘は俺の頭上や横で先ほどの件を懇願する。
「ねえ、頼むよ。たっ君。君だけが頼りなんだよ」
「・・・」
とにかく俺はシカトする。
ビデオ屋に到着して、橘は諦めたか?もう懇願しては来なかった。
さて俺にとりついた疫病神も大人しくなったので、今日はどんなアニメを見ようか、ジャケットを見ながら選んでいると。
「たっ君って、萌え萌えした女の子物が好きなんだね」
しゃくにさわる事を言われたが、もうだんだん慣れてきたのか?怒る気すらしない。
とにかくこの疫病神はほっとけば問題はないと思う。
そう思って俺は心にキュンと来るようなかわいらしいデザインの女の子が描かれているDVDを二つ借りた。
店から出ると、橘が、
「たっ君。もし良かったら、僕が女の子を紹介してあげようか?」
何か俺を同情するかのような口調にいらだちを感じたが、それも慣れた。
とにかく帰って今日借りたDVDを見て、日頃のストレスを今日こそ発散させて明日に挑もうと思う。
まあ俺は大学にも行けず、甲斐性もないので彼女を作るとか諦めている。
それに俺はそんなに格好の良い男でもない。
アパートに到着して、早速麦茶をコップに注いで、帰りにコンビニで買ったお菓子を開けて、先ほど借りてきたDVDを起動させた。
本当にアニメに出てくる女の子は純粋でかわいい。
現実の女は、甲斐性や格好何かで判断する。
昔バイト先で恋をした女性にアタックしてみたが、うざがられて、そいつの高学歴の彼氏に・・・。
やめよう。過去の悲しい事を思い出すのは。
とにかくつまらない過去の事は忘れて、今を楽しもうと思う。
俺にとりついた橘がいなければ、最高の休日を満喫していたが、とにかくほおっておけば問題はないだろう。
こいつ見ていると、あの時の惨劇を思い出して、苛みそうだが、シカトしていれば大丈夫だ。
それにさっきも思ったが、もう慣れた。
俺には夢も希望もないが、こうしてアニメの女の子を見て、恋の妄想を膨らませ楽しむことが出来る。
世の中には勝ち負けが存在すると言うが、俺はどちらでもなく、とにかく楽しんだもの勝ちだと思って生活している。
まあ、楽しいことばかりじゃないが、こうして一人で萌え系のアニメを見て、今は楽しいから良いか。
明日の仕事に行くことを考えると、憂鬱な気持ちに陥りそうだが、仕方がないのかもしれない。
それと、聡いこいつ(橘)は、あの時の事を、許せない気持ちでいるのにも気が付いているだろう。
その事に関して、どう思っているのか分からないけど、今更どうする事も出来ないだろう。
もしかしてこいつ(橘)はこの世に未練があって、俺に現れたと言った。
その未練って、俺を呪い殺そうとして、現れたんじゃ。
それとも、あいつが何か俺に対して、どこかの霊媒士に依頼して、呪い殺そうとして、いるんじゃないか?
いやバカバカしい。そんな事が・・・。
俺の側で浮遊している幽霊の橘を見て、そうは思えなくなる。
こいつにとりつかれる前までは、そんなお化けとか妖怪とかオカルトの類は信じられなかったが、今こうして橘が幽霊として俺にとりついているのは、信じられないが、これは紛れもない現実だ。
そう思うと怖くなって不安になってくる。
俺はこいつに殺されてしまうんじゃないかと。
俺は死にたくない。
そう思った直後、俺にとりついている橘に視線を送って「おい」と声をかける。
「もしかして協力してくれる気になった」
橘は俺から声をかけられ、嬉しそうに笑顔だ。そんな事はどうでも良く俺は、
「じゃないよ」
「じゃあどうして?」
「お前俺を殺そうとして現れたんだろ」
「僕はそんな事はしないよ」
何て言っているが、信じる信じない気持ちが揺れる。
そんな思いに陥り、以前こいつに俺の人生を狂わせられた事を思い出し、憤りの気持ちと共にやはり信じる事は出来ずに。
「嘘付け」
と罵りたい気持ちを押し殺して呟くように言う。
「嘘じゃないよ。僕がたっ君を殺して何の得があるの?」
そういわれると確かにそうだと思って、瞳を閉じて考える。そんな中橘は、
「でしょ。考えてみてよ。僕がそんな事をする人間だと思う?」
何て自分がまるで聖者のような存在だと言っている事に疑わしく、ムカついたが、とにかくここは冷静になって考える。
もしかしたら、俺は誰かに呪いをかけらて、こいつをとりつかせたんじゃないかと疑う。
そういえば、俺の人生をめちゃくちゃにしたあいつの顔が浮かぶ。
あいつは自分の都合の良いように、周りに言いかけて、俺は塾にはいられない存在になってしまった。
それで俺は・・・周りから白い目で・・・見られて・・・。
辞めよう。あの事を俺は思い出したくない。思いだそうとすると、怒りに翻弄されて、理性を失いそうだ。
もう忘れるしかない。それしか生きるための術はないのだ。
そう思いながら、あれから生きてきたのに、よりによってこんな奴にとりつかれて、俺を殺そうと目論んでいるのか?
俺は死にたくない。夢も希望も失ってしまったが、それでも生きたい。
生きていれば良いことあるとか、いつかはその日がやってくるとか、気休めにしか聞こえない事を言われてきたが、それでも生きていたい。きっとそれは俺の本能がそうさせてきて、今まで生きてこられたのだと。
でも、あのような事があって、俺は本気で死を考えたことがある。
それは考えたくない。
叫びたい。
思い切り叫びたい。
だから僕は外に出て、走った。
走って走って誰もいない河川敷にたどり着いた。
そこで俺は叫ぶしかなかった。
声がかれるほど叫んだ。
そうだ。俺はそうして今まで、あの事に対する憂さを晴らしてきた。
でも夢も希望も消された事の衝撃が、あまりにも強すぎて、まるで呪われたかのように思い出す度に、心の底から現れて、俺の心を壊しに来る。
誰も俺を助けてくれなかった。
こいつに助けを求めたが、たっ君はしなければならない症候群だよ何て呪文のように聞かされて、医者に相談したが、そんな病気はないと言われた。
俺の事をなめているのかと思った。
せめてこいつのせいにして少しでも気持ちを楽にしたいと思ったが、理屈っぽいこと言われてはぐらかされて、心はどんどん壊れていった。
そして叫び疲れ、少し気持ちが落ち着いた。