農民3 そしてまた死ぬ。
その夜、俺は無事睡眠を取ることができた。そして夢をみた·····················
(なんだ······?お腹が熱い······て言うか、何か見覚えのある場所だな)
俺はゆっくり立ち上がると辺りを見回した。
「ここ······俺の家!?え、俺死んだんじゃ?」
服をめくると、刺された傷が塞がれていた。
(今までのは夢だったのか······)
楽しみにしていた異世界生活は俺の妄想か······。すると突然目の前に女が現れた。
「うわっ!!······ク、クレファ·····?」
「相葉さん、すみません!!ちょっと手違いが発生していたようで······。実は相葉さんはまだ生きてたんです。勘違いした私は勝手に転生させてしまって······お詫びにお腹の傷を塞がせていただきました」
「あ、ああ···そうなの?」
「そ、それでは良き人生を······さようならぁ」
クレファはスッと、消えた。
······ま、生きてればそれでいいか。と、俺は思い早速部屋に戻った。
「ただいま·········マイコンピュータ!!」
そして俺はネットサーフィンをはじめた。すると、あるサイトであるものをみつけた。
「こ···········これは···········!?二年前に販売され、販売20分後には売り切れた俺の生きがいの一つでもある········!!」
俺は中古品売買サイトでとてつもなく欲しかったフィギュアをみつけた。これを買わなければ、絶対後悔する。値段は少々高いがまぁ、親のスネかじれば何とかなるっしょ。
「ありがとう神よ······。私、相葉勇気は一生あなたに誠実でいます。では············は?」
カーソルは「買う」のところで止まっていて、エンターキーを押せばアレは俺の中に!!っていうところだったのに、フィギュア画像の上に、[お買い上げありがとうございます]の文字があった。俺は確実にエンターキーを押していなかった······。俺が神に感謝している間にどこかのだれかに買われていた。
(そん······な·················)
刺された時と同じ感覚になった。
「あああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ··············································」
「······································ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああああああああああああああっハッッッ!!!!あれ?またボロ屋?······ゆ、夢か······」
気づけばもう朝だった。俺は起きて、最初に転生した場所、役所に向かう。役所はそれなりに広く、色々なことができる。
(それにしてもリアルな夢だったなぁ······死を真に受けないと)
5分後、役所に着いた。
「あれ!?相葉さん!?なぜ?やっぱり亡くなってたんですか······?」
中にはクレファがいた。
(え?あれ夢じゃなくて現実だったの?)
「ちょっと、シルビア?」
クレファが青服に問う。
「はいはい、調べてくる」
「えっと······クレファさん?説明お願いしたいんだけど」
クレファが説明するまえに青服が戻って来た。
「ええー、相葉 勇気 死因 叫びすぎ酸欠死」
え!!俺あれで死んだの!?あっけな!!
「つくづくアホですね。救いようがない。」
おのれ青服······!!
「········改めまして、よろしくお願いします。私の名前はクレ···」
クレファの発言をさえぎる。
「ああーーーー!!いいよ!!俺は所詮そんな雑魚ですよ!!もう自覚してますっ!!もうっ!」
バタンッ
「あー、また行っちゃった。クレファ、あんな人の面倒見切れます?」
「あ、あはは······が、頑張るよ······」
相葉勇気の冒険?はまだ始まったばかりである。