01 【プロローグ】
01 【プロローグ】
〜●どらごんすとーりー●〜
この物語は一人の少年が冒険する話である。
アルは今旅をしている。
あてもない旅だ。
“たった一つのモノ”を探し出すために、アルは故郷である村を飛び出したのだ。
世界は今戦争時代であった。
革命という言葉が民間に広まってから、紛争やら戦争やら革命が絶えない。
経済には大きな差があるといえる。
この世界の中心部は産業も大いに発達し、言わば都会。
しかし一歩中心から離れるとそこは大自然である。
だが大自然の中にもちゃんとした生き方があった。
農作で栄養のある食物を育て、漁業も田植えも盛んである。
彼らの暮らしの中で電気や石油など必要がなかった。
金、経済が全てではなかったのだ。
アルは先が見えない高原をひたすらに歩いていた。
目印は白色のスカーフ。
今時の若干長めのセットされた髪に乗せられているメガネ。
茶色い、西洋劇に出てきそうな半袖のジャケット。
大きく十字架の描かれたTシャツ。
長ズボンと半ズボンの間くらいの長さのズボン。
顔は格好良いが、可愛いともとれる。
そろそろ喉が渇いてきたそんなとき。
アルの目に映ったのは広大な山だった。
まだ遠くにあるが美しさがはっきりと分かる。
濁りのない湖。
果ての見えない森、林、木。
ブルーの空に転がっている羽毛のような雲。
そして高くそびえたち、噴火をしそうでしない自然の象徴を感じさせる山。
火の気が見えないとこから、どうやらその村は戦争,紛争とは無縁のようであった。
遠くにいるのに、空気がおいしい。
思わず深呼吸したアルは自分の真上を飛ぶ鳥を眺めてほほ笑んだ。
「・・・“探し出せると”いいんだけどなぁ・・・。でも・・・なんかワクワクするねぇ・・・」
――――――この山での冒険がまさかあれほどまでに残酷なものになろうかと知る余地もなく、アルは遅くなっていたその足を少しずつ速めていった。
そう、この山にはドラゴンが住んでいたのだ。
アルの冒険は今始まった。
作者の0〜マル〜です。
どうぞよろしくお願いします。