弐話 記憶
自分が小説を書くときは基本的に音楽をきいています。
なので音楽のリズムや歌詞に影響されて話を書いているという
可能性が微粒子レベルで存在してるかもしれないです。
「幻想郷・・・ですか」
少年は目の前の現状を受け入れられないようで、
しばらく俯いて考え事をしていた。
「ただ何も、帰る方法がなくなったわけじゃないんだ。だが
さっきも言ったが幻想郷に来たということは人々に“忘れられた”わけなんだ」
少年には魔理沙の言葉も耳に入っていないようだ。
まぁ、無理もない。
気がついたら記憶を全てなくして奇妙な世界にいたんだから。
「で、お前はどれくらいの事を覚えてるんだ?」
あれから数十分が経った。
やはりショックが大きかったのか、
しばらくは霊夢が用意したお茶にも手をつけていなかったが、
霊夢たちと話をしたことにより会話ができるぐらいには回復していた。
すると少年がやっと自分から口を開いた。
「自分が覚えてるのは出雲ユウトという名前と、
うっすらですけど“前の世界”に居たときの記憶だけですかね・・・。」
後半は涙声で、ほとんど聞き取れなかった。
霊夢は話を聞いて心の底から気の毒に思った。
本人が帰りたいと思ってるのは別に問題ないが、
帰ったところで彼を受け入れてくれる場所はあるのだろうか・・・。
「で、前の世界の記憶ってどんななんだ?」
魔理沙がコップに入った麦茶を一気に飲み干すとユウトに聞いた。
「前の記憶といってもはっきり覚えてるわけじゃないんですよね。
ただ、あんなことがあったかな?ぐらいな感じで」
「そっか・・・」
少年はただただ俯いているだけだった。




