第三十二話 初仕事完了
神様の言うとおりにしたら主になりました!!
(よし、主と呼ばせよう!)
たっぷり数分悩んでいた変態はやっと結論が出たようだ。
悩み過ぎだと思うが呼び名ってのは大事だしそうでもないのか?
ただどうせ呼ばれるのは俺という事を忘れてないか?
そりゃ俺と変態は同一存在と言えるが・・・、気にしないでおくか。
「すまん、結構悩んでた。
これから俺のことは主と呼んでくれ」
新しい体が嬉しいのかさっきから動きまわったり能力を確かめたりしていた奴は、
俺の答えを聞くと近くに来て挨拶と共に聞いてきた。
「わかったぞ主、これからよろしく頼むのじゃ。
それはそうと増えた能力じゃが・・・、本当に良いのか?」
俺が再生者、変態が支配者の命令を追加していた。
俺は奴の死なないという希望を守るためだが、変態は自分に使わせるためだろうな。
しかし抵抗しなければいいだけだが、俺が抵抗するとは思わなかったのか?
「面倒なことに付き合わせるお礼とさっきも言ったが俺は応援しているからな、気にするな。
それとお前の名前は何と言うんだ?お前のままじゃ嫌だろ」
期間限定とは言え俺の世話係になるんだし仲良くなっても損はないだろ。
「おぉ、これは失礼した。妾はウルルと言うのじゃ」
スカートの裾を摘んでお辞儀をしながら答えたウルルはとてもさまになっていた。
いやなんというか、変態を納得させるために思いついたがこれはいいな。
・・・いや浮気じゃないですよシロさん!
とてつもない殺気がした気がしたのでつい言ってしまった。
「いきなりどうしたのじゃ主、何かに怯えた様子じゃが」
「い、いやなんでもないさ。とりあえずこれでウルルはリプカを狙う必要はないだろ。
悪魔連中をどうにかしておいてくれよ」
不思議に思ったウルルを俺は何でもなかったように話をすり替えた。
「そうじゃな、妾の手下は全員魔界に戻らせるとするかの」
そうだ、代表。
「それにしてもセバスとやらの帰りが遅くないか?
転移能力を持ってるならすぐ帰って来ると思っていたんだが」
「はは、主は簡単に入れたから勘違いしておるようじゃが本来は外からここに入るのは不可能なんじゃよ。
セバスは外で妾の事を待っておるよ、下の悪魔連中が倒れているとの事じゃ。
多分主がやったんじゃろ?」
俺の疑問にウルルは笑って答えた。
いや、何故ここに呼んでやらなかったんだという意味だったんだが。
「何だ外に居るのか。
そうだ、折角だし今のウルルの姿を見てもらおうじゃないか」
俺は言った瞬間に能力破壊者を発動してウルルの空間を破壊した。
景色がひび割れていくのを見ているとウルルが呟いていた。
「妾が作った空間が壊れていくのは初めて見たのう・・・」
哀愁を感じさせるウルルの表情に俺は勢いで破壊したのを少し反省した。
しばらくして空間が壊れて元の世界に戻ってきたら、
側に居た代表が俺とウルルが一緒にいるのを見て驚いていた。
「き、貴様!ウルル様を何処にやった!!!」
驚くというよりか跳びかかってこようとしていた。
「何だ、気付かないのか?」
俺の発言に疑問に思ったのか立ち止まり、側にいたウルルに目を止めた。
「ま、まさか・・・ウルル様?遂に人間になれたのですか!?」
「うむ、色々あってな。念願の人間になれたのじゃ」
人間というには強すぎるし、能力持ちだから突然変異能力者って所か。
それでも強すぎるが・・・、魔王の加護ってやつだ、うん。
「それは大変喜ばしい事なのですが、何故こやつと一緒にいるのですか?
しかもメイド服なんて着ておりますし・・・」
俺を睨んでいる代表だが、ウルルに窘められていた。
「こらやめんか、主は人間になるのに協力してくれたのじゃぞ。
っと、そうじゃ。
その御礼として妾はしばらく主の世話係となったのでな、
お主らには魔界に帰ってもらいたい」
「そ、そうだったのですか。
先程は知らなかったとは言え申し訳ございませんでした。
我が主ウルル様の宿願を果たしていただき感謝いたします」
ウルルから真相を聞いた代表は俺に謝罪と感謝を述べていた。
「気にするなって、俺としても個人的に応援しているからな。
後ウルルも言っているがお前ら悪魔と悪魔化身は魔界に帰ってくれ。
ここに居られると面倒だし、俺としても手荒な事はしたくないからな」
既にした後だが、眠らせただけだし大丈夫だろ。
「それもそうですね、ウルル様の宿願が達成できたのならば我らも用済みでしょう。
ただ後始末に時間が少々かかってしまうのですが・・・」
「それなら俺がしておくから大丈夫だ。
あの地下は残しておいて、お前らの記憶だけ消しておけば大丈夫だろ。
今頃奴らも起きているはずだから朝までにはお前らには魔界に戻ってもらうぞ」
リプカの兄の存在を忘れさせるのは一苦労するだろうが、仕方ないだろう。
「おぉ助かります。
それでは、我が主をどうかよろしくお願いします。
ウルル様、お元気で!」
そう言い代表は姿を消した。奴の能力なら地下の連中もすぐに連れていけるだろう。
(じゃ、記憶の方頼んだぞ)
(そう言われると思って既にやっている。
しかし、俺も慣れたもんだな・・・)
変態に言うと心強い返事とともに愚痴が聞こえた。
俺としては色々してもらって助かっているからいいが、魔王がこんなので大丈夫なのかね。
「さて、リプカにウルルの事を何て説明するか」
「普通に世話係と言えばよかろう?」
そう言って納得してくれればいいんだがな。
俺は元リプカの兄の部屋を出てリプカの部屋に向かいながら、
納得させれる理由を考えるのだった。
簡単!今回のまとめ!
色々あったけど護衛らしい初仕事完了!
ウルルの能力
・時空間創造
自分の思い通りになる空間を作り出す能力。
空間内でいくら過ごそうが元の世界の時間は進まない。
後、空間内から好きな場所に出口を作りだして擬似転移も出来ます。
一々空間に入らなければならないですが、大勢の転移には便利です。
中から外のモノを呼び寄せるのは出来るが、外からは不可能。(例外あり)
・反射
ありとあらゆるモノを跳ね返す。
物理的、精神的、能力攻撃を全て相手に返す能力。
・合成
複数のモノを合成させ一つのモノにすることが出来るが、それらの相性が良くなければならない。
ウルルが転生に使おうとしていた能力です。
・再生者
どんな損傷も瞬く間に治る能力。
劣化不死(笑)
死なないというウルルの希望を本当に叶えたクロだったのです。
完全な不死ではないので死ぬ方法はいくつかあります。
ただ、その内の一つの寿命ですが悪魔は寿命がとても長いので不死と大差ないです。
・支配者の命令
命令を自身より上の実力者じゃない限り必ず聞かせる能力。
抵抗しなければ上の実力者でも聞かせれるので、マオーは(略)
代表の能力
転移の手
手に触れたモノを好きな場所に転移させることが出来、
自身に触れれば自身も転移できるため便利な能力。




