第三話 優しくて寂しがり屋の悪魔
実は、この悪魔はさっき思いついた人物です(笑)
行き当たりばったりバンザイ!
8/8年齢がアレだったので修正入りました。
俺は悪魔の子、らしい。
らしいというのは周りが言ってるだけで、俺にはそんな自覚がないからだ。
だけど、自覚できない理由ってのもちゃんとある。だって、
悪魔の子って決めつけているのはただ髪の色が黒色だから、なんだぜ?
それだけだってのに、皆「悪魔めっ!」だぜ?
家族も一緒に言ってくるんだからほんと参っちゃうね。
それでも、嫌々ながらも世話してくれたんだから俺だって感謝はしているさ。
家から一歩も出られないのは辛いけど、本があるから知識だって蓄えれたしね。
でも、一番辛かったのは姉と妹にも怖がられることかな。
「お前なんて弟じゃないよ!!こっち見ないでおくれ!」
「あんたなんか兄なんて認めないもん!パパとママだって息子じゃないって言ってもん!」
親よりも姉妹に言われる方が辛いなんて思っても見なかったけど、結構効いた。
結局、俺は部屋に閉じこもってるからあまり関わりなんてなかったけどさ。
でも声は聞こえる。
「あそこの家には悪魔の子が・・・」「将来悪魔になって私らを・・・」「悪い事してると悪魔が・・・」
聞こえてるように言ってるのかわからんが、どうあっても俺のことを嫌いたいらしいな。
もう関係ないけど、思い出しちまったんだからしょうがないか。
ん?なんで関係ないって?そりゃ
「お前はもう12歳になった。もうひとりで暮らしていけるだろう。これらを持って旅に出るといい」
なんてことはない、体の良い厄介払いってやつだ。俺もあんなとこで一生を終える気はなかったしちょうどよかったが。
というわけで、現在絶賛迷子中。いやほら、俺引きこもりの閉じこもり君だったし。
村の周りが森って知らなかったし。体力なんてあるわけもないし。荷物だって
ボロ衣服x3 タオルx2 ナイフ 銀貨x2 リュックサック
・・・・先に目標でも立てるか。そこ!現実逃避とか言わない。
そうだなぁ、森で過ごすかそれとも街にでるか。
森、だな。この髪色じゃどこだって同じ扱いだろうし、人が比較的来ない森がいいだろう。
今日中に東西南北どこかに行こう。
村がある東以外ならどこでもいいんだけど、できれば森の奥に行く方がいいな。
こればっかりは行ってみないとわからないし仕方ないが・・・・。
いいや、悩んでる時間が勿体無い。西だ、西に行こう。
西に行ってる間に食料とか水とかあればいいなぁ・・・・
で、夕方
ナーバナx3 ゴリンの実x5
うむ、食料確保。果汁で水分も補給できるしよかったよかった。
寝床はそこら辺に寝ることに決定。近くに洞穴があったけど、
何かいたら怖いし。寝れればいいんだよ、寝れれば。
幸先良くスタートできてよかったぜ。飢え死にとか嫌だしな。
安心はできないが今日は疲れたし、もう休もう。
しかし、俺は正直舐めていたのだろう。普通に考えればわかることだったんだ。
悪魔を恐れ嫌ってる村の奴らが俺を生かしておくわけがない、と。
で、夜
「おい、いたか?この辺で寝ていたはずなんだが」
「いや、こっちにはいねーな。とりあえずさっさと見つけてあの悪魔を殺さねーとな」
慣れない野宿のせいか寝苦しくて起きてしまったんだが、その幸運に俺は感謝していた。
あのまま寝てたら間違いなく死んでいた。
1,2,3・・・くそっ、17人か。全員武装してやがるし、子供相手に大人気なさすぎるぞ!
村の男連中のほとんどが来たのか?
このまま逃げても埒があかないし、一か八か、近くにあった洞穴に逃げ込むか?
熊とかだと流石の連中も時間がかかるだろう。だが、俺も危ない。
が、このままでもどうせジリ貧だろうし、俺の運にかけてみるか!
悪魔の子とか言われてるけど・・・ボソッ
ポキッ
俺はわざと木の枝を踏んで音を立てた。
「そこにいるのか!」
そのまま振り返らずに洞穴の場所まで走った。
でも、所詮子供の足。大人たちにはすぐに追いつかれそうになる。
ぎりぎり間に合い、真っ暗な洞穴の中に入った。
「隊長、あの悪魔洞穴に入りやしたぜ」
「流石にこの暗闇の中を行くのはまずいな。お前ら!松明を用意するんだ!」
そんな声が後ろから聞こえてる中、俺は息を整えていた。
俺もこんな暗闇の中を歩きたくはないがな。
手探りでゆっくりゆっくり奥の方へ行くことにし、数分行った所で
!?!?!?
この先に何か危険な気配がする。なんだ、この心臓が潰れそうなほどの圧迫感は!!
夜目が聞いてきたおかげで微かに見えるが、何か黒い物体がこの先にある。
あれはやばい!直感がそう告げていた。俺はこの先を諦め近くにあった小さめの穴に入ると、ボロ衣服をかぶせて隠れた。
これで大丈夫、じゃないよな。暗いから目立たないとは思うけど、注意深く見られたらアウトだな。
その時は必死で外に逃げるか。見つかった場合、死んだと思ったほうが良さそうだな。
さっきの圧迫感から回復し終わった頃、辺りが明るくなってきた。
「隊長、この洞穴結構広いですね」
「そうだな、自然な洞穴にしてはおかしなところがあるし野生の動物かそれとも・・・!!
全員止まれ!」
松明をつけて進んでいた連中がさっきの俺と同じように止まった。
「隊長・・・・これはまさか!!」
「多分、な。まさかこんな所にいるとはな。あのくそガキめ、嵌めてくれやがったぜ!」
おや?あいつらはあの黒い物体の正体を知っているのか?
そう思っていると、黒い物体が動き出していた。
「た、隊長!!!」
「お前ら!合図したら目を隠せ!!」
隊長とやらが黒い物体に近づいていった。その御蔭で明かりに照らされ、黒い物体の正体が現れた。
10mを超える身長、頭に三本の角、2対の大きな黒い翼、刺のついた長い尻尾。そして腰ぐらいまである黒い・・・髪。
「ナンだ、おマエら。オレのスミカにムダンでやってキてただでスむとオモうなよ?」
この洞窟中に響き渡る、しかし大声というわけでもない不思議な声が聞こえてきた。
「食らいやがれ!眩い閃光」
いきなり隊長の体が光を放ちだした。とっさに目を閉じたのもの、しばらくはぼやけて見えそうだ。
「お前ら!いまのうt」
「オレにこんなメクラましがキくとでもオモってイたのか?オメデタいヤツだな」
ぼやけてよく見えないが、悪魔の爪が隊長の体を貫いているのは分かった。
「た、たいちょおおおおおお!!!」
「良くもやってくれたな!このはぐれ悪魔め!!!!」
ほかの連中も一斉に悪魔に向かっていった。が
「いいか、スキルってのはこうツカうんだよ!すべてを飲み込む黒渦!」
悪魔の周りに黒渦が現れ、その黒渦に連中が飲み込まれてしまった。
松明を持っていた連中がいなくなり、辺りは真っ暗になった。
俺は連中がいなくなった安心感より、あの悪魔に見つかったら死ぬという恐怖が俺を襲っていた。
そんな俺を知ってか知らずか
「おい、そこのカクれてるおマエ。もうダイジョウブだ、アイツラはイなくなったぞ」
と、優しく声をかけてきた。え?なんで???
安心させてからの、どん!!ってやつか?怖い。
でも無視し続けるのもやばいよな。
「あ、ありがとうごじゃいました」
俺は噛んだもののなんとかお礼を言った。
「キにすんなよ、オナじはぐれアクマドウシじゃないか」
「え?」
悪魔??俺が???もしかして、髪が黒いからか?そんな理由で!?
「ん、ナンだはぐれじゃないのか?てっきりおマエもアソコからオいダされたナカマだとオモったんだが」
アソコ?どこだ?わからないことだらけだが、都合のいい勘違いをしているようだ。
「あ、あぁ。役立たずと言われてね。力がないから仕方ないんだけど」
とっさに思いついた言い訳を述べていた。悪魔=力社会の勝手な想像だけどな。
「あぁ、シカタないな。アソコはチカラがモノをイうからな。
よし、ココでアったのもナニかのエンだろう。しばらくはオレがメンドウミてやるよ。
オレもヒトリでサビしかったしな」
「あ、え、その、お、お世話になります」
俺が思っていたのと違う結果になってしまったが、夜、村の連中に襲われた俺は、
想像と違う、優しくて寂しがり屋の悪魔にお世話になることになったのだ。
簡単!今回のまとめ!
少年「俺は悪魔の子らしい。だから村を追い出されちゃった」
はぐれ悪魔「俺寂しいからお前の面倒見てやる」
少年「あ、い、え、ありがとうごじゃいます!」
シロはまだ出ません