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ヒツジさんの執事さん  作者: 美琴
第二章
57/67

55・デート?




 クルウと久々の再会をした後、お喋りをしてなんだかんだしばらく一緒に観光巡りをして、仕事があるからと夕方前には別れた訳で。

 荷運びはちょいちょいあることだから、たぶん3年生の1年間は、クルウに会える機会も増える事だろう。

 嬉しいけれど、うっかり町中で通常モードで話してしまわないか心配……

 今からでも、訓練しようか。しかし、どういう口調にすべきなんだろうか。

 周囲を参考にしようにも、クルウのは職業執事的にちょっとアレだし、レオンのはちょっと違う気がするし、となると一度聞いたことがあるエルミン君の素の口調が一番あたしのキャラというか見た目的にしっくり来そうなんだけど……

 ……今度、頼み込んでゆっくり練習させてもらおうかな。


「ねえ、マリヤ」

「はい、お嬢様」


 春になったのでお外のお弁当タイムは復活してるのだけど、今日は食堂で食べる日。

 向かいで食後のお茶にまったりしているエルミン君を見ながら思考中、隣のお嬢様に声をかけられ返答をして振り向く。

 考え事をしていても、ご主人様のお声かけには即対応です。


「急に思い立ったのだけれど、明日は用事あるかしら」

「いえ、特には」

「なら、明日はわたしとデートしましょう」

「かしこまりました」


 珍しいな、メルルから出かけたいなんて言うとか。

 この間は観光だったけど、デートっていうからにはあたしと二人で出かけたいのだろう。全然かまわない。特に急ぐ用事も買い物もないし。

 さらりと告げられ、さくっと返答し、お嬢様に紅茶のお代わりをお淹れしようとした時。


「……いや待て、何だ今のは」


 突如、あたしとメルルを除く周囲全員がざわめいた。

 何だって、むしろあんたらが何だ。


「何、とは?」

「いやだから、今のやりとりは何なんだ」


 やたらレオンが険悪というか、なんか変な雰囲気で問い詰めてくる。

 ちらっとエルミン君やサンセさんを見ると、なんかちょっと前にも見たような、わくわくというか照れというか、そういう視線を向けている。

 尚、今回はポーラ様も扇子で表情を隠そうとはしているが、ものすごく微妙な視線をメルルに向けていた。

 ……ああ、うん。


「単に出かけるだけですよ」

「本当か? 本当だな? 本当だよな?」

「でしたら、どうしてそういう単語が出てきましたの…?」

「すみません、子供の頃のクセが、ちょっと…」


 メルルもどうやら、久々の事で口を滑らせたみたいだ。

 小さいころ、滅多にある事じゃなかったけど、二人で遊びに行く時は、デートみたいなんて言ってメルルがはしゃいでたのである。

 出かけ先は、ミミィをはじめとした女子の家とか、ウルガさんのお店とかだったんだけどね。

 おしゃまな女の子が、そういうのにあこがれる時期だったんだよね。

 特にあたしも気にしてなく訂正してなかったのが悪かったか。


「なら、俺が同行しても構わないか?」

「遠慮してください」


 そして、どうしても気になるレオンさんと、すっぱり断るNOと言える淑女、メルルお嬢様である。

 誤解を与える表現したのはすまなかったけど、別にやきもきする理由なんて何もないんだけどな……

 メルルの事は大事だけど、そういう大事じゃない。

 やたら恨みがましい目で見てくるレオンと、特に口を挟まないもののものすごく複雑そうな視線を向けてくるポーラ様を、どうしたものか。

 ……とりあえず、休み明けに弁解とかしなきゃいけないんだろうか。

 普通に出かけるだけだと思うんだけど。







 そして、翌日。

 そういえば、私服のメルルとお外に出かけるのは、王都に来てからは初めてかもしれない。

 私服自体は休日はそうなんだけど、街にはね。あんまり行かないからね。

 この間の観光で、ちょっと王都気になる感情でも芽生えたかな?

 ……あんまりのめりこまない程度にしてほしいが。


「はい、出来上がり」

「ありがとう! どうかしら、可愛い?」

「ええ勿論、あたしのお嬢様は最高に可愛いわ」


 女性の準備は時間がかかるものだけど、そもそも準備をしているのがあたしなので気にするものでもない。

 毛並みを綺麗に整え、オレンジのリボンを飾って、ハイ出来上がり。

 お化粧という文化がないから、たぶん前の世界の人間女性のしたくよりは早いんじゃないかな。

 あたしはナチュラルメイク派だったから、そんなビックリするほどの時間かけたことないけど。


「それでは、いきましょうかお嬢様。行先のご希望はありますか?」

「実は特にないのよね、思い付きだったから」

「でしょうね。じゃ、とりあえずオススメの小物やさんとか行った後、お茶しましょうか。紅茶の美味しいお店があるのよ」

「ええ、楽しみ!」


 部屋内のやり取りだけ聞くと、完全なる女子会である。

 この間のレオンとのお出かけと比べて、あたしもややテンション上げ気味なのが我ながらなんとも言えない。

 いやー、でもやっぱり、野郎と出かけるより、可愛い女の子、特に大好きな子と一緒の方がうれしくなるものだと思うんだ。

 現性別基準で言えば何も間違った事じゃないと思う。


「それにしても、何故急に外出しようと思い立ったのですか?」


 街中では、ちゃんと敬語モードに切り替える。

 メルルと二人だったら、通常モードで話したいものだけど、こればかりは仕方ない。

 本当に男性口調を……と思ったけど、男性口調だったとしても、ご主人様と屋外でタメ口はないわ。だめだめ。

 公私混同いくないです。今めっちゃ私用だけど、人の目があるからね。


「うーん、最近ね。クラスの女の子達を見ていて、思うのよ」

「はい」

「最初はみーんなレオン様レオン様ーとか言ってたけど、2年になったら落ち着いたし、最近はもうほんと、やれ彼氏ができただの、婚約しただのになってきて!」

「……ほう」


 へえ、ご令嬢たちも現実見据える気になったのか。

 その割には、レオン親衛隊の取り巻きは全く減ってないように思えるが、まあ彼氏がいることと、アイドルが好きな事は別の次元てことか。

 本来、あたし達の年ごろはもう成人だし、なるほど婚約者や恋人がいても、場合によっては結婚してても別に不思議じゃないわけですね。


「サンセさんも、エルミンと付き合ってるみたいだし」

「あれ、言ってましたか?」

「ううん、まだ言ってくれないけど。でもあれ付き合ってるでしょ」

「付き合ってるでしょうね」


 まだ報告してくれないけど、あの二人絶対付き合ってるだろ。

 サンセさんも、休日のお茶会参加が明らかに減ったし。あたしのお菓子よりも、エルミン君との時間を優先してるんじゃないかしら。

 構いません。いいぞもっとやれ。ただし健全にな、学生なんだから。


「ポーラ様も、その、今でもマリヤが好きみたいだし……」

「……その、ようですね」

「こう考えると、わたしってかなり、遅れてるんじゃないかしら……!」


 あ、恋バナ相談お出かけだったのか、これ。

 しかし、それをあたしに持ち掛けて、どうしろというのだ……それこそ、サンセさんとかの方が良いんじゃないか。


「お嬢様、確か男性にそれなりに声をかけられると仰られていませんでしたか?」

「マリヤを一度でも悪く言った相手とは、付き合う気は無いわ」


 一度でも悪く言った相手を、すべて認識しているのですかお嬢様。

 ぷんっとむくれるメルルは可愛いけど、その前提条件でメルルによって来る男性ほとんどが弾かれるとは、あたしはどれだけヘイト溜め込んでたのか……


「……まあ、そうでないヒトも、いなくはないけどー…」

「でしたら、試しにお付き合いしてみるのも良いのでは?」

「え、そういうのって、試しとかいいの? 失礼にならない?」


 恋愛初心者か。

 そういう経験がないのは解ってたけど、なんかとりあえず付き合う、イコール、ゴールインまで到達みたいな感じになってるようだ。

 うーんまあ貴族になると、気楽に恋愛関係に発展出来ないのだろうけども。


「恋人にならずとも、一緒にいて苦ではないか、お互いに尊敬しあえる要素があるか、そういうことを知る為にまずはお友達からという事ですかね」

「う、うーん……なるほど」


 ていうか、あたしにだって恋人なんかいたことないんだから、そういう指南を求めないで頂きたい。

 なんせお父さんとお母さんが恋愛結婚なので、メルルもたぶんそういうのに憧れている。あのお二人は、ある夜会で初めて出会い、その瞬間からフォーリンラブみたいな流れであったらしい。

 無論、結婚までにいろいろあっただろうけど、だいたいそういう事だそうだ。


「あら、マリヤさん?」

「はい、……ユトゥスさん」


 お喋りしながら、しゃれた商店街をウインドウショッピングしていた所、声をかけられたので振り返った先に居たのは、ユトゥスさん。

 今日は騎士学校の制服は着ていない。彼女も私服で、白地に淡い色の花柄のワンピースという出で立ち。女子力高い。


「お久しぶりです、…あ、こちらは私の主人にして義姉の、メルル様です」

「初めまして、メルルさん。ユトゥスと申します、マリヤさんには以前、引ったくりを捕まえる際にお世話になりまして」

「こちらこそ、初めまして。……そんな事してたの、マリヤ」


 そういえば、言ってはいなかったか。

 初めて知ったと視線を向けられたが、驚いた様子はない。そりゃそうだわね。

 紹介とあいさつが済んだところで、きょろっと周囲を慎重に見まわす。


「今日は、オルミガさんは……」

「ああ、今日は一人でちょっと、調査というか……聞き込みをしてると思います」

「? 何か事件でも?」

「いえ、取るに足らない噂だとは思うのですけど、気になると言って……」


 なんだろ。あのまったりマイペースのオルミガさんが気になる噂って、ちょっと興味あるな。

 あるけど、本当に申し訳ないが、あまり首を突っ込んでまた不意打ちドアップを食らいたくはない。会いたくない訳じゃないけど。


「ユトゥスさんは、お一人ですか?」

「ええ、本当は友人とショッピングの予定だったのですけど、急用が入ってしまったとかで。用意もしてしまったからと、折角なので出ようかと思って」


 なるほど。いくら軍人貴族の娘とはいえ、年ごろの女の子が一人で街をぶらついているのも、不用心というか寂しいというか……

 いや、不用心はないか。たぶんユトゥスさん、あたしと同じか、それ以上に強い気がする。あたいは最近、授業の剣術訓練しかしてないんだし。


「でしたら、一緒に行きませんか?」

「……宜しいのですか?」

「ええ、マリヤのお友達なのでしょう? それなら大歓迎です!」


 そして、空気の読める心の広いお嬢様は、笑顔でユトゥスさんを受け入れてくれる。流石です。

 たぶんユトゥスさんも、一人歩きは寂しかったかつまらなかったのだろう。メルルの提案に、少し伺いながらも有り難く受けてくれた。

 かくして、お出かけ女子会は3人となったのである。

 ……あ、あたし女じゃなかったわ。サンセさんならともかく、ユトゥスさんはその辺知らないから、抑えていかないと。


「調査や聞き込みをするなんて、もしかして騎士学校の生徒さんですか?」

「ええ、その通りです。普段から街を見回ったり、怪しい噂の元を探したりをしています」

「凄いわ、もう心は立派な騎士なのね!」

「いえ、まだまだ未熟者で……」


 3人になったところで、ランチついでにお店に入ることにした。

 流石に今回はメルルも居るので、商店街のこじゃれたカフェにする。お嬢様がたには、こういう店のオシャレな軽食で充分です。

 あたし? いいんだよ、静かにお付き合いするのが紳士ってものですよ。

 思考の中ですら性別が一定しないが、もう今更なので突っ込むんじゃない。


「メルルさんは、確かマリヤさんがカルネイロ領の方と仰っていましたから…」

「ええ、領主の娘です。いずれ父の跡を継ぐつもりですけど」

「凄いです、その為に王都の学院まで…!」

「父の事を心から尊敬してますから。後継ぎとして恥ずかしくないように努めませんと」


 二人とも、女性だてらに重要な職に就くであろう辺り、意気投合してるようだ。

 メルルはお父さんの唯一の実子でほぼ確定した後継者だし、ユトゥスさんも前騎士団長の孫娘だもんね。きっと期待されているのだろう。

 それを重荷に思ったり、気負ったりしてる様子はない。

 女性は強い。強いねえ、レオンよ。


「……あの、差し出がましい事を聞くようで、恐縮なのですけれど」

「なんでしょう?」

「メルルさんとマリヤさんは、もしかしてご婚約されて……」

「「いません」」


 ひっさびさに聞かれたわ、それ。

 そんなに男女で出かけるのって、変なのかなー。仲が良い自覚はあるけど、さっきも義姉だって紹介したじゃないか。

 それとも、お嬢様と執事のカップルって、そんなよくある事なの?

 二人で即答すると、ユトゥスさんがぱっと両手を頬にあてた。

 その仕草するヒト結構いるけど、だから君たち毛並みのせいで、赤面してたとしても見えないからね? なんでなの熱くなるから?


「し、失礼しました…! さきほど見かけた姿が、とてもむつまじく寄り添っていたように見えたものですから…」

「いえ…。義理とは言え、何年も一緒に育った姉弟ですから、どうしても無意識に距離が近くなってしまうんです」

「お嬢様に恋人でもできたら、もう少しお互い気にするのでしょうけれどね」


 少なくともあたしは距離置くようにするわ。

 ああいや、その前からするべきか。この勘違いを何度もされるようでは、メルルを純粋に慕っているのに声をかけられない男子が居ても不思議ではない。

 で、だいたい性格の良い子ほど、察して近づかなくなるんだよな。何事も、なかなかままならない。


「メルルさんには、思い人はいらっしゃらないのですか…?」

「お恥ずかしい事に。…どうも、身近にとても気を遣ってくれる素敵な異性がいるせいか、目が肥えてしまっているのかもしれません」


 ねえ、なんてメルルは笑ってあたしに同意を求める。

 ……え、あたし? あたしのせいなの? メルルに彼氏が出来ないのって、外面的にも中身的にも、あたしのせい??

 冗談言ってるんだろうとは思うが、なんか責任感じちゃうぞ……

 思わず考え込んでしまったあたしに、ユトゥスさんはあっと何かに気づいたように声を上げる。


「そうですね、メルルさんは貴族科なのですよね? 毎日レオン殿下とお会いになっているのであれば、他の男性が見劣りしてしまっても仕方ありません」

「はい?」


 え、そう直結するんだ。恋ってすごい。

 なんかすごく納得されてしまったんだけど、えっとメルル、今のはレオンの事だった?

 思わず視線を向けたら、首を傾げられた。違うようだ。

 逆に、戸惑う反応した辺り、メルルの中ではレオンは気を遣ってくれる異性、の枠に入っていないのだろうか。なんて気の毒な。


「あの、ユトゥスさんはレオン殿下と何か……」

「い、いえ! そんな! 私程度の騎士見習いが殿下となんて、恐れ多い…!」


 まだ何も言ってないよ、ユトゥスさん!

 そして、その反応でメルルはすべてを悟ったようだった。流石ですお嬢様。


「レオン殿下は、未だ特に仲の良い女性という相手は居られませんよ」

「……そ、…そうなのです、か?」

「ええ、一番お話なさるのはポーラ様でしょうけれど、あのお二人はお互いにそういう対象として捉えておられないようですし」


 ほんと、あそこがくっつけばすべてが円満に行く気がしてならない。

 心から無責任な事だが、何度も思う。

 しかして、あの二人の間にベクトルが本気でないから、逆に困る。

 なんか、こじらせてるのがあたしとメルルの方な気がしてくる。実際そうなのかもしれないけどね?!


「ねえ、ユトゥスさん、殿下にアタックしてみたらどうかしら」

「え、えええ、いえそんな、私は一介の騎士として、いずれ殿下のお役に立てれば良いと……」

「最初からあきらめちゃダメよ! ユトゥスさんみたいに真面目で礼儀正しくて、一途で献身的に頑張れるヒト、とても素敵だわ! 殿下を取り囲んでる貴族の子女たちより、よっぽどお似合いよ!」

「そ、そんな……そんな道は、私、もう……」

「まだ誰も、殿下のお相手としてのスタートラインに立ってないわ、ユトゥスさんさえその気なら、わたしが学院生活中に婚約者が出来ないように見張っちゃう!」


 メルル……

 あたしが言えたことじゃないんだけど、君もなかなかにむごい発言をしていらっしゃる。気づいてないけど。

 たぶん、これは確実に親切心である。レオンと、ユトゥスさんの、双方への。

 レオンが王子様目当てのお嬢様がたに言い寄られて辟易しているのも、そのやり方が時に見苦しいのも間近で見て解っている。なんせ一時の被害者だ。

 それくらいなら、遠巻きでも彼の為に役に立てれば、なんて純真な思いをかなえようとしているユトゥスさんがふさわしく見えるのは当然の心理だ。

 そこに別にあたしも異論はないのだが。

 ただ、明らかにメルルにフラグ立ててるレオンが、死ぬほど不憫なだけで。


「頑張ってユトゥスさん! 権力目当ての女性たちなんてなぎ倒すの、そしてユトゥスさんがレオン殿下を真にお守りするのが、一番良いわ!」

「め、メルルさん……。こんなに応援して下さる方が、いるなんて……!」


 あ、やばいユトゥスさんも乗せられてきた。

 謎のテンションで盛り上がり、すっかり敬語もどっかへ行ったメルルにがっしりと手をつかまれ、……っていうか蹄で挟まれてるんだが、ともあれ見つめ合う二人の間に情熱の炎が灯り始める。

 あれ、あたしこれ、止めるべきなんだろうか??

 この短いやり取りで、すっかりその気になってるメルルをどうしたものか。

 ユトゥスさん悪い人じゃないどころかめっちゃいい人だし、それを知ってるからあたしも友人だと思ってるし、そうなってる事を察してはいるんだろうけど。


「わ、解りました。私……諦めません! きっとこの国一番の騎士になって、心身共に殿下を末永くお守りするお役目を勝ち取ってみせます!」

「ええ、その意気よ! わたしは貴方の味方だからね、ユトゥスさん!」

「メルルさん……!!」


 あ、もうだめだこれ。

 口を挟むタイミングもないまま、すっかり炎は点火してしまった。

 どうしたもんかと思ったけど、まあいいや。どうにかなる。

 正直、メルルに一切フラグ立ってない以上、レオン的にはユトゥスさんとの方が幸せになれる気がする。お互いに。

 こないだ会った時も、割とまんざらでもない感じだったしね。

 唯一の懸念事項は、ユトゥスさんも押せ押せになってしまわないかという辺り。その方向性はレオンうんざりしてるから、ゆっくり外堀埋めようぜ。




 そして、その日の帰り道。


「……結局、わたしの悩み事って、何も解決してないわよね」

「そうですねえ」


 なんで自分は置いといて、他の人のエンジンをかけたかな?

 むしろあたしが聞きたいが、うんまあ仲良しの友達の幸せの為に何かをしようと働きかけられる、メルルが大好きだよ?


「ちなみに、クルウという選択肢は」

「ないっ!!」

「そうですか」


 一応聞いてみたが、想定内の反応だった。

 ……これが本気の拒否なのか、照れ隠しなのかは、本当にわからないんだよね。

 心底嫌ってる訳じゃないと思うんだけど、あるいは今後なんか新しい出会いでもあるかな……








 全くひどい話もあったもんじゃない(レオン的に)。


 なんだか、更にこじれこじれて、いったいどうしたいのかこの人たちは。

 よくわかりませんが、なるようになると思います。

 たぶん。




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