36・秋のお昼休み
公爵家令嬢とのお茶会の後、普段の食堂では取り巻きさんや他の方々との兼ね合いもあるのかこっちに来ないのだが、3日に一度のお外でお弁当の日はポーラ様もあたし達と一緒に居るようになった。
幸いにも、大抵のヒトはそれを『公爵家令嬢が王太子と仲を深め、私的な時間を共有するようになった』という認識でいるらしい。
多分だが、取り巻きさん達がそのように認識し、周囲に広めて他のレオン目当ての女子達を牽制しているのだと思われる。
気を使っているのか彼女らもこの時は来ないのだが……
「本当は、レオン様に恥を忍んでお願いしようかとも思ったのです。けれど、しなくて良かったですわ。そうしたら結局ここでも普通にお喋りできなかったと思いますもの」
「まあ、頼まれたとして、俺も妙な勘繰りをして近付けなかったかもしれんが」
「レオン様はずるいですわ。マリヤさんを『俺の友だ』と公言して、他の方々を寄せ付けずあまつさえ独り占めしているのですもの。独占はよくありません」
「そんなつもりは……。というか、ポーラ殿はこんな性格だったのか?」
「それはわたくしのセリフでもありますのよ」
……仲が良いと言えばそうなんだろうが、全く恋愛要素は2人に無い訳だ。
木陰に敷物を敷いて、貴族が男女構わず座ってお弁当食べてるとか、家族でもなきゃそうそう無い光景がそこにあった。
メルルは肝が据わっているのでレオンやポーラ嬢が居ても気にせずもくもくカボチャのコロッケを食べている訳だが、人見知り上級者のサンセさんは数回顔を合わせてもまだメルルに後ろに隠れがちだ。
エルミン君に到っては全く慣れる様子が無く、がっちがちである。
君、対面初日にレオンを問答したのは何だったのかね。
「ご存知無いようですが、確かにマリヤさんを敵視する方は多いです。けれど、それは殿方だけのお話。女性に限れば貴族にも……いえ、殿方でもレオン様に拘らない方の大半はマリヤさんに憧れておりますのよ?」
「あら、ちゃんとお目が高い方も居ますのね。姉として誇らしいです」
ポーラ様が居るのでメルルも大人しい口調だが、この分だと2年生になる頃には通常モードに移行するんだろうな…
それでいいのか。いいのかな。いいんだろうな、ポーラ様の望みを考えれば。
「まあマリヤは男にも女にも人気はあっておかしくは無いが」
「…なんでですかね」
「自覚が無いのか。単純に見た目が良いし、成績も良い。かといってそれを鼻にかけるでもなく謙虚であるし、女性に優しいがこびている訳でもなく、男性にも気を遣う。だからだろう」
「ええ。貴族の子女の中では、執事にするならマリヤさん派とエルミンさん派でほぼ勢力が二分されておりますわ」
「ふえ?!」
あ、いきなり名前を出されてエルミン君がキョドった。
取り落としかけたフォークを慌ててキャッチして、驚いた表情でポーラ様を見て何故かすぐに視線を明後日の方にやったり物凄く挙動不審だ。
落ち着けよ。スイッチ入ってないとこの子はもう。
そんなあからさまにおどおどするエルミン君に、ポーラ様は微笑ましそうにくすくすと笑う。
「…エルミンさんは、普段はこんなに可愛らしい方でしたのね。たまにお見かけする時はキリっとしていて凛々しい方と思っておりましたのに」
「あ、す、すすすすすいませんっ」
「いいえ、このギャップも素敵だと思いますわ。また新しいファンの方が出来るかもしれませんわね」
「こ、光栄で、あ、いえ、出来ればあんまり広めて頂きたくは…!」
からかわれてんぞ、少年。
あたしとしては、こっちの通常モードのエルミン君との付き合いの方が多いので彼は可愛い系という認識なんだけどね。
「良かったですねエルミン君。就職先は引く手数多のようですよ」
「そ、そうですね、有難いですが、…まだ1年生ですし、学ぶ事が沢山ありますし油断せずしっかり頑張りませんと…」
「あら、卒業後に行く先に困りましたら、是非メドヴェージ家に来て下さいませ。歓迎致しますわ」
「えっ、あっ、その、ありが」
微笑みかけられ、どもりまくりのエルミン君は嬉しそうにお礼を言いかけたが。
その途中で不自然に言葉が止まる。
何故ならぐいっと肘の当たりの服を引っ張られたからで、彼が振り返った先にはメルルの背中にしがみつき気味のサンセさんが、片手だけ伸ばしてしっかと捕まえていたのだった。
「……しゅ、就職先に、悩む必要、無い、です。…その、うちも、ちょっと人手不足、でして、…優秀な、執事さんなら、是非、来て頂きたい…です…っ」
「え? …あ、えと、有難う御座います…」
ええい、鈍感め。
遥か目上のポーラ様の誘いに被せるように、普段よりも句読点増し増しの口調で言い出したサンセさんに何か思わんのかね。
ポーラ様の方はぎゅうっとエルミン君の袖を掴むサンセさんと、きょとんとした表情を返すエルミン君にあらあら、なんて微笑んでるけど。
…まあ引っ込み思案マスターのサンセさん的に、誘うならお友達になった子の方が安心だから、とか言う可能性もあるけどね。
「青春だねえ…」
「和むわねー…」
メルルと2人で、お茶を飲んだ。
すっかり秋の風になった今日この頃、暖かいお茶が美味しい。
なんというか、縁側でお茶を飲むおばあちゃんみたいな気持ちで息を吐いたら、ふと視線を感じてそちらを見る。
…何故か、ポーラ様が目を丸くしてあたしを見ていた。
次の瞬間、気がついてぱしっと右手を自分の口に当てる。
いかん、最近この状況で通常モードで居る事も多かったから、つい素が出た。
「まあ! まあまあ、マリヤさんの敬語以外の口調を初めて聞きましたわ! それが普段の貴方ですの?」
「あ、…いえ、まあ…。失礼しました、気が緩んでしまいまして…」
「構いませんわ、折角お友達同士の気安い席なのでしょう? 是非わたくしの事は気にせず、楽な喋り方で居て下さいな」
にこにこポーラ様は笑ってるが…
友達、なら良いよ? 良いさ。
だが彼女は、なんというか、あたしに夢を見ていたい恋する乙女なので。
同じ女(頭の中身は)として、気持ちは解らないでもないし、出来れば暫くは夢を壊さないであげたかったんだけど…
「その、…恐らく、気に障る口調だと思いますので」
「そんな事ありませんわ! …それはよほど汚い口の聞き方をされれば困ってしまいますけれど、マリヤさんも貴族ですもの、それは無いでしょう? ねえ、レオン様、そうですわよね?」
「…ああ、まあ、汚くはないな」
性別が混乱しているだけだからね。
頼むからそんな期待の視線を投げないで下さいませんか、お嬢さん。
ご自分の身分考えれば気安い口調に出来る訳ないだろう…と言いたい所だが、レオンにタメで話している時点で今更っちゃあ今更だ。
…まあ、壊れるなら壊れるで、早めの方がこじらせないで済むか。
観念して、ちょっと息を吐く。
「……絶対吃驚というか、がっかりすると思うんだけどなあ。普段はあたし、こういう喋り方しか出来ないし」
肩を竦めて言ったら、案の定ポーラ様が先ほどよりもよほど目を丸くした。
ほらー、だから言ったのにー。好奇心は猫を殺すんだぞー。
たっぷり1分ほど停止した後、再起動はしたようだが吃驚顔のままだ。
「お、驚きましたわ」
「でしょうね。…気持ち悪いでしょう、やめておく?」
「いえっ、大丈夫です! むしろ、なんと言いますか……ひとつくらい完璧でない所があった方が、親しみやすくなるという物です。これも一つの個性ですわ」
懐広いな!!
ここまでで会った事無いけど、この世界って実はオネエ系普通にアリなの?
…いや、あった事がないんだから一般的ではないと思うんだけど。
あれか。『ただしイケメンに限る』ってやつか。顔が良ければOKなのか。都合の良いコトだなあ!!
「ああ、そうだな。敬語かつ完全に執事モードの時のマリヤは、若干近付きがたい部分があるからな」
「…そう?」
「それでも、わたし達と一緒だと雰囲気が柔らかくなるけれど。授業中とか、真面目にやってる時って物凄く、なんていうの? クール系というか…」
「邪魔をしてはいけない、ようなオーラがあって、良い意味で近付きがたい時はありますわ。それを思えば、こちらの方がわたくしは親しみやすいと思います」
…そうか。あんまり自覚ないんだけど。っていうか、メルル通常口調になってる。早いよ。
確かに、学院入ってからまた身長伸びたし、うーんまだあたし個人のジャッジとしては子供の顔なんだが、ちょっと変わってきたからなあ。
クール系と言えば、そう見えなくも無いのか…
周囲に親しいヒトが居なかったり、授業中は笑うこともないからな。ていうかそんな時に笑ってたらただの変なヒトだ。
「一応お聞きしたいのですけれど、口調が女性的なだけで、男性ですわよね?」
「男性よ。単に普通に喋るとこうなっちゃって、治すの面倒だからやめちゃっただけであって」
「しかし、見た目は良いが女っ気が無いよな、マリヤは。実は意外と頭の中身も女であったりするんじゃないか」
「うん、レオンはデザート要らないみたいね。メルル、プリン二つ食べる?」
「あ、食べる!」
話しながら食べ終わったお弁当を片付け、保冷バッグから取り出したプリンを配ろうとしていたのだが、取り出したプリンをさっとメルルに差し出す。
阿呆な事言い出しおって。確かに事実として頭の中身は女なんだけど、あたしは男として生きるつもりで居るし、生きているつもりだ。
食べると返答はしたが、メルルは受け取っては居ない。
視線の先に、思いっきり口元引き攣らせた王子様が居るからだ。
「ちょ! 待て! すまん、冗談だ!」
「レオン、世の中には言って良い冗談と悪い冗談があるの。…今のはダメな方ね」
「すまなかった! 解っている、お前ほど男らしいヤツもそうそう居ない!」
…………その評価も、それはそれで微妙な気分になるわ。
確かに歩き方とか少し見直したりしたんだけど、『男として』…というより『執事として』という立ち振る舞いや仕草を意識している、ってのを除けば結構ナチュラルに生きているのである。
どうやら、あたしには根っから女の才能がなかったようだ…
でも精神的にはやっぱり女なので、その評価、地味に傷つく。
女っぽいといわれれば否定するし、男らしいといわれればひっそり凹むとか、いったいあたしは今性別のどの辺にいるのか…
ニューハーフ? これがニューハーフなの?
逃げようが無い問題だし、変な騒動になるのもイヤなので、あたしの内心については今後も表には出さない事にしておくが。
「はい、ポーラ様もどうぞ」
「有難う御座います…」
中身が見えたほうがプリンらしいけど、ガラスで蒸すのも怖かったので結局茶碗蒸しの如く焼き物のカップで作ったプリンをレオンの次にポーラ様にも手渡す。
その際に軽く手、…というかポーラ様の肉球に触れた。ぷにってした。
あたしの感想としてはやっぱりご令嬢は肉球柔らかいんだなあ、であったのだがポーラ様の方は恥ずかしそうに視線を伏せながらプリンを受け取りお礼を言う。
…物の受け渡しの際の手が触れちゃってドキっ☆ …に該当するのだろうが、残念ながらあたしの方にそんな少女マンガ的心の浮き立ちは無いのであった。
いや、再三繰り返すけど、可愛いとは思ってますよ?
可愛い…シロクマさんですよ。
「口調と言えば、エルミン君も多分それが素じゃないわよね?」
「えっ? いえ、そんな事は」
「だって、前に街に言った時、レオンみたいのでもあたしみたいのでもなかったけど、普通に話してたじゃない」
普通の男の子っぽく。
状況がアレだったので突っ込み損ねてたのだが、あの時を除けばエルミン君は常にあたし相手でも誰相手でも敬語だ。
別にそれが悪いって訳じゃないんだけど。
敬語キャラが多いんだよ。いやそりゃ貴族社会は当然かもしれんが。
「あの時はー…、街の知り合い相手でしたから」
「構わんぞ、この場においては普通に喋っても。マリヤもこうだし、今更だ」
「で、出来ませんって! 親しくさせて頂いてますけれど、皆様僕よりもずっと上の身分の方ばかりですし!」
…そうだね、レオンを最大の10とすると、ポーラ様が9であたしとメルルとサンセさんが6、そしてエルミン君は1になるからね。
格差社会にも程がある。
「何だ、友である俺達よりも、知り合いの方が気安くするに相応しいか」
「変に油断を覚えて、ここ以外で口を滑らせるのが何より怖いです…」
「ああ、エルミン君は時々ドジっ子だからねえ…」
彼の場合、本当にうっかりやりそうだ。
そうなると、常に敬語キャラで居たほうが安全と言えば安全だよね。
と、またサンセさんが、ちょいちょいとエルミン君の袖を引っ張る。
どうでもいいけど、淑女として男性の袖引っ張るとか、どうなのか。いや、庶民の感覚で見りゃ可愛いんだけどさ。
「…私はちょっと、聞いてみたい、です。エルミンさんの、普段の喋り方…」
「ええっ。その、ですから敬語で定着させておきたいので…」
「そのうち…。で、良いので…」
「はあ…」
ええい、アプローチに気付かないか青少年。
これはこれで見ていてやきもきする。自分の事は棚上げだ、つかあたしは気付いていて反応しようが無いので好きにして貰ってるだけだ。
……多分あたしの方が酷いな。うん。
「そうですわ。わたくし、次の授業の準備に少し時間がかかりますの。申し訳ありませんが、先に失礼させて頂きますわね」
「そうか。またな、ポーラ殿」
「はい。マリヤさん、今日も大変美味しかったです。…有難う御座います」
「お褒め頂き、……じゃなかった、喜んで貰えてあたしも嬉しいわ。またね、ポーラ様」
思わず丁寧に返しそうになったが、この場においては彼女が望んでいるのはそうじゃないんだろう。
という訳で素で返して笑ったら、嬉しそうにはにかんで、ちょっとだけもじもじした感じで先にこの場から離れて行った。
…うーん、乙女だなあ。
「マリヤ君はっ!」
「へ?」
「よくポーラ様にあんな笑顔を向けられて、平然としてられますねっ!」
……シロクマの笑顔だよ。
居なくなって突然エキサイトしたエルミン君に、思わず首を傾げる。
「そもそも、好きですって告白されたような物なんでしょう?! それでなんで、そうやって普通にしてられるんですか?!」
「……なんで、と言われても。あたしはメルルの執事になるんだから、応える訳にいかないでしょう、婿にはいけないんだし」
「そうじゃなくて! そうじゃなくって!! あんなにお綺麗なヒトに好意向けられて、僕だったらマトモに会話も出来ませんよ!!」
…あ、やっぱ美人なんだ。
てか、君がやたらと大人しいというかどぎまぎしてたのは、やっぱりこの場に憧れの美人さんがいるからとか、そういうのだったのかい。
レオンは美人は見慣れてるというか、元々ポーラ様とは知り合いだったから平気なんだろうけどね。
確かに、貧乏男爵の次男からすれば、公爵家の令嬢なんて、これ以上ない高嶺の花だもんな。声をかけられただけで一生分の運を使い切るような幸運だ。
納得いかないと地面をばしばし叩くエルミン君である。
「…でも確かに、ポーラ様ほどの美人に言われたら、マズイと思ってわたしも思わずマリヤにがしってしちゃったもの」
「お綺麗、ですし、…お優しい、ですし。女でも、ドキドキ、しますよね」
「俺達の学年では……いや、学院の生徒全体で見ても、1・2を争う美女だとは思うぞ。それに恋されてそれを理解して、よく理性的で居られるな」
あれ、他3人からもエルミン君への同意が来た。
そういわれてもなー……
しかし、弁明しないと『やっぱり頭の中身も女なのか』疑惑に帰着するなこれ。
腕を組んで、考え込む。
「美人というか…、可愛い、とは思うけど。…感覚の違いかなあ」
「趣味じゃないって言うんですか。どれだけ面食いなんですか」
「そうじゃなくてね。メルルには前に言ったんだけど、あたしはカルネイロ家に引き取られるまで、人間しか居ない国で育ったのよ」
というか、メルルにしか言ってなくて、お父さん達にも言ってないんだけどね。
そのうち言おう言おうと思ってて、でも上手い事説明できる気がしなかったので結局言わずに現在に至る。
「待て、何処だそれは?! 聞いた事がないぞ、国を形成出来るほど生き残っているのか?!」
「何処かはあたしも知らないわよ。あたしはそこから事故でこっちに飛ばされて落っこちただけで、元居た場所が何処かなんてわかんないもの」
「どんな事故ですか」
「知らないってば。気がついたらここに居たんだもん」
元居た世界で死んでこっちに転生した、というのだけは事実だろうけど、なんである程度育った状態で一人で放り出されたのかは謎だ。
転生ものなら赤ん坊から生まれ直すか、ご都合主義転生ならなんかのチートでも付与されてブイブイやるんだろうけど、その辺もないしね…
拾われたヒトや周囲の環境という幸運はあれど、あたしは普通の人間だ。
「その辺りはあたしにもわからないから置いといて。ともあれ、あたしは人間だけのコミュニティで物心付くまで育っちゃってるから。この国のヒトを同じヒトだと認めないって訳じゃ絶対ないけど、同種族だと思えるかはまた別というか…」
「…ニンゲンは、俺達ほど多種多様な毛並みだったりはしないのか?」
「しないわね。毛色や肌の色が多少変わるけど、レオン達程変わらないわ」
「そうか、同じような物を見慣れているのなら、尚更俺達のようなヒトを同種とは思えないのは仕方ないか」
「常識の相違ってヤツよね。頭では解ってるけど、感性はそう変わらないわ」
逆に、レオン達は普段から多種多様な毛並み、角や牙や爪のあるなし、国を跨げば羽毛あり、鱗あり、外殻ありという世界で生きている。
だから、あたしがいくら珍しい種族と言っても、それも個性の一つとして受け入れられる。から、ポーラ様みたいな例も出てしまう。
「なんというか、…あたしとしては、犬と猫は似たような生き物に見えるけど、その二者が仲良くはなってもつがいにはならない、って感覚かなあ…」
「ああ、うん…。なんとなく、理解はしました」
「そうなると、また問題だな。マリヤ1人で、今度こそニンゲンが絶滅してしまうかもしれないのか」
「大丈夫でしょ? ここじゃない遠くだったとしても、マリヤが来たニンゲンだけの国がある筈じゃない」
…別の世界だけどね。
いや、生まれた以上は何処かにあるかもだけどね、人間の国…
なんせ、認識されている『この世界』は比較的狭いから。その認識範囲の外に、あるのかもしれない。
…あってもいいけど、会わなくてもいいや。
あたしがやらかしている色々のせいで、この世界の人間のハードルが上がっててもしあたし以外に見つかったら気の毒なことになりそうなので…
悪い事をしたとは思っている。
「そうなると、ポーラ様が気の毒です…」
「それはあたしだって思ってるわ…」
恋に恋するお年頃とは言え、叶わない恋に身を窶すのはどうなのだろう…
でも、どうにも出来ないんだものさ。
好きにするのは勝手なんだけど、…彼女もとても良い子だから。出来れば、幸せになって欲しいもんなんだけどなあ。
……いっそ本当にレオンとくっつきゃいいのに。
6人組で、あたしとメルルが普通に残る?
いいんだよ。メルルには地元に喧嘩友達がいるから。
あたしに関してはもうほっとけ。
ベクトルがごっちゃごっちゃな現状。
とりあえず、平和に仲良くやってます。
若干サンセさんがエルミン君に矢印出しているような気がしますが、エルミン君は気がついてません。
ポーラ様への憧れが強くて、気付かないのかもしれない。
今後気付くかは、知らない。
とりあえずポーラ様は現状で結構満足している。
好きなヒトの近くに来て、親しくお話出来るだけで幸せ。
こっからどうするかは、知らない。




