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ヒツジさんの執事さん  作者: 美琴
第二章
36/67

35・ご令嬢をおもてなし



 ちょっとした成り行き上、公爵令嬢であるポーラ様を助けてしまったところ、お礼にお茶会に呼ばれ、今度はあたしとメルルが主催でお茶会してポーラ様達をお招きする事になってしまった。

 ポーラ様いわく、彼女はお菓子が大好きで、カルネイロ領で最近噂になっている珍しいお菓子……即ちあたしが作ったお菓子を食べてみたい、らしく。

 それが本当にそれだけの理由なのか、他にも目的があるのか、…普通考えて他にもあると思って良いだろう。

 ポーラ様はとてつもなく良いヒトだが、公爵家のご令嬢がそんな極普通に単純でのんびりしたヒトではありえない。

 幼い頃から、貴族社会の荒波にある程度はもまれてきている訳だからね。

 あたし達みたいに、他の貴族とあんまり交流なく庶民に混じってほのぼの学校に通ってた筈は無いから。

 …そういう意味では、あたし達はそういう政治的かけひきは苦手だ。

 それを勉強しに来てる訳でもあり、これが第一歩になるんだろう。


 ただ幸いにも、名目上はお菓子がメインである。

 口実なのかそうでないのかは不明だが、間違いなく都会のお嬢様達の度肝を抜く事は可能だと自負している。

 そういう意味では、その茶会の席で『所詮は田舎貴族』と鼻で笑われる事はなくなるし、只者じゃないという印象でお話の先制ジャブくらいは出来る。

 ポーラ様はともかく、周囲の取り巻きお嬢様への牽制にはなるだろう。

 いつか役に立つ日が来るとは思っていたが、こんなに早くその日が来るとは。

 やっぱり、人生なんでも準備はしておくものだよ。芸は身を助ける。

 なんせあたしの行動でメルルを窮地(?)に立たせているので、その挽回もまたあたしがして然るべきである。

 というわけで、気合を入れまくっている現在だ。


「何これ! あたらしいの?! これ見た事ない!」

「マカロン? 綺麗でしょ、一個どうぞ」

「いいの?! ありがとー!」


 折角なので、今までメルルに作ってなかったのも作っている。

 科学的の着色料とか無い世界だが、風味と一緒に色をつける事は出来る。

 オレンジは人参、黄色はカボチャでいけるし、赤はラズベリーとか、緑はほうれん草とかね。野菜風味のマカロンも、素朴な味になって美味しいよ。

 お野菜大好きなメルルには大ウケのようだ。

 一口食べて、ぱあああっと輝く笑顔になる。うん、これはお茶会で初出ししなくて良かった。メルルまで過剰反応してどーする。


「美味しいーー!! サクサクした触感もクッキーとは違っておもしろーい!」

「一個だけよ、メルル。数必要なんだから」

「うう…」


 お茶会の時に食べれば良いと言っても、お嬢様方のお茶会だからがっつく訳にはいかないけどね。いやお茶会じゃなくても貴族のご令嬢ががっつくの良くない。

 さーて、お茶会開催までにどれだけ用意出来るかな。

 流石にポーラ様達のようにメイドさん複数とか居ない以上、あたし1人だと手が足りないので、エルミン君にもお手伝いを頼んである。

 あと、サンセさんにも紅茶を提供して頂いたので、彼女もお茶会に参加だ。

 ……そしてレオンだけはハブられるという結果になり、物凄く不満そうにしていたが、女子会なんだから諦めろと説得し、レオンの分の焼き菓子を包んでプレゼントするという事で落ち着いた。

 レオンも甘いの嫌いだったと言う割りに、あたしの作るお菓子は好きだ。

 メルルもそうだったし、エルミン君はあまり甘いものを食べたことがなかったらしく、例のアレと比べてはいないが美味しいと目を輝かせていた。

 サンセさんは元々あの病人製造機信者ではあったが、彼女も地方育ちなので頻繁に食べて居た訳ではなく、壊れてなかったからこっちに転んだのだと思う。

 …ここまで非常にウケてるのだが、なんせ今回はあのだだ甘落雁を美味しいと言って日常的に召し上がるお嬢様方だ。

 辛味は徐々に壊れて行ってどんどん辛くしないと満足できなくなると聞いた事があるが、甘味ってどうなんだろう?

 砂糖も一種の中毒を引き起こす、習慣性のある代物らしいからなあ…

 こればかりは、もう全力で甘くないと満足できない! …というレベルに壊れていない事を祈るばかりである。

 そもそもあたしのお菓子は甘いだけの物ではないし、お菓子というか料理として見て貰えれば話は別かもだけどね。




――――――




 お茶会の会場は、先日ポーラ様にお招き頂いたのと同じお部屋。

 お手紙でお知らせした時間きっかりに、ポーラ様はいつもの取り巻きさん達を引き連れてやってきた。

 ポーラ様、今日はオレンジ色のドレスなのね。秋だからかな?

 毛並みが白いから、大抵の色は似合っていいなあ。

 お部屋の前であたしがお出迎え。今日は主催側であたしは給仕役なので、燕尾服を着ている。

 それをこの学院で見せるのは初めてだ。あら、なんてポーラ様が声を上げる。まさか君も執事に夢見る乙女か。いやポーラ様の場合は屋敷にいくらでも居るか。

 扉を開くと、一番に目に入るのは一面がガラス窓になって居る為に一望できる中庭の風景。この国、四季があるせいか秋には紅葉する木が多い。

 寮の中庭の木も大部分がそれで、赤や黄色に色づく庭は、嬉しい事に本日が見頃だ。

 ……いやまあ学校のモンだからあたし達が意図的に用意した場ではないが、それでもここからの景色は綺麗だよね。先日のお茶会の時は、まだ色づきもまばらだったから。その時と比べると、印象が大分違う。


「ようこそおいで下さいました、ポーラ様。皆様も、お待ちしておりました」


 主催者であるメルルが、スカートのドレープを広げ、軽く膝を折る淑女の礼でもってポーラ様達をお出迎えする。

 それに対してポーラ様も同様に返礼を返す。……うん、メルルもかなり様になってきてるけど、ポーラ様の礼は綺麗だな。完璧だとあたしも思う。


「お招き頂き有難う御座います。わたくしの我侭をお聞き入れ下さり、感謝の言葉もありません」


 ふわりと柔らかく、ポーラ様は微笑む。

 シロクマの笑顔も、見慣れてくれば可愛いなあとか思う。

 ひっそりと失礼な事を考えながら、そ知らぬ顔でお茶の準備に取り掛かる。と言っても、当然ながらティーカップは温めてあるし、時間に合わせて紅茶の蒸らしも終えているので注ぐだけだ。

 エルミン君と手分けして、紅茶と一緒にお茶請けを持ったお皿をお嬢様方に提供していく。

 職業メイドさんには及ばないが、あたしとエルミン君も一年生ながらトップの成績を保持し続けている執事見習いである。

 じ、っとあたし達を動きを見つめている取り巻きお嬢様だったが、どこからも無作法の指摘は飛んでこなかった。

 完全に至らぬところがあれば即座に突っ込む視線である。

 おかげでヒヤヒヤものだが、あたしはそんな事を表情にはおくびにも出さず、エルミン君もきちんとスイッチが入ってさえ居れば決してトチる事がないと信頼している。

 ……彼がドジを踏むのは、決まってプライベートの時だ。

 提供を終えてから、あたしとエルミン君は部屋の両側に分かれて待機する。お茶のお代わりとか、お嬢様の手でさせてはいけないし、声を出させてもいけない。

 ので、こっから先も基本は手分けだ。


「我が領地である、プルミエ村で育てられた素材を使いました、焼き菓子で御座います。紅茶はこちらのサンセさんよりご提供頂きました。お楽しみ頂ければ幸いと存じます」


 何度も言うようだが、農作物としてはプルミエ産、という以上のブランドはこの国には存在していない。紅茶も、アイルリーデ領の物が、国内産としては最高の物という事になる。

 …ま、地元なんでお互いに取り寄せる為の費用くらいしかかかってないけど。

 そんな訳で、そこに文句はつけられない。あたし達が、淹れるのをトチっていない限りはだが。

 少なくともポーラ様が一口含み、香りを楽しんでいる表情に陰りは全く見られないし、むしろ満足そうだ。

 ポーラ様が満足なさっている物を、取り巻きお嬢様達が異を唱えるはずも無い。

 紅茶の方は、大丈夫。

 問題は、彼女がご所望なさったお菓子だ。

 先ず用意したのは、焼き菓子のアソートメント。

 各種クッキーにマドレーヌ、フィナンシェ。リーフパイにマカロンと言った所。

 全体的に茶色いのが難なので、そこでマカロンやジャムクッキーの出番という訳である。彩りも大事。

 どれもこの世界、少なくともこの国には無いお菓子であり、ポーラ様も興味津々とその姿を眺めた後、クッキーの一つを手に取る。

 あのだだ甘落雁も直接手に取って食べる菓子だったので、同じように食べられる系を最初に持ってきたのだが、正解だったかな。

 そのまま、さく、と軽い音を立てて一口。

 お嬢様方も、それに続く。それぞれ、違うものを口にしたようだ。

 それからは、僅かな沈黙が降りた。

 サンセさんは紅茶にもお菓子にも手を付けず、緊張している様子。メルルは全くその当たりの緊張を見せず、シャンと背を伸ばしてマカロンを食べている。…そうか、もっと食べたかったかマカロン。また今度作るからね。


「なんですの、これ。全然甘味が足りないわ。こんな安っぽいなんて、ですが所詮は片田舎の発想ならこんなもの……」

「お黙りなさい」


 取り巻きさんのうち1人、シマリスさんが呆れたように喋り出したが、その途中でポーラ様がぴしゃりと言い放った。

 驚いた様子で彼女は言葉を止め、ポーラ様を見やる。

 ポーラ様はシマリスさんを見てはいない。というか、シマリスさん以外は一口の後に無言で固まった後はゆっくりと、黙々と手にしたお菓子を食べている。

 どうやら、味覚破壊をされていたのはシマリスさんだけのようだ。ほ、っと気付かれないように小さく小さく息を吐く。


「なんてこと…。これが、お菓子、なのですか?」

「! これ…全部、味が違いますわ。色だけではありませんのね」

「ふわふわして、しっとりしていて…、それに、バターとアーモンドの、とても良い香りですわ…!」

「これは、お菓子などではなく、…立派な料理、ではありませんの?」


 取り巻きさんの他の4人は、しっかり度肝を抜かれている。

 そりゃあ、あの砂糖をどうやってか甘味増大して固めたようなアレに比べたら、…いや比べようも無かろう。

 マカロンは色に応じて中のクリームも少しずつ風味を変えたし、マドレーヌとフィナンシェも似てはいるが風味は異なる。リーフパイはまぶした砂糖も良いが何よりサクサクした食感が大事。クッキーもシナモンを効かせたり、花を模り中央にジャムをあしらったり、ナッツを砕いていれたりいくらでも応用が利く。

 既存の菓子は甘ければ甘いほど、高くて貴族向け、というだけだ。彼女らはそれを美味しいとか申しておられたが、普通の料理が甘くないから美味しくないとは言わないだろう。

 甘味だけが彼女らの味覚ではなく、料理の複雑な味を楽しむ事が出来るくらい、舌は肥えていて当然。

 つまるところ。


「美味しい…!」


 ポーラ様の一言と、その笑顔が全ての答えである。

 あたしは表情を崩さないが、メルルはその反応に嬉しそうに微笑んだ。


「お気に召して頂けたようで、嬉しく思います」

「ああ、ごめんなさい。わたくしとしたことが、はしたなくも夢中になってしまって…。こんなお菓子がこの世にあっただなんて、感動すら覚えました」

「それこそ、作った者への最大の賛辞かと存じます。わたしも安心しました、皆様の為にご用意した品を全てお出し出来るのですから」

「……え?」


 ポーラ様を始め、大多数のお嬢様方の味覚が既に壊れているようなら、ここで終わりにするのも仕方ない事になっただろう。

 でも、壊れてるのはシマリスさんだけで、そのシマリスさんも周囲の反応に口を噤み、もう一度焼き菓子の吟味をしている。

 甘すぎないと菓子として物足りない、というだけで、他の味を感じないって訳ではない。

 美味しさという点で評価するならば、彼女としても認めないでもないようだ。

 で。

 何もお菓子とは、焼き菓子だけに留まらない。

 メルルの言葉にポーラ様は怪訝そうな反応を返すが、そこは気にせずメルルはあたしの方を見た。


「マリヤ、次の物をお願い」

「かしこまりました」


 メルルの言葉に、あたしは一礼と共に答え一端その場を離れる。と言っても、向かったのは続きになっている隣の部屋だが。

 カラカラと軽い音をたてて、ワゴンを転がしすぐに戻ってきた。

 そこに乗っていたのは、ケーキである。ただし、一つではない。


「お待たせしました。僭越ではありますが、こちらの菓子……各種ケーキについてご説明させて頂きます」


 何せ作ったのはあたしで、中にはメルルに食べさせた事がないものもある。

 説明なしで食べさせて味を判断させるのは、さっきの焼き菓子だけで充分だ。

 ヒトそれぞれ、好みというものがある。一言でケーキと言っても味は異なるのだから、出来れば好きな物を美味しく食べて貰いたい。

 用意したのは、レアのチーズケーキ。勿論ベリーのジャムつき。

 秋という良い季節だった事もあって、沢山のフルーツをあしらったタルト。

 同じく秋という事で、栗をたっぷりつかったモンブラン。

 サンセさんにやたら大量に貰ってしまった紅茶を使ったシフォン。

 そして、これが目玉だ。


「こちらは、本日の主賓であらせられます、ポーラ様の純白の毛並みにちなんでご用意させて頂きました、クリームをあしらったショートケーキで御座います」

「まあ」


 自分をイメージしたケーキ、などと言われてポーラ様が嬉しそうに、ちょっと照れたような様子で微笑む。

 あははは、女子ってそういうの好きだよね。知ってる知ってる、頭の中身は今でも女子だからね!

 自分のため、とか自分にちなんだ綺麗な物を、女性は好む。貴族ならば尚更その風潮は強いだろう。

 なので以前メルルに贈ったケーキはイチゴが乗ったショートケーキだったが、今回は外観は全てホイップクリームで覆い、ドレスのスカートのように飾ってあります。クリームだけでも、充分飾りは作れるのです。

 勿論、中身はスポンジケーキの間にフルーツをたっぷり挟んであるが。

 クッキー等の焼き菓子に比べて、ケーキは見た目華やか、お菓子界の花形だ。

 ワンホールサイズで5個も作ったが、7人も居るのだからこれくらい必要だろうし、食べつくす必要は無い。

 余ったら、後でスタッフが美味しく頂きます。笑。

 説明を終えた後、ワゴンを押したままお嬢様方の所を回って、お好みのケーキを選んでもらい、順次取り分ける。

 明らかに目がどれも味わってみたいと言っている。うん、焼き菓子で充分こちらへの興味や期待を煽れたようだ。

 ただ、彼女らはやはり、貴族のお嬢様だ。

 どれもこれも全て、などとはしたない事は言えない。…まあプライベート時のメルルだったら言うだろうが、この場では言わない。

 ポーラ様はやっぱり、ご自分にちなんだというショートケーキを選んだ。メルルは食べた事がないモンブランだ。

 ケーキを配っている間、エルミン君が新しい紅茶を皆様に配る。

 流石プロを目指す者、すれ違った一瞬以外はケーキに目を奪われることはなかった。うん、後で食べようね。大丈夫、流石に食べきられはしない、…と思う。


「ああ……」


 一口、クリームたっぷりのケーキを食べて。ポーラ様は殆ど言葉もなく、感嘆の溜息をつく。

 うっとりとした表情から、お気に召して頂けたのだとすぐ理解出来る。

 あー、そんだけおいしそうな顔して貰えると、頑張った甲斐があった。

 口元が緩みそうになるのを、咄嗟にきゅっと抑えた。いかんいかん。あたしはパティシエじゃなくて、執事です。


「こんなに柔らかな生地は食べた事がありませんわ、パンとは比べ物にもならないくらい…」

「この…タルトでしたかしら。フルーツがまるで宝石のようで美しいですわ」

「どうしたら、あの木の実がこんなに滑らかなクリームのようになるのかしら? しかも香りを消さず、優しい甘味をつけるなんて」

「まあ、紅茶もお菓子になりますのね! 白いミルクのクリームと一緒だと、まるでミルクティーを頂いているようですわ!」

「焼いてもいないチーズが、こんなに柔らかく溶けるようなお菓子になりますの? 甘味は足りませんけれど…、あら、この赤いのはとても甘いですのね」


 さっきのシマリス嬢も、普段の菓子に比べれば甘さが足りないが、比べ物にならない美味しい物だと理解したらしく、きゃっきゃとケーキ談義に加わっている。

 メルルはモンブランへの過剰反応は我慢したらしいが、何気に結構なスピードで食べている。サンセさんもすっかり緊張どっか行ったな。大好きなショートケーキにご機嫌な様子。

 ポーラ様は殆ど無言だ。恍惚とした表情で、次なるケーキへ向かっている。

 他のヒトの話を聞けば、他のケーキも食べたくなるというもの。

 私はこれが好き、こっちが美味しい、とすっかりスイーツ食べ放題にでも来た女子会のノリである。

 腹の探りあいをする怖いママ友の会よりは、こっちのが気が楽でいい。

 美味しい物って、雰囲気を和ませるよね。

 というか、あれ、このペースだと、もしかして食べきりますかお嬢様方?

 どうやら、スタッフで美味しく頂く分は残りそうにない。…エルミン君の分は今度改めて作ろう。表情には出してないが、明らか尻尾がへなっている。


「ご満足、頂けたようで何よりです」


 7人で5個のケーキを綺麗に食べ切って、彼女達は紅茶で口の中をリセットし、幸せそうな溜息をついた。そんなお嬢様方に、メルルは誇らしげに微笑む。

 …本当に食べきったよ。夕飯食べれるか、彼女らは。

 少なくともメルルの夕飯は軽めの物にしよう。カロリー取りすぎだって。

 綺麗に空になった大皿と取り皿を再びワゴンに載せて下げつつ、思わず今晩のメニューを考えた。主夫かあたしは。いや執事だよ。

 流石にお嬢様方のお腹もぽんぽんだろう。これ以上紅茶のお代わりがあるとも思えないので、エルミン君も裏の部屋に呼ぶ。


「…期待しちゃいけない事でしたけど、結構辛い役目ですねこれ…」

「うん、君の分は好きなのをまた作ってあげるからね。今度お誕生日でしょ?」

「はい…」


 案の定尻尾も耳もへたれ、涙目になってたので、慰めつつエルミン君用に取り分けておいた焼き菓子アソートと、紅茶を淹れてあげた。

 本日の報酬です。…後はあたしに任せてゆっくりお茶してて下さい。

 ちょっとだけ機嫌を直したエルミン君を置いて、お茶の席に戻る。


「…どうやら、わたくしは今の今まで、単なる砂糖の塊を愛好していたようです」


 全力を尽くした甲斐はあったようだ。

 幸せそうな、けれどほんの1時間程前までの自分を悔やむような、そんな雰囲気のポーラ嬢である。


「この国に、あのような素晴らしいお菓子があっただなんて…。いったい、カルネイロ家にはどんな素晴らしい料理人がおりますの? これほどの品、よほどの高名な方の作品でしょう?」

「それは……」


 答えて良いのか迷ったのだろうか。メルルが、戻ってきたあたしの方をちらりと見る。

 今更だし別に良いよ、と頷いたが。その前に、あたし達の一連の目配せで、ポーラ様は察したようだ。


「……まさか、このお菓子も、マリヤさんが?」

「はい。正確には、わたしの屋敷で料理を取り仕切っておりますメイドと、共同で開発した物ですが、基本的な発案は全て彼がした物です」

「では、今日のお菓子を用意して下さったのも…」

「勿論、全て彼が手ずから作り上げたものです」


 まさか全部食べるとは思わなかったけどね…。少し多くて余る、くらいがこの場合の丁度良い量だと思ってるし。

 信じられないという瞳を向けるポーラ様及びお嬢様方に、言葉は返さずただ一礼をして返答とする。

 お粗末様でした。と、日本人特有の謙遜をしたくなる。

 ほんの僅か、お嬢様方は顔を見合わせる。

 まあ、普通に考えてこんだけの新しいお菓子を1人で考えたっつったら信じられないとも思うし、あたしも何も知らなかったら信じられないよ。

 0からじゃあ間違っても出来ない。完全に、前世の記憶があるからだ。

 だから、人間のお菓子知識なのかと聞かれたら、特に否定はしないつもりだ。この世界の人間がどこでどれだけ生き残ってるか知らんが、多分生きてる間に会う事はないから、ホラだって吹くさ。

 どんな質問が来るかと思っていたら。

 ポーラ様は何か考え込んだ様子で口を噤み、代わりに取り巻きさんその2、黒い…何だろう、ネズミのようなコアラのような感じのお嬢様がメルルの方へ身を乗り出した。


「お願いします、今のお菓子の作り方をお教え頂けませんこと?! …いえ、私の家の優秀な執事をいくらでもお譲りしますわ、彼を私に下さいませ!」


 ……欲しがって頂けて光栄だよ。

 光栄だけど、相変わらず君はあたしを珍獣というか、同じヒトとしては扱っていないな? どうやらあたしに限らず、使用人以下のヒトは全て彼女にとってはそれくらいの存在らしい。

 優秀な人材をいくら出しても、と言うほど価値を見出してくださったのは、まあ嬉しい事なんだろうけど…

 どこか必死ささえ感じさせる…思い出した、タスマニアデビル。長いわ。黒いお嬢様に、メルルは瞳を細めて彼女を見やる。


「マリヤは使用人である以上に、わたしの義弟です。そのようなトレードに応じることなど出来かねます」

「私の家で育て上げた使用人では、不足と申しますの?!」

「そもそも、交換が出来る程度のヒトや物では、いくら詰まれても彼を引き換えにする事など出来ません」


 きっぱりはっきり、明確にメルルは突っぱねた。

 これはあたしの知識や技術の価値ではなく、メルルが無類のご家族大好きっ子だからという理由の方が強いと思う。

 どんな利があろうとも、彼女は決して家族を売らない。

 だからこそ、そんなメルルがあたしは大好きで、信頼しているのだ。


「おやめなさいな、シュリーデ。今日の品は、その気になれば王都で財を築き上げる事も可能な一品でしたもの。おいそれと売り渡せる筈がありませんわ」

「……そう、…ですわね」

「それにしても、恐ろしくも羨ましく思います。ニンゲンという稀少種族を、それ以上にこれ程までに素晴らしい知識をお持ちの彼を義弟にお持ちだなんて」

「これなら、…悔しいですが、その気になれば国王陛下の目に留まり、爵位を上げレオン様のお傍へ上がる事も、決して不可能ではないのでしょうね」


 取り巻きさん方は苦々しい顔だ。

 やっぱり、少なくとも彼女らはメルルがしょっちゅうレオンと一緒に居るのを快く思っておらず、前回や今回のお茶会でアラを探して叩く気満々だったのだろう。

 彼女達自身がレオンを狙っているという事はあまり無さそうだが、信望しているポーラ嬢こそそれに相応しいと思っているのは間違いない。

 だから、ポーラ嬢も用意できなかった、誰も知らない美味を用意し完璧にもてなしたメルルを渋々ながらも一目置く事にしたようだ。

 が、そもそも君らは前提条件を誤っている。


「何か誤解をなさっておいでのようですが、わたしはレオン殿下に見初められようなどとはこれっぽちも望んでおりません」

「義弟さんを通して交流を深めておきながら、ですか?」

「そもそも、学院に来るまでマリヤが殿下と親交がある事すら知りませんでした。そして、わたしは父の跡を継ぐ為にここへ学びに来たのです」


 初日にちゃんとその旨はお伝えしております、と言い切る。

 実際その通りだ。最近は普通にメルルとレオンは会話をするし、友人関係くらいにはなってるかもしれないが、あの2人に大したベクトルは感じていない。

 むしろ、レオンにとってはあたしの一番がメルルで、その彼女を不快にさせるのは許されないと思っている節がある。

 …相変わらずの、友達難民をこじらせた困った子だが、仲良くしてくれる分には何も言いませんよ。それに、元々彼はフェミニストだしね。


「確かにレオン殿下はマリヤのご友人でありお話させて頂くこともありますが、わたしと彼の関係はそれ以上でもそれ以下でもありません」

「では、もしも殿下に乞われた際には、どうしますか?」

「…そうですね。万一にもそれはありえないと思っていますが、もしもそんな事を申し出られましても、丁重にお断りさせて頂きます」


 王妃になったら、当然だが領地を継ぎ領主になることは出来ない。

 一応あたしは義理の息子という立ち位置だから、今の所権利はあるのかもしれないが、メルルが跡を継ぐと言って努力しているのだから、あたしがそうなる事は先ず無いだろう。

 女性の立場が結構高いこの国において、王太子、国王と言えど女性を権力で意のままにして良い物ではない。

 裏工作でも巡らせてものにする、って性格でもないし。

 つーかメルルにそんな事してみろ。国を敵に回してでも、王太子だろうが王様だろうが全力でしばき倒すぞ。

 一切迷わず言い切るメルルに、お嬢様方はお互いに顔を見合わせる。

 その発言に嘘偽りは無いと感じたのか、安堵したように彼女達は笑った。


「そうですか。私達の杞憂で失礼を申しました、ごめんなさいメルルさん」

「いいえ。ご理解頂けて嬉しく思います」

「良かったですわねポーラ様! やっぱり、レオン殿下に相応しいのはポーラ様をおいて他には居りませんわ!」

「折角こうしてメルルさんとご縁も結べたのですもの! これから、もっと殿下とお近づきになれますわよね、ポーラ様!」

「……え、ええ。そうですわね、有難う皆さん…」


 …?

 見えていた障害は障害ではなく、これを機に更に王子様へ一歩近付けると喜ぶお嬢様方だったが、明らかにポーラ嬢は乗り気に見えない。

 わずかにどもったし、笑顔を返してはいるがどこか浮かない。

 なんだろう。何か、とんでもない誤解をされていて、彼女はそれを取り巻きさん達に打ち明けられてないんじゃないのか?

 周囲が盛り上がると、違ってもなかなか口に出せないよねー…

 って、彼女は間違っていたら、ハッキリと口に出すタイプの女傑だと思っていたんだけど。なんだろう、よほど深刻なことがあるんだろうか?






 それから暫く前回よりも非常に和やかなお茶会となった訳だが。特に、取り巻きお嬢様達の警戒が解けたおかげで。

 しばしお腹がこなれるまでお話してから解散となった。

 が、少しお話したい事があるとポーラ様はあたしとメルルを呼び止めた。

 エルミン君やサンセさんには先に戻ってもらい、取り巻きお嬢様達は早速レオンに近付く橋渡しでもお願いするのかと期待の視線を投げて退室していった。

 かくして、お片付けも済んだ広いお部屋に、残ったのはあたしとメルルとポーラ嬢の3人。

 ほんの少しの間沈黙が降りていたが、ポーラ嬢はあたし達に頭を下げた。

 ……って、ええ?


「ぽ、ポーラ様?! どうなさいました?!」

「ごめんなさい。わたくしの我侭で、メルルさん達にも沢山ご迷惑をおかけしてしまいました」


 えーと、お菓子の件か?

 確かに作るのは大変だったけど、迷惑って程では。

 美味しく食べて貰えて、あたしとしては嬉しかったし……


「メルルさんに、レオン殿下を狙っていると、わたくしを差し置いてと嫌がらせ紛いの事をするヒトが後を断たないと聞きます。それもこれも、わたくしがこの学院に来たせいで、わたくしが真剣に彼に向き合わないせいだと思うのです」


 あ、そっちか。

 ……って、なんじゃそりゃ。

 つまりポーラ様はやっぱりレオン目当てで来たけれど、別にレオンと恋仲になるつもりがあんまりないって、今まで見てきたまんまの意味になる。

 それはなんていうか、矛盾している。


「…ポーラ様も、レオン殿下の婚約者の座を目指しておいでなのですか?」

「……父に、その座を射止めて来いと命じられて参りました」

「それは、…ポーラ様ご自身の、お気持ちは?」

「その、別に殿下が嫌いな訳ではありません。どちらかと言えば好ましい殿方だとは思いますが…」


 大して恋愛的な興味は無い、と。

 貴族に生まれた女子の、ある種の宿命だな。親の命令にはなかなか逆らえるものじゃない。家を更に豊かにする為の政略婚も、当然と言えば当然。

 そういうの好きじゃないけど、…あたし達がとやかく言う問題でもない。


「あ、いえ、誤解しないで下さいませね。お断りする事も出来たのです。それでもわたくしの意思で、この学院に来たのですから…」


 あれ、思ったよりは緩そうだ。

 どーしてもお父さんに逆らえなくて、強制された訳じゃないのか。

 少なくとも、彼女はそれで良いと判断して、ここに来たって事になる。

 なのに結局、あんまり積極性が無い。


「……その。わたくし、今まで殆ど屋敷の中で過ごして参りました。お城へ上がって陛下や殿下にご挨拶する以外、外にも出た事が殆どありません」


 正に深窓のご令嬢。

 身体が弱いって感じでもないし。…それこそ、大事に大事に育てられたって事なんだろうか。


「公爵家の娘として生まれたわたくしにとって、この3年間は最初で最後の自由な時間なのです」


 学院内では、一応は貴族も平民も関係なく、垣根を越えて学ぶ事になっている。

 結局ある程度のしがらみはあるけれど、両者が当然のように同じ敷地内に居て、やろうとすれば簡単に言葉を交わせる機会は、なかなかないだろう。

 深窓のご令嬢にとって。それはとても珍しく、今までもこれからも訪れないだろう、眩しいチャンスに見えたに違いない。


「ずっと、憧れていたんです。同じ年頃の女の子と遊んだり、お喋りしたり。決められたからではなく、自分の感情で誰かに恋をしたり、そんな時間が」


 …レオンと似た症候群を患ってるな。でもまあ、この年頃のそういう育ち方をしたお嬢様なら、あっても不思議じゃないか。


「でも、結局わたくしはこの学院でも公爵家令嬢。そのように振舞う以外の生き方を知らなくて、共に居て下さる方も友達、とは程遠くて。わたくしの身分や容姿をお褒め下さる殿方は居ても、わたくしの事を本当に思い支えて下さる方も居らず」


 期待していたけれど、そう出来る身分ではなく、そう出来るやり方も解らなかったと。

 それは、さぞやがっかりした事だろう。

 同じような立場のレオンは、あたし達と和気藹々やってるというのに。だからこそ余計にレオンが羨ましくて、彼に恋愛感情を抱けなくなってるかもしれない。

 しょんぼりと肩を落としていたポーラ様は、急に意を決したような瞳で顔を上げてあたしとメルルを見る。

 あれ。なんだろう。こんな展開、何度かあった。


「それで、…その、ご迷惑を承知で、この度の機会を利用させて頂いたのです」

「……と、申されますと」

「レオン殿下を、一国の王太子殿下を受け入れているメルルさん達の所ならば、わたくしの身分も関係なく、その、普通の女の子、みたいなお喋りが出来るのではないかと、思いまして…」


 ……おう。

 大変だ。このお嬢様、本気で純真で可愛い、友達難民4人目だ。

 よっぽど普通と自由に憧れてんだな。レオンといいポーラ様といい、…うん、多分君らすっごい気が合うし、仲良くなれるんじゃないかな。

 メルルと顔を見合わせる。

 レオンの上に、ポーラ嬢も入れるとなったら、あたし達への嫉妬やら何やらはどんだけえらいこっちゃになるのだろう…

 思ったけど、縁があって良いヒトだな、と思うヒトを突っぱねる程、あたし達は冷たくは無いようだ。

 あたしは頷いて、メルルも頷く。


「明後日のお昼、わたし達は食堂ではなく、図書館の裏の庭で皆で昼食を取る約束をしています。もし宜しければ、ポーラ様も如何でしょうか?」

「…! 本当ですか?! 是非、是非ご一緒させて下さい!」


 ぱああああっと光り輝く笑顔になるポーラ嬢。

 なんつーかもう、あたしらの周囲は友達難民ばっかりだ…。どんな難民キャンプなんだ、このグループ。

 ちょっと心配だが、外から見たらポーラ嬢がレオンゲットの一歩目を踏み出したように見えるかな。そしたら、ちょっとは安心なんだけど。

 無邪気に喜ぶポーラ嬢に、なんか和む。メルルも多分和んでる。


「ああ、今日はなんて素晴らしい日なんでしょう! あんなに美味しいお菓子に巡り合えて、お友達も出来て……夢にまで見た事が3つも叶うなんて!」


 あ、お菓子愛好家なのは本当なのね。

 なら、明後日はポーラ様歓迎って事で、ちょっと豪華な食後のデザートでも用意しようかしら、……って、あれ?


「3つ、ですか?」

「あっ……」


 思わずあたしが聞き返すと、ポーラ嬢はパっと両頬に手を当てた。

 まるで染まった頬を隠すかのようだが、残念あなたの毛並みで顔色は全く伺えませんよ。

 どうやら嬉しさのあまり失言したようだが……特にまずい、とかやばい、みたいな色は伺えない。単純に、何か照れている。

 どうしたのかと見ていると、両頬を手で隠したまま、彼女はあたしをチラっと上目遣いで見て、また視線を伏せる。なんか恥ずかしそうに。

 ……あれ。なんだろう、この物凄い嫌な予感は。


「その…。……マリヤさんの、見た目からは想像出来ないくらいたくましくて、頼もしい所ですとか、とてもお優しくて、お姉様想いな所ですとか…、…剣術の授業で負け知らずな程お強くて、加えて頭もとても宜しくて。……なんだかわたくし、最近貴方の事を考えると胸が苦しくて…、…これが恋、なのかと……」

「「・・・・・・・・・・・・」」


 ぽつりぽつりと、恥らう乙女の発言に、思わず2人で沈黙した。

 その様子は、大変可愛らしい、のだが。

 ………その、何だ。

 あたしは結局、転生しても女子から告白される運命なのか?

 いや、…現状で考えればこれで正解なんだけど、何故だろう。物凄く、釈然としない物を感じてしまうのは。やっぱり頭の中身はまだ完全に女子のようだ。

 目の前でぽわぽわしているシロクマさんにどう反応したらいいのか心底困っていたら、突然横からメルルに抱きつかれた。


「っと、メルル、…お嬢様?」

「マリヤはわたしの義弟ですから! わたしの未来の執事ですから! ぽ、ポーラ様にお見初め下さるのは光栄ですけど、その、わたしの大事な義弟ですから!!」


 危ない、素で声かけるとこだった。

 抱きついたまま、ぶんぶんと首を横に振った。

 お姉ちゃん、ヒトの事はあたしも言えないけど、ブラコンが酷い…

 と、ポーラ様の方まで慌てたようにぶんぶん首を振る。


「わ、解っております! メルル様の為と一生懸命な所もマリヤさんですから! 貴女から彼を奪おうなんて、思っておりませんわ!」

「……ほ、本当ですか?」

「はい。そもそも、わたくしの父だってきっと許しませんもの」


 まあ、伯爵家の義息子で、しかも使用人志望じゃ許さんだろうね…

 というか、レオン以外は許さないんじゃないか。そこまでじゃあないか。


「この3年間は、わたくしにとって自由な夢を見る時間です。その後はきっぱりと公爵家の者として生きる覚悟で居ます」


 よしんばレオンを誰かに取られても、それはそれで後悔しないのかもね。最初で最後の彼女の自由な時間、と思っているのなら。

 …あたしは、この3年くらい好きに生きてもいいんじゃないかと思うんだけど。いくら豊かさの代わりに自由を支払う貴族の令嬢でも。


「この恋も、最初で最後のわたくしの感情です。…叶う事は無いと解っておりますが、今暫くこの胸を暖めることだけ、お許し下さいませんでしょうか」


 ……うーん。

 初恋なんて叶わないもんだが、即座に壊すのも気の毒だし、自由な恋愛なんて彼女は今後望めないだろうし…。特にレオンをゲットできなかった際のその後を考えると、なんていうか、気の毒が過ぎる。

 叶わない恋は早めに振ってあげるのが一番だとは思うが、それでも良いと言うのなら、あたしに言える事はないか。


「……先日申し上げました通り、私は生涯お嬢様にお仕えすると決めております。ですからポーラ様のお心にはお応え出来ませんが、…夢を見る事に権利も許可も要らないかと存じます」


 白馬の王子様を夢見たいというのなら、お好きにどうぞだ。

 乙女なら誰だって夢を見る。…まあ何だ、アイドルに夢中になるようなモンだと思えば理解出来なくは無い。ガラじゃないが。

 そのうち現実に帰るのだし、夢を見たいというなら好きに見ればいいさ。

 軽くヤケ気味だったが、ポーラ嬢は応えはしないが拒否もしない、というあたしに嬉しそうに微笑んだ。

 ……その恋、激しく不毛だけど。それこそモデルとかアイドルに恋するようなモンだよね、きっと大抵の女子が通る道だ。つか他の子女がレオンにしているものを彼女はあたしにしただけだろう。

 うん、まあ、それで満足なら、良いよ。

 …こじらせて病んでさえくれなければ。






 変なフラグ発生。


 当たり前ですが、マリヤさんは同性愛者でもなければケモナーでもないので、ポーラ様とくっつくことはありませんのでご了承下さい。

 つーかくっついたらタイトルが成り立ちません。笑。

 そもそも誰と誰がくっつくとかなーんも考えてませんけどね。


 …わきゃわきゃ書いてたら、盛大に過去最長になりましたわー…

 お読み頂き、お疲れ様でした。この半分くらいにしたい…




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