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『ゲーム』 ~三話~

そこは薄暗い部屋だった。

窓もなく、明かりもほとんどついていない立方体のような部屋だ。だがその部屋の中で唯一明かりを放っている物があった。


モニター。


四つある内の一つの壁の全ての面積を使って、数十にも及ぶモニターがそれぞれ別々の景色を映し出している。

モニターの下の制御パネルを操作する一人の男がいた。


ID ********

PW ********


アクセスネーム:宮本(みやもと) 修造(しゅうぞう)




―――「ぐッ・・・痛てて・・・」

(何だろう、頭が痛いな。何してたんだっけ、ここはどこだ?)

少し疑問を抱えながら立ち上がる。

立ち上がってみると少し体がふらついた。

「ええと・・・確か、横口の相談を受ける事になって、それで・・・!」

やっと思い出した、これほどの事忘れているなんて自分の能天気さが嫌になる・・・!

とりあえず現状の把握のためにここがどこだか辺りを見回す。

どうやらここはどこかの個室の様だ、と言っても家具類などは一切無く、直樹以外の物は扉と窓ぐらいしかない。

とりあえず近くに窓があったので、覗き込んでみる。するとそこには、

「なんだよこれッ・・・!?」

そこは遥か上空――雲と青い空以外には何も見えない。

いつもより日差しの強い太陽がそれを証明する。

「何が起こってんだよ・・・」

それはもう嘆きに近い呟きだった。

自分は運が悪い方だと思っていたが、ここまで来るともはや究極的だ。

友達の相談を受けようとしてたら怪しい男どもに眠らされて気づいたら飛行機に乗っちゃってた(笑)

などと言ったら爆笑ものだろう、そんな事を考えてしまうほどに直樹の頭は混乱していた。

「そういえばあの二人は・・・」

どうしたのだろう・・・電話の男の話を信じるならば、この飛行機にいるかもしれない。

扉の方に歩いて行く、すると、

ピーンポーンパーンポーン♪

直樹がドアノブに手をかけた瞬間にアナウンスが鳴った。

「ご搭乗の皆様、大変長くお待たせいたしました。選手の皆様が全員目を覚ましたようなので第二次予選の説明を行います。センターホールまでお集まり下さい」

プツッ

それからアナウンスは途切れた。

(第二次予選?そういえば電話の男も予選がどうのこうの・・・)

「行くしかないよな」

俺の腹は決まっていた。

ここにいてもしょうがないし、あの二人にも会えるかもしれない。

そう思いながら俺はドアノブを捻った。


――ドアを開けると丸い円状のホールが広がっていた。

辺りを見回すと、俺が出てきたドアと同じような物がだいたい百ほどあった。

(かなり広いな)

おそらく俺がいた部屋のような物が他にもドアの数ぶんあるのかもしれない。

まだ俺以外に人はいなかったが、アナウンスを聞いた俺みたいなやつが後から来るのだろう。

そう思いながら観察を続けていった。

するといきなり両側の扉が同時に開いた。

「おおっ、あらちんじゃん!おひさ~」

「あっ!直樹!それに純も!」

その声を聞いたとき、思わず俺はへなへなと座りこんでしまった。

「ん?どったのあらちん?そんなに俺に会えて嬉しいの?まっまさか本当に俺の事を・・・」

こちらに歩み寄って来たニ海堂がそんな事を言った。なのでつい、

ドッ!

なぜか座ったままローキックしてしまった。

まぁ、YESかNOで言われたらYESだけどこういう言い方されると反射的にな!テヘペロ!

「何漫才やってんのよ」

「うるせぇ、つーかお前らなんでいきなり消えたんだよ。おかげで探しちまったじゃねぇか」

当たり前で一番重要な事を聞いてみた。

「いやぁ、なんかいつの間にかっていうか?」

「フッ、我も油断していた・・・まさかチカラを封印している所を狙われるとはな・・・」

交互に答えが返ってくる。

(俺と似た感じか・・・)

あ、二つ目の奴は無視して下さい

「まぁ俺も似たようなもんだ」

それにしても、こうなると俺らの中で状況がわかるのは一人もいないって事になる。

そんな事を考えながら頭を上げると、いつの間にかホールの中はかなりの人で溢れかえっていた。

「随分いるな・・・こいつらも連れて来られたのか・・・」

「こんだけいればサバゲーし放題だにゃー!」

(本当に呑気な奴だなぁ)

すると、天井から一枚のモニターが降りてきた。

全員の視線がモニターへ移る。


「初めまして、諸君。日本の首相、宮本 修造だ」


ザワザワとざわめきが広がる。それもそうだ、いきなり日本のトップがでてきたら焦るだろう。

だが、一人だけ違かった。

ニ海堂 純だけは動揺もせずにモニターを凝視していた。

驚いたように、いやな予感が当たったとでも言うように。

だが、俺はそんな事には気づかずに、ニ海堂に話しかける。

「どうなってんだ?いきなり首相なんて・・・ニ海堂、お前どう思う?」

そこには――

「さぁな~、こいつが俺らの事をここに連れてきたっぽいけどなー」

――いつもの様にふざけた口調のニ海堂がいた。

俺たちのざわめきを待たずにモニターの主は続ける

「いきなり手荒な真似をしてしまった事を深く詫びよう。だが、理由を話しても君たちは納得してくれないだろうからね、仕方なくこのような措置を取らせてもらった」

意味が分からない。

こんなに多くの人間、俺と同い年くらいか・・・これほどの人間を集めて何をするつもりだ?

費用もかなりかかっているだろう。とても個人で計画できる事ではない気がする。

(何が目的だ?)

腑に落ちない点が多すぎる。

「では、こんな事をした理由を話すよ。実は君達にはこれからある『ゲーム』をしてもらう」

ざわめきが再び大きくなった。

「では、詳しい話をしようか。腰にあるウエストポーチを開けてくれたまえ」

視線を降ろしていくと確かにウエストポーチがあった。どうやら今まで気づいていなかったらしい。

さっそくポーチを開けてみた。するとそこには――

「拳銃・・・?」

最大の『凶器』がそこにはあった。

「な、なんだよこれ・・・」

隣を見ると横口も拳銃を片手に固まっていた。

周りの反応からすると、全員のポーチに拳銃が入っているのだろう。

「まさか・・・これを使う訳じゃないよな・・・」


「拳銃があったかい?それはゲームの中でとても重要な物だから失くさないように気をつけなさい」


そんな儚い希望は見事に打ち砕かれた。

「では詳しいルールの説明だ。」

固まったままの俺の頭上からまだ声が聞こえる。

「まずはこのゲームの期間は五日間だ。今はちょうど二十五日の十二時だから・・・三十日の十二時にこのゲームは終了する・・・良かれ悪かれ、ね」

「ポーチの中に腕時計があるだろう。それを着けなさい」

ガサゴソとポーチを探すと本当に腕時計があった。

着けてみると、ピッ、と音を立てて画面が表示された


WELCOME ARASAWA


俺の名前が表示されていた。何も設定なんかしていないのに。

腕時計には四つのボタンが付いていた。

「右上のボタンを押してみてくれ」

言われるがままに右上のボタンを押してみた、すると、

『0/6』

と表示されていた。

(なんだこれ?)

タイムリミットを表していたとしても、数が合わない。するとこの数字はなんなのだろう。

首をかしげる俺の問いに答えるのはまたしてもモニターだった。

「それは・・・ノルマだ」

「ノルマ?」

「そうだ。/の後に数字があるだろう?その数字は男女や運動神経によって分けられているが、平均は5が妥当だな」

(じゃあ俺は平均よりちょっと上ってわけか)

「その数字は・・・プレイヤーを殺害したぶんだけ増える。その数字が五日後にノルマに達していた者だけが無事に帰れるというわけだ、至極簡単だろう?」

絶句した。

周りの人間も似たように息を呑んでいる。

「では、さっそく次の説明に移るよ次は――」

「ちょっと待て!!!」

止まった時間の中で一人だけ声を荒げていた。

「そんな事認める訳ないだろ!なんだよ殺害って!人の命をなんだと思ってやがる!」

そうだ!そうだ!帰せ!といった声が巻き上がる。

「そんな事強制されても俺達は人殺しなんかしねぇぜ!」

声はまだまだ大きくなる。

そうだ、なんで真剣になって考えてんだ俺は?

別にやんなければいいじゃねぇか!

俺も声に紛れて不満をぶちまけようとした――

・・・・・・・・

「構わないよ、別に」

時間が止まった。いや、凍りついたという表現が正しいか。

「別に参加しなくても結構だよ。そのかわりに君たちはこれから向かう会場で飢えて死ぬだけだからね。それに何もゲームはここだけの話じゃない。全国で行われているのだからね。それとも無抵抗のまま死ぬかい?それもまぁ――」


ダァン!!!


轟音が鳴り響いた。

「・・・」

宮本が初めて黙った。

音源に目を向けると、そこには――


「何だよ?さっさと話を続けろよ」


やたらと好戦的な眼をした、先程の銃を上に向けて立っているニ海堂がいた。

それを見た宮本は肩をすくめて、

「そうだな、では話の続きといこうか」―――


ごめんなさい。

前にはバトルありって言ったのにページの都合でできませんでした・・・

次は必ずッ!

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