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00 その子供は何を想う

急遽発表した新作です。カメ更新になると思われますが、暇つぶしにでもお付き合い下さい。

「BDMシステム、稼働します」


 その宣言と共に、子供達に架せられるとてつもない苦痛。完全に隔離された部屋に入れられた10人の子供達は、ただその苦しみを叫ぶことしか出来なかった。


 イタイヨ。

 クルシイヨ。

 ツライヨ。

 カナシイヨ。

 キモチワルイヨ。

 

 猛毒の霧に晒され、痛みに絶叫しながら暴れまわる子供達の中、一人青い髪の少年のみ、目を瞑ってただ痛みにじっと耐えていた。


「ほう、あの少年、LEVEL4でも尚耐えるか。このレベルは何回やった?」


「彼はこれで3回目ですね。今のところ、3回ともああやって耐え続けています」


 面白いものを見るような目で白衣を着た男が他の研究員に訊いた。満足そうに彼が覗く先には、ただ体を丸めて動かない7、8歳の青い子供のみ。他の彼と同い年位の泣き叫んで許しを請う子供たちについては、まるで眼中に無いといった様子だ。


「……アレなら、最上級レベルにも耐えられそうか?」


「……やってみないことには何とも。唯、流石にきついらしく実験が終わると気絶するように眠ってしまうので、慣れるまではここで続けた方が良いかと」


 淡々とデータに照合して告げる研究員に白衣の男はそうかとだけ呟いた。そして面白そうに更に顔をにたりと歪める。


「つまり、初の成功作品になる可能性はあるという事だな。確率は?」


「大体5、6%という所ですね」


「随分と高いな。因みに他のは?」


 そんな低確率に思える数値を高いという男に、冷たい視線でモニターを見ながら研究員は容赦のない数値を言った。


「一億分の一、あればいいでしょう」


 その言葉に男は高笑いを始めた。狂ったように笑い続ける男を、研究員は何の感情も無い目で一瞥する。


「一億……そうか!ふはははははっ!なら、あれが今世界一可能性がある【原罪の霧(ディザスター・エア)】の完全抗体保持者か!」


 その言葉に、少年が僅かに目を向けたことに彼らは気付かなかった。

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