第14話~見られていた理由~
ギルドが、なぜ俺をあの場に送り込んだのか。
なぜ、ゴブリンキングの件で過度に驚かなかったのか。
その答えは、意外にもはっきりしていた。
ドワーフとエルフは、それぞれの目的のため別行動を取ることになった。
彼らと旅を続けたい気持ちは確かにあったが、種族ごとの事情や役割がある。人間である俺が、そう簡単に踏み込める領域ではない。
一方で、人間の魔法使いだけは違った。
「しばらく、一緒に動きませんか」
そう言われたとき、俺は少し意外に思った。
だが話してみると、彼女は“ライセンスを持っていない魔法領域”についても驚くほど詳しかった。
俺は、自分が取得している魔法系ライセンスについて正直に話した。
炎や風を生み出す、ごく初歩的な魔法。
知識としては理解しているが、実際に扱えるのはノーマルの中でも最低水準だ。
戦闘で使えるかと言われれば、正直心許ない。
ライセンスを「取ること」だけを目的に、猪突猛進で取得したに過ぎない。
「ノービスは本当に基礎の基礎ですからね。
ノーマルも、覚えるだけならそこまで難しくない」
魔法使いはそう言って続ける。
「でも実戦で使えるかは、まったく別です。
同じノーマルでも、火の玉を撃てる人もいれば、手のひらで小さく揺らすだけの人もいる」
俺は、まさに後者だった。
知識はある。だが、熟練が足りない。
それは魔法に限らず、俺自身の在り方そのものでもある。
だからこそ、決めた。
魔法使いと共に、知識と技術の修練を積むことを。
その頃、ギルドでは――
俺のライセンス取得状況、行動履歴、判断傾向がすでに整理されていた。
「そろそろ、次の段階に進ませましょうか」
そう言って、次なる依頼書が用意されていた。
俺が“見られていた”理由は、もう偶然ではなかった。




