第13話~評価と余白~
戦闘が終わり、洞窟に張り詰めていた空気がようやく緩んだ。
ゴブリンキングの死体を解体・回収しながら、自然と反省と分析の時間になる。
「……ライセンスがあるだけで、ここまで戦い方が変わるとはな」
ドワーフの戦士が、低く唸るように言った。
力任せではなく、役割を理解した動き。その中に俺がいたことが、彼には印象的だったらしい。
「判断が早い。迷わない。でも、無茶もしない」
エルフの弓使いは淡々と、事実だけを並べる。
称賛というより観察結果。だが、その視線に警戒や疑念はなかった。
「状況に合わせて立ち位置を変えられるのも、強みですね」
後衛の人間の魔法使いは、純粋に感心した様子だった。
様々な評価を受けながら、俺は改めて思う。
ライセンスとは万能の力ではない。判断を支える“材料”の一つであり、自信を裏付ける根拠でもある。
だが、それに溺れれば命を落とす。それも今回、はっきり見えた。
「お前は、人間の中じゃずば抜けて慎重だ」
ドワーフがふと、そんなことを言った。
「その慎重さは武器になる。ただ……このままでもいいが、もっと経験を積めば、まだ上を目指せる」
言い方は少し刺々しい。
だが、エルフも同じようなことを別の言葉で告げてきた。
価値観は違えど、言っている本質は同じだと分かった。
俺たちは帰還の準備を整え、ダンジョンを後にした。
ギルドで報告すると、受付は驚くどころか、どこか納得した様子だった。
最初から分かっていたかのような反応に、奇妙な感覚を覚える。
だが、詮索はしない。
ドワーフとエルフ、それぞれが持つ“種族にしか許されない力”。
もしそれを、人間が扱えるとしたら――。
そんな考えが、頭の片隅に残り続けていた。




