第12話~王の力、その正体~
ゴブリンキングは、明らかに想定を超えていた。
体躯は一回り大きく、皮膚は黒ずみ、周囲のゴブリンが倒れるたびに、まるで霧のような瘴気を吸い込んでいく。そのたびに筋肉が脈打ち、威圧感が増していくのが分かる。
「まずい……強化されてる」
誰かが息を呑む。
だが主人公は、攻撃を受け流しながら違和感に気づいた。
振り下ろされる棍棒は重い。だが、単調だった。
力任せで、軌道が読める。
「……攻撃、ワンパターンだ。引きつければ避けられる!」
弓の一射が飛び、ゴブリンキングの肩に突き刺さる。致命傷にはならないが、確実に動きを止める。
その隙を突くように魔法が放たれ、地面が爆ぜ、足場が崩れた。
巨体がよろめく。
「今だ!」
前衛が一斉に踏み込むが、ゴブリンキングは吠え、周囲のゴブリンをさらに引き寄せようとする。
主人公はそこで確信した。
(こいつ……周りを吸収させ続けたら、いくらでも強くなる)
「これ以上、取り込ませるな!」
主人公は前に出る。
ライセンス――《斬撃》を発動。鋭い一閃が空気を裂き、ゴブリンキングの視線が完全にこちらへ向く。
狙い通りだ。
怒りに任せて振るわれる攻撃を紙一重でかわす。
その背後から、ドワーフの戦士が地を踏みしめた。
「――終わりだ」
渾身の一撃。
鈍い音とともに、ゴブリンキングの身体が崩れ落ちる。
長い攻防の末、沈黙が訪れた。
息を整え、互いの無事を確かめる。死者はいない。
主人公は、倒れた巨体を見下ろしながら思う。
(突破口は、最初から分かっていたんだ)
敵を強くさせないこと。
それに気づけたのは、ほんのわずかな観察の積み重ねだった。
戦いは終わった。
だが、この経験は確実に、次へと繋がっていく。




