表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/25

第10話~違いを知る~

集合場所にいたのは、三人。


まず目に入ったのは、背の低い屈強な男だった。

太い首、分厚い肩、年季の入った装備。


――ドワーフの戦士。


本で読んだ通りの体躯だが、

実物の圧は、文字情報とは比べ物にならない。


その隣には、長身で耳の長い女性。

姿勢がよく、視線が高い。


――エルフ。


最後は、人間の女性。

落ち着いた様子で、周囲をよく見ている。


前衛一名、後衛二名。

構成は、確かに理想的だった。

「今回、同行することになった」


俺がそう告げると、

三人は順に軽く頷いた。


「ドワーフの戦士だ。前に立つ」


短く、無駄がない。


「後衛担当。索敵と支援が役目よ」


エルフの女性は、静かな声だった。


「私は補助。回復と状況管理をやります」


人間の女性が、そう続ける。


名前は、聞かない。

今は、それでいい。


準備を終え、ダンジョンへ入る。


歩きながら、自然と会話が生まれた。


「……あんた、ずいぶんライセンスを持ってるらしいな」


ドワーフの戦士が、ちらりとこちらを見る。


「剣だけじゃない。魔法も、生活系も」


「全部ノーマルだと聞いた」


俺は、否定しなかった。


「必要だと思ったものを、順に取っただけだ」


ドワーフは、低く笑った。


「人間にしちゃ、珍しいな」


エルフの女性が、興味深そうに言う。


「人間は、一点特化が多い」


「種族固有の補正がない分、選択を絞るから」


俺は、少し考えてから答えた。


「だからこそ、広く取った」


「一つ欠けるだけで、死ぬ世界だから」


その言葉に、空気がわずかに引き締まる。


戦闘は、すぐに起きた。


ゴブリン、三体。


ドワーフが前に出る。

重い一撃で、一体を叩き伏せる。


エルフの矢が、二体目を射抜く。

精度が、異常なほど高い。


残る一体に、俺が斬撃を放つ。


短く、鋭く。

確実に。


「……なるほどな」


ドワーフが、感心したように言った。


「数じゃなく、判断で戦うタイプか」


進むにつれ、話題はライセンスに移る。


「ドワーフには、《鍛造感応》がある」


「金属の質を、触れただけで見抜ける」


「エルフは、《長距離視認》」


「魔力の流れも、遠くから感じ取れる」


俺は、内心で息を呑んだ。


本で読んだ知識が、

目の前で“生きている”。


「人間には、そういうのはない」


俺が言うと、

人間の女性が首を振った。


「あるわよ」


「人間だけが持てるのは、適応力」


「ライセンスを組み合わせて、役割を変えられる」


その言葉に、俺は少し驚いた。


そういう見方も、あるのか。


しばらく進んだ、その時。


空気が、変わった。


エルフの女性が、足を止める。


「……感じる」


ドワーフも、眉をひそめる。


「さっきのとは、違うな」


俺も、分かった。


重い。

圧がある。


――いる。


ゴブリンキング。


まだ、姿は見えない。

だが、確実に奥にいる。


俺は、一歩前に出た。


「ここから先は、慎重に行こう」


「判断を誤れば、戻れなくなる」


三人は、黙って頷いた。


このパーティは、

話が通じる。


それだけで、

胸の奥の不安が、少しだけ和らいだ。


だが――

油断はしない。


本当の試練は、

これからだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ