序章:第二話 話し合い
神衛堂に付くと、そこには見慣れた友が居た。
「瑠々!!」
そう、同じクラスの神矢瑠々だ。
「あ、一華!」
瑠々とハイタッチする。ファイズルアが早く座れと促すので、瑠々の向かい側に座った。アルタウルは私の横に、ファイズルアは瑠々の横に座った。
「それで、話とはなんだい?」
アルタウルが頬ずえをついて言う。
「……ここ数年ぶりに、『怨霊』が出た」
「……なぬ?」
アルタウルが顔を顰めるけど、瑠々はまったく分かっていない様子だ。
「えっと……私も対立した事ないから詳しくは知らないけど、『怨念』を持って人間を誰彼構わず攻撃する幽霊……だよね?」
「嗚呼。ここ数年神待ちが急増化してからゼロと言っていいほど出現率が下がってた」
ファイズルアがぶっきらぼうに呟く。
「じゃあ、なんでまた……」
「……人工的に『怨霊』を作ってんだよ」
ファイズルアが何時になく真面目な顔をして呟くように言った。
「……ぬ?どういうことだい?」
アルタウルが眉間にシワを寄せる。
「詳しくは知らないんだが……『怨念』を、藁人形の形した『核』ってやつに集めるらしい」
「その集めた『怨念』の入った『核』を『怨霊』する……ってこと?」
「……嗚呼、まあ、そういうことだ」
ファイズルアが頷く。瑠々はやっとわかったというふうににこにこしている。
「……たいへんになるねぇ…。神待ちもここの所増え続けているし……」
瑠々とは違い、アルタウルは顔を顰めている。
「……ねぇ!なんか、原因とかないの!?ほら!なんか、神待ちを唆す団体があるとかさ!」
「でも、神待ちをしていた人達が見た人は一人だったし、全員白髪っていってたよ」
それを言われると、何も言えない。今のところ唆しているのは一人だと思われる。
「……じゃあ、ホントに何が…?」
全員で顔を顰めた。
「とりあえず、『怨霊』を倒せばいいんだよね?」
瑠々が口を開いた。
「……まあ、簡単に言えば」
ファイズルアがこくりと頷く。私もアルタウルも同じように頷いた。
「じゃあ!つべこべ考えてないで、うちらが出来ることをやろうよ!」
瑠々が元気に言った。このお嬢様は、お嬢様とは思えないくらい元気で活発だ。でも、その元気さと活発さに、今は救われたらしい。
「そうだね!」
瑠々と目を合わせて笑った。
「……つかぬ事を聞くが。瑠々、門限は大丈夫なのかい?」
アルタウルが口を開いた。
「……え?あ!やば!帰らなきゃ!じゃあね!」
瑠々は時計を見ると、慌てて鞄を持って走った。本当にこのお嬢様はお嬢様なのだろうか。