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幕間・王太子の結末
その日──。
どこからともなく現れた青年の姿をした幼子に、彼女達は目を瞬かせた。
『身体は大人なのに、子供みたいに泣いてるわ』
『変な子ねぇ。それに、どうやって現れたのかしら?』
『分からないわ。でも、我らの森に来たのだから。コレは餌ね』
彼女達は、クスクスと笑う。
晒された上半身の裸体。
その下半身は大きな蜘蛛の身体。
女郎蜘蛛──。
そう呼ばれる彼女達は、自身の森に迷い込んだ男達を使い、子を増やし、用無しになったら餌にする。
そんな習性をもつ魔物だった。
『でも、これ、子供よ?』
『子を作れる?』
『さぁ?駄目なら食べて仕舞えばいい』
彼女達は人間と違う感性を持つ。
例え、彼が……幼児退行化していようが。
王太子イオンであろうが──。
男なら、利用するのみ──。
『それにしても……美味しそうね、この男』
こうして……彼女達は、イオンを連れて森の奥へと消えていった。
その後の王太子の結末は……彼女達にしか分からない。




