幕間・幻竜は情報を手に入れる。
カロリーナはソファでぐったりとしていた。
今でもあの事件の時に負った痛みを思い出すと、身体が震えてしまう。
もう自分の子供に会えることはないのだと思い出すと、涙が出てしまう。
心的障害はまだまだカロリーナを苦しめ続けている。
そんな中──……竜姫候補から外されるとまで、言われてしまった。
詳しい話はまだ分からないが、どうしてこうなってしまったのか?
カロリーナは泣いて、泣いて、泣き疲れて。
そのままウトウトしていた。
だから、気づかなかったのだ。
彼がそこに、いたことに──。
「君の後ろにいる竜が休眠に入ってくれて助かりました。これで君から情報を奪える」
酷く冷たい声。
しかし、何故か意識が曖昧になるカロリーナはそれに反応できない。
「本当は君を殺してしまえば終わる話なんですけどね。それじゃあ、つまらない」
声は淡々とそう告げて、カロリーナの頭に触れる。
そして……その指先が彼女の頭の中に埋まった。
「あぁ……そういうことか」
埋まった指先を引き抜いた彼は、ニヤリと笑ってボーッとしているカロリーナを見つめる。
ギラギラと燃え滾るような怒りを宿した金の瞳で見つめながら、彼は告げた。
「きっと君はこのことを覚えてられないでしょうけど……それでも言わなきゃ気が済まない。…………お嬢様を苦しめたのはお前だ。お前が、この地獄を始めたんだ。だから、お前も……地獄の炎を堪能してくださいね?」
◇◇◇◇◇
「……………ん?」
カロリーナは何度か瞬きを繰り返し、目を開く。
どうやら昨日はいつの間にか眠ってしまったらしい。
「…………あ、れ?誰か……来てた、ような……?」
誰かの声を聞いた気がする。
それは気の所為だったのか、それとも夢だったのか──?
何も覚えていないカロリーナは不思議そうに、首を傾げていた──……。




