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✧ 詩 ✧ ふたり

死と夢




人は美しく生きることも

美しく死ぬこともできる


あなたはそのことを知っているから

甘美な生も甘美な死も望むことができる


めくるめく喜びを知ってしまったあなたは

生の途上にも、死の先にも、あたたかな光を見ることができる




この世界……

あなたの愛する人たちの生きる、唯一の、大切な、幸福であるべき世界





もしも夢の中でないならば

あなたの望む幸福な世界は、この世界には存在しない

あなた自身をこの世界に捧げることによってしか、それは実現しないと

あなたは知っているから


あなたの愛するこの世界に

あなたはあなた自身を、自ら差し出そうとしている

あなたの「生」の本当の意味を、誰も、あなた自身すら知ることはできないと

あなたは既に知っているのに



死は、いつか必ず僕たちを連れ去り

人は、自分が死んだことを自ら確かめるすべもないまま

知覚も認識も存在も記憶も、すべての痕跡はこの世界から離れて

人は、あるいは人であったものは、無意識のうちに無限の光へと還元される


死は、死す者によってではなく、この世界に残された者によって定義され

あなたがあなた自身の死にどのような意味を込めていたとしても

あなたの思い描く「死」の意味は

あなたの死と共に消える


たとえあなたが、二人が最初で最後の微笑みを交わす、その一瞬の誠実のために

一日を千年のように、千年を一日のように、懸命に生きたとしても

すべては空しく消えてしまう



それなのに……




あなたはすべてを知っているのに、今日を誠実に生きる


「心配をかけてごめんなさい。私はもっと強くなりたいと思います」


あなたはそうつぶやいて、懸命に生きる

すべての意味はいつか空しく消えてしまうと知っているのに、あなたは

千年を一日のように、一日を千年のように

今日も誠実に生きる





















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