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アレク・プランタン  作者: イチロー
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068 刀の完成


「アレクー最近お前付き合い悪いぞー」


「すまんすまん、また遊ぼうぜー」


学校帰りはドワーフのヴァルカンさんの工房に寄るのが習慣になった。教会の郵便屋さんをする時間等を考えると工房には数時間しかいられない。残念だが仕方ない。


「師匠、すいません。俺しばらく遅くなるんですが‥」


「なにー遊んどる暇はないぞ!」


「違うんです師匠。実は‥」


ディル師匠にもヴァルカンさんの工房で刀を打っている話をして、修行の時間を少し短く割いてもらうようお願いした。

師匠にはなぜか感心された。


「構わんぞアレク。しかしよくヴァルカン殿と縁が結べたな」


(ヴァルカン殿は偏屈じゃからの‥)


師匠の独り言が聞こえた。偏屈って師匠が言うか‥?


「あーん?」


師匠から殺意の篭った眼差しが向けられる。

グレンさんのときと同じか!

ぜったい心の声は漏らしてないのに!


師匠コワッ!





俺が遣う刀を俺自身で錬成していく。土魔法と金魔法を使い、少しずつ形を整えていく。しっかり集中をしないと真っ直ぐにならない。ほんの僅か、ミリ単位のズレが破損の原因になるらしい。もし闘いの最中に刀が折れたら生命も折れる。


「アレク!少しズレとるぞ!もう一回やり直せ」


「はい」


たいしてこっちを見もせず、自分の仕事をしながらヴァルカンさんの注意が入る。

それも俺がおかしいかなと思ったときに限ってすかさずだ。なぜ分かるのだろう。叩く音が僅かに違うのだろうか。さすがはプロだ。


カンカン カンカン ゴーゴー


刀を叩く音と炎の燃え盛る音。何もしなくても汗が滴り落ちる。

ヴァルカンさんも戻ってきたお弟子さんももちろん俺も、必要以上には誰も喋らない。

鍛造や金属の錬成。地味でキツくて辛い世界。

が、この地味な作業は俺によくあっている気がする。楽しい。集中していると何も考えないし。


やってはやり直し、叩いてはやり直しを繰り返して、数ヶ月後。とうとう俺の刀ができた。


「よし、アレク。もういいぞ。最後は俺がチェックをしてやるから、10日後に取りに来い」


「はい。ヴァルカンさん今までありがとうございました!」


この半年くらいで。

俺の魔力量や魔力の操作精度はかなり上がった。なぜかそれが自分でもわかるくらいだ。たぶん今の俺なら、5つの魔法すべてに於いてLevel2以上を発現できると思う。

地味だけど集中力を高められたのは刀の鍛造を通してのヴァルカンさんの教えのおかげだろう。



学校帰りに商業ギルドへ寄った。刀のお代を用意しなきゃね。たしか俺名義のお金が少しは入っているはずだ。

でもぜったい足りないから融資してもらわなきゃな。てか、融資の制度はあるのかな?

あっても未成年だもんな俺…。

冒険者ギルドに入ってくるお金はまとまる度にマリア母さんに渡している(母さんは使わずに箱に入れてるけど)

あっても薬草狩りと郵便屋さんくらいだから、10,000Gくらいだろうし。

ヴァルカンさんに払う刀のお金。

俺が途中まで打った刀は材料代だけでいいって言ってたよな。それでも小刀も合わせると安くても10,00,000Gはするはずだ。

百万G‥。

ヴァルカン工房作の武器は最低の品でもそのくらいはする。王国屈指の刀鍛冶だし。

どうしよう…。


「ピーナさんこんにちは」


顔見知りとなった商業ギルドの受付嬢クールビューティーのピーナさんに聞いてみる。


「アレク君こんにちは。今日は何?そうそう、アレク君が考案したミートチョッパー、領地のミカサ商会で大流行りらしいわよ。あとスライム袋と粉芋の商権もすごく‥」


「そんなことよりピーナさん!俺のお金って少しくらいはありますか?10日くらいあとにどうしてもまとまったお金が欲しいんです。ヴァルカンさんに刀の代金を払いたくて…。ひゃ、100万Gくらい要るんですけど‥。も、もちろん無いのは判ってます。でも20万Gくらいはあると嬉しいかなーって言うか‥なんていうか‥その‥最悪融資って制度かなんかを‥子どもなんだけど‥その‥100万Gが‥」


「アレク君あなた‥相変わらずズレてるわね‥ミートチョッパーの商権分に、スライム袋に、粉芋の商権を合わせるとそれだけで、もう30,00,000Gを超えてるわよ!しかもこれ今月分だけだからね!」


「へっ⁉︎」


「さ、さんびゃく‥300万G〜!!マジ?」


知らぬ間に大金を稼いでる俺だった。



「ピーナさん、明日の昼、こないだ言ってた150万Gお願いします」


「わかったわ。用意しておくわね」


「ピーナさん、ついでにコレ使ってください。俺が作った香草入の味付け塩です」


「まあ、アレク君ありがとう!王都のギルドの子から聞いたけど、粉芋も美味しくてすごく便利だって。大人気らしいわよ。これもそんな感じ?」


「肉につけたらさらに肉が美味くなりますよ!」


「へぇーそうなの?」


ここで俺はまさかの地雷を踏んでしまう。


「付けるだけだから、ピーナさんの旦那さんか彼氏さんがぜったい喜ぶと思います!」


「だ、旦那‥か、彼氏‥ああ私は行き遅れ‥」


ピーナさんの目線が宙を漂っている。

隣の席の若い女性が教えてくれる。


(アレク君しー。ピーナさんの前で男の話はダメよ…)


逃げるようにこの場を去る俺だった。



商業ギルドで刀の代金の用意をお願いした。

明日はいよいよ俺の刀が出来上がる。

いよいよだと思うとわくわくしてきた。

早く明日にならないかなあ。


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