何も持たない俺が持てるまで
第1部転生編
第1章辺境伯の子編
001プロローグ
「一郎さん、長くの病床、おつかれでしたね。
今生はこれで終わりです。
これから貴方には別の世界へ転生してもらいます。
今度は辛くて痛くて寝てばかりいたなんてことはありませんよ。
なお、いかなるチートも特典もありません。
どう生きるのもあなた次第ですからね。
でも記憶は消さずに残しますね…。
精一杯生きてくださいね」
女神様が枕元に立ってこう告げた。
(う〜ん、夢にしてはリアルだなぁ。
てか、夢にしてはまだ覚めないし。
転生ものあるあるの見たことのない天井だし。
ひょっとして…俺、本当に死んだ?
辛いだけの病床からやっと解放された?)
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(うん、身体も痛くない。確かに夢じゃないな。
おぉ〜マジかー。これはやっぱり転生か。しかも女神様が登場するテンプレのシーンじゃないか!)
長く病床にいた俺は、出歩くことができなかった。必然、二次元世界やVRの世界に救いを求めていた。
なので、今の転生?、この現実を受け入れこそすれ、否定をしない俺である。
どんな世界なんだろう?
目が覚めたら、可愛い女の子に囲まれて勇者様って呼ばれたりして!
ワクワクするなー。
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ここは剣と魔法の世界
人ならざるものも混在する世界
人の生命の価値なぞ取るに足らんとする世界
舞台はそんな世界のとある王国の辺境から。
長い長い物語が始まる。