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なんかシリアスっぽいですね!でも違うんですよねこれが!


半ばほどまで飲み干されたルリのグラス。それを見ながら、俺はしばし考える。

人気アイドルになるために必要なもの、か。

思いつくのは歌、踊り、トーク力。ビジュアルにカリスマ性あたりだろうか。

どれもアイドルに必要と思われる要素だ。上を目指すためには、いくつかは持っていなくてはいけない素質だろう。

だが――これらを持っていたとしても、必ずしも人気に繋がるとは限らない。


「話題性、だろ? 個人の能力も重要だが、人気になるためにはまず多くの人の目に留まらないといけないからな。そのためにはきっかけが――バズることが絶対に必要だ」


俺が考えた末に出した結論は、話題になることだった。

順番が逆じゃないかと思う人もいるかもしれないが、素人時代のテレビ出演がきっかけで芸能人としてデビューしたり、甲子園で活躍した結果、ドラフト一位になったり一躍時の人として祭り上げられた人も、世の中には確かに存在するのだ。

運も実力のうちというが、巡ってきたチャンスを逃さず掴み取れるかどうかが、人気の境目となることは間違いない。

俺の答えにルリは目をパチクリさせると、


「へぇ……正解です。ちょっと見直しました、おにーさんって、やっぱりバカじゃないんですね」


「お前は俺のことをなんだと思っているんだ」


本人的には褒めたつもりかもしれんが、最後の一言があまりに余計すぎる。

ルリが俺のことをどう思ってるのか、思い切り透けて見えるぞおい。


「え、女の子からお金を貢がせてるクズだと思ってますけど……もしかして違うとでも思ってるんですか?」


「違わい。あのな、俺が金を貰うのは働かないために全力を尽くした結果なんだよ。強制してるわけじゃないし、あいつらが貢ぎたくて俺に貢いでるってわけ。要は正当な報酬を受け取ってるだけだから、俺はクズじゃないんだ。分かるか? 完璧な理屈だろ?」


まぁ俺の溢れる魅力に小さい頃から触れ続けた結果、闇が溢れてしまうくらいメロメロにしてしまったという意味では、確かに俺にも悪い部分はあるかもしれない。


「フッ、やはりイケメンは罪だな。同じ顔がいいもの同士、ルリもそう思わないか?」


「いや、そんな振り方されても困るんですけど。確かに顔はいいつもりですが、おにーさんの場合は色んな意味で自覚ないとか、ルリでもちょっと引きますよ……」


珍しく引きつった表情を見せるルリだが、一度目を瞑ると、真面目な顔に切り替えた。

どうやら話を戻すつもりらしいが、そのことに異存はない。


「コホン。なにはともかく、いくらルリがカワイイといっても、そもそも皆がルリの存在を知らないというならどうしようもないんです。おにーさんの言う通り、たくさんの人に知ってもらうにはきっかけが必要なんですよ」


「そのために事務所が打ち出したのが、全員が美少女というビジュアル重視のユニットだったというわけだな」


脱線した空気が戻りつつあることを肌で感じながら、ルリの言葉に頷きを返す。

確かに結成当初の『ダメンズ』は、ビジュアルに言及する謳い文句が多かったが、ちゃんとした戦略を練ってのことだったということか。


「その通りです。でもおにーさん、それじゃ足りないと思いませんか?」


「足りない? アピールがってことか?」


「はい。そもそもアイドルになるうえで、顔がいいのは大前提なんです。最初の食いつきこそいいですが、ぶっちゃけ宣伝材料としてはビジュアル推しって弱いんですよ。すぐに埋もれてしまう程度のアピールポイントでしかありません」


「言われてみれば確かにそうだな……」


アイドルとは選ばれた職業だ。芸能人である以上、容姿がいいのは当たり前のこと。

それだけなら確かにアピールポイントとして弱いのは事実である。


「歌う曲を電波曲にしたりとか、社長さんも色々考えたようなんですね」


「あ、あれも一応考えてのことだったんだ」


てっきり社長が趣味に走った結果かと思ってたんだが。

結果的に濃いファンを大量に生み出してるし、間違ってはいないとは思うけども。


「はい。ルリたちも色々考えて、アイデアを出し合ったりしたんです。ルリも遅くまで、一生懸命考えました。気がついたら、ユニット活動にのめり込みんでいた自分がいたんです。メンバーの皆さんはいい人ばかりでしたし、ルリも『ディメンション・スターズ!』のことをすっかり好きになっちゃっていましたから」


「へぇ……それは」


いい話だな。

そう続けたかったが、言えなかった。


「でも最終的に一番の売り出し文句として打ち出したのは……セツナセンパイとアリサセンパイ、幼馴染ふたりによるダブルセンターという、アイドルになる以前からの関係を大々的にアピールする形のものだったんです」


ルリの表情が、どこか物憂げな色を帯びていたから。


「反則だと思いません? 事務所はアイドルとしての実力じゃなく、おふたりのもとからの関係性に注目して押し出すのことを決めたんですよ。おにーさんは思うところがあるのかってルリに聞きましたけど、あって当然じゃないですか。要は引き立て役に回されたんです。ルリは、主役になりたかったのに」


カランと、氷が転がる音が微かに響いた。

このお話はシリアスとは無縁なのであくまでそういう空気感を出してるだけです、次回からははちゃけます

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