チョロすぎて心配になるのが俺なんだよね
「いやー、前々からハルカゼさんって実は可愛いんじゃないかと密かに思ってたんですよ」
「え、えへ。そ、そう? クズマくん、そんなこと考えちゃってたの?」
「ええ。だって声も凄く綺麗だしいつも俺のことを気にかけてくれましたし。こんな人が美少女じゃないはずがないって思わないほうがおかしいですよ」
「うへ、うへへへ。も、もう! クズマくんったら、褒めるの上手なんだからぁ。そ、そんなこと言ったって私に出せるのはお金くらいなんだからね! はい、もっとあげちゃう!」
「え? 悪いですよ。さっきからずっとハルカゼさんからはチップ貰ってばかりなのに……こんなにお金渡されても、俺からハルカゼさんにあげられるものなんてなにもありませんよ?」
「い、いいの。私があげたいんだから! クズマくんは、別にそのままでいいんだよ。で、でもその、もっと褒めてくれたら嬉しいかも、なんて……」
「ふふっ、ハルカゼさんならいくら褒めても褒めきれませんよ。意外と欲しがりさんなんですね、ハルカゼさんって」
「ふ、ふぇぇ。あ、頭撫でないで。な、なんかとろけちゃう、ダメになっちゃうぅぅ……」
「良いんですよ、駄目になっても。俺が許してあげますから。その代わりアイドルのほうは頑張って、もっと俺にお金くださいね?」
「う、うん。ふひゅううう……幸せぇぇ……」
そう言いながらアイドルとして人に見せてはいけない顔をするハルカゼさん。
ちなみにここまで長々と会話を繰り広げていたが、これらは全て登校中の出来事だったりする。
(うーん、流石にちょっとチョロすぎるな。色々と心配になってきたぜ……)
なんせちょっと褒めたり頭を撫でてあげるたびに俺に金を差し出してくるのだ。
おかげで俺の財布に既に3回はガチャの天井を迎えられるくらい潤ってるし、気分はまるで一流のホストである。
ぶっちゃけ俺が凄いというよりもハルカゼさんがあまりにもチョロすぎるだけなのだが、ここまで財布のヒモが緩いとなると貢ぐ女としての資質が元々高かったのかもしれない。
「ふふっ、こんなことで幸せになってたら、身が持ちませんよ? さっきも言いましたが、俺はまだハルカゼさんのことを全然褒め足りないんですからね?」
「ふ、ふぇぇ。ま、まだ、幸せの先があるの!? わ、私これ以上幸せになったら、もう戻れなくなっちゃうよ……!」
そう言いながらも、口の端を嬉しそうに歪めるハルカゼさん。
おそらく抵抗する気なんて更々ないのだろう。それはつまり、俺にもっと貢いでくれるということだ。
(となるとまぁ、貰わないのは失礼だよな。なんせ向こうが俺に金を渡したがってるわけだし。うん、仕方ない仕方ない。俺は全く悪くないんだな、これが。だってハルカゼさんが自分から貢いでくるんだし)
そう、俺はなーんも悪くない。
悪いとしたらそれはハルカゼさんのほうであって俺じゃあない。
仮に雪菜たちにこのことがバレたとしても、ハルカゼさんのほうがきっと説明して説得してくれることだろう。
俺に貢ぐのはあくまで自分の意志であって、俺は何も悪くないってな。
雪菜たちは怒るかもしれないが、この前の監禁リハーサルで幼馴染たちに俺を傷付けるつもりがないことは確認している。
身の危険もないと分かっている以上、金を貰わないなんて選択肢を選ぶ道理はどこにもないってわけだ。
(うーん、我ながらちょっとクズい考えしてるか? でもまあいっか、金のほうが大事だしな!)
俺は働かないことをなによりも大事であると考えている男だ。
貰えるものは全て貰う主義でもある。別にハルカゼさんを不幸にしているわけでもないし、むしろこんなに嬉しそうにしているんだから善行を働いていると言えるだろう。
天国に行けるのもまず間違いないな!やっぱ俺って最高の人間だぜ!ビバ人生!生きてるって幸せだな!
「さて、さっきからお金貰ってばかりでし、今度はハルカゼさんのリクエストに応えますよ。俺にして欲しいことなにかありませんか?」
「え!? い、いいの!?」
「ふふっ、ハルカゼさんに特別のサービスですよ。これだけお金をくれるなら、これからだってもしかしたら……ね?」
「う、うん! もっとお金あげちゃう! 私の貯金、全部あげちゃう!!!」
うーん、やっぱ心配だなこの人。
将来悪い男に引っかかるんじゃないか?
その時にハルカゼさんを助けてあげる必要あるかもしれないなんて思いながら、俺は彼女がなにをリクエストするか考え――
「く、葛原様!? 貴方、なんでマシロ様の隣を歩いているんですの!?」
ようかと思ったが、その前に突如聞こえてきた大声に思考をかき消されるのだった。
昨日からおさドルのコミカライズがスタート致しました。
皆様是非是非目を通してみてくださいませー!




