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女は顔じゃない。金だ

 球技大会が終わった翌週。俺は気分よく再び学校生活へと戻っていた。

クラスも優勝し、ユキちゃんとの約束も無事達成出来た。結果は上々と言っていいだろう。

ただ、ルリに俺のファーストキスを奪われたことだけが唯一の不満ではあったが……まぁ、今はそのことはおいておこう。

なんだかんだナイトクルージングは楽しかったし、大いに満喫出来たからな。

リフレッシュも出来たし、これで俺にもようやく平穏な時が訪れた……とはならなかった。

 

「葛原先輩、好きです! わ、私と付き合ってください!」


 現在、時間は昼休み。

 この場所に呼び出された俺は、顔を真っ赤にさせた女の子から告白を受けていたのだった。

 

「ふむ……」


 特に動揺することもなく、俺は目の前の女の子をじっと見る。

 髪は肩にかかるくらいのセミロング。顔立ちは十分可愛いと言っていい。胸もそこそこある感じだな。俺のことを先輩と呼んでいるし、おそらく一年生なのだろう。

俺に告白してきたあたり、男を見る目もあるようだし、中々の有望株と言っていい。

 顔を赤くさせてるあたり、告白慣れはしていないようだ。

どことなく大人しい印象を受けるし、親しい男子もあまり多くないのかもしれない。

 

「あの、すみません。返事を、貰えないでしょうか……?」


 外見と雰囲気からそれとなく分析していると、女の子が不安そうに聞いてくる。

 つい考え込んでしまったが、迷っていると受け止められたのかもしれない。

 その目には少しの期待が宿っているように俺には見えた。


「ああ、えっとだな」


 こういう目をされた以上、早く答えてあげるべきなのだろう。

 女の子を不安がらせる趣味はないし、なにより俺としても余計な未練を残されても困るからな。

 少し逡巡したのち、俺はゆっくりと口を開く。そして、


「君、今いくら持ってる?」


 気になることを聞いてみた。


「え、あの。いくらって……」


「金だよ、金。今いくら財布に入ってるって聞いてんの。月末のガチャで、好きなキャラのブライダルバニーガールが来てさァ。手持ちの金全部突っ込んじゃったから、今金欠なんだよ。いくらか貰えるとありがたいんだよね」


 女の子に自らの懐事情をぶっちゃける。

 実際、金には困っているのだ。まだ月初めだが、雪菜たちに貰った金を全部つぎ込んでしまったおかげで今の俺の財布は空である。

 早々に補充したいと思っていたところにこの告白だ。まさに渡りに船と言っていい。


「えと、その。私、お小遣い少なくて……手持ちは、3000円くらいしか……」


「え、マジ? 全然じゃん。ガチャ一回分かぁ。それだとなぁ……運が良ければ引けるかもだけど……」


 思った以上に少ないな。出来れば全凸するくらいの金が欲かったんだが……。


「仕方ないし、ルリか一之瀬に催促してみるしかないか。でもあいつらに頼むと面倒くさそうだしなぁ。どうすっかな……」


「あ、あの、先輩?」


「ん? ああ悪い。またちょっと考えてたわ。とりあえず今は金はいいんで、月の小遣い事情と貯金がいくらあるか教えてもらっていいか? あとついでに知ってたらでいいが、両親の職業と年収も教えてくれるとありがたいな」


俺は再び質問を投げかける。この答え如何によっては、付き合うことを検討する余地はあるだろう。


「ちょ、貯金? 両親の年収って……それ、私の告白となんの関係があるんですか!? なんでお金の話ばっかり……」


「それが俺にとって、もっとも重要なことだからだ」


 困惑している女の子に、きっぱりと俺は言う。

 目の前の子が美少女だろうがなんだろうが、そんなことは些細なことだ。

 

「君に金があるなら俺は喜んで付き合う。一生遊んで暮らせるくらいの金があることをこの場で提示できるというなら、土下座をしてこっちから付き合ってもらうことを頼み込みたいくらいだ。俺に貢いでくれる金があるかどうかが、俺にとっての全てだからな」


 そう、顔がいいとか悪いとか。性格が良さそうとか悪いとか。

 それらは俺にとって、何の問題でもない。 女は顔じゃない。金なのだ。

 俺にとって大事なのは金である。俺を養ってくれるかどうか。それが全てだ。他のことはどうでもいい。

  何故なら俺は生涯遊んで暮らしたいし、絶対に働きたくないのだから。


「で、どうなの? 君は俺のことを、養ってくれるだけの金はあるのかな?」


 俺が知りたいのは、ただそれだけなのである。


お久しぶりです。投稿再開しますので、よろしくお願いいたします

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― 新着の感想 ―
[一言] やっぱこうだよね このブレない所が好きです クズ発言にいつも爆笑してます
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