第3章 力と信用
俺は影の組織に変な術をかけられた、そして
砦に俺の体は連れ去られ・・・ディンは捕まっていた
ディンを助けようとするも・・俺は力足りず
生き倒れていた所をアティラスとリンスゥに助けられる
アティラスは王と関係があったのでムーンストーム王に謁見する事になるが
王は証拠を求めていた・・・王の協力を得られない以上俺自身が
力を見つけて影の組織を追い奴らが行なっている悪行の証拠を見つけなければならない
アティラスはディンが書いた文字を発見し
月の山に行く事を示唆する・・だが
事が上手くいきすぎている・・・
アティラス・・・この男信用して良いのか・・・?
月の山はムーンストーム王国より少し
離れた山脈の一段と高い山だ
俺たちは入り口にたどり着く
1日で登りきれるのか・・・?
「・・・ここを登るのか・・?」
「あぁ・・・この山は結構こたえるよ。
それに結構純度が高い石じゃないと光らないんだ。
そういう石はほとんど王国を守るのに使われていて、
もうほとんど残ってないのさ・・・
それに影の組織ほどじゃないが盗賊も出たりするしね・・」
「じゃあ兵隊たちも結構ここに立ち入ってて、もう無いんじゃないのか?」
「無駄足だったのかなぁ?」
「奥の方は強いモンスターが根城としていたけど・・
討伐はできなかったが撃退はしたという報告は聞いたが・・・
魔力数値が低い人はこの山に魔力を吸われるんだ」
「私は大丈夫、勇者適性が高いし・・・・シェイドは?」
「・・・・なぜか俺も大丈夫だな・・?」
「・・・・・・魔力欠乏症になっても困るしな
これを渡しておく・・・・」
アティラスは飴玉を出してきた
それを一つ舐めると
バチィィ
「痺れるな・・・痺れ玉か?・・」
舌の感覚がおかしくなりそうだ
こんなものを舐めるのか?
「馬鹿だな・・体の中心から魔力を
取り込むんだよ・・口に入れても良いが
刺激が強いぞ・・・」
「・・・あはは怒られちゃったね・・・道理で・・・」
「・・・お前もか・・リンスゥ・・」
アティラスが俺の体に魔力の状態に
異常があるかチェックしてもらった
どうやら魔力適性は平均以上らしいが
俺自身はそれの自覚はない
まぁこの山が登れればどうだっていいことだ
「入り口らへんはかなり暗いな・・・。
ここらへんは、ほとんど石の光も弱いな・・・というよりほとんどない。」
それに妙に体も重い・・なるほど
これが魔力を吸われているって事か
「・・・・体が重いだろ?魔力適性が低けりゃ
魔力がなくなって気絶してるぜ・・・それだけ
この山は危険なんだ」
「もっと奥へ進んでみようよ。」
「慎重に進めよ?調子が悪くなったら俺に言うんだ」
成る程・・王国が慎重にならざるを得ない訳だ
・・・・何かがあると言うのもあながち間違いじゃないな・・・
俺たちはどんどん奥へ進んでいった。
「おじちゃんにはきつい山道だぜぇ・・・。」
「そういう割には、たいして疲れてるようにも見えないな・・・。」
「アティラスは結構凄いんだよ!治癒魔法も少し使えるし、
戦闘訓練も怠ってないって言ってたよ。」
「それは頼もしいな。」
「まぁ・・任せなって。・・・ん?そろそろ出てくるか。」
「モンスターか?」
「ふん・・雑魚か・・王国の兵隊の管理まだまだだな」
確かにアティラスは凄いな・・俺には
そんなに早くモンスターの気配は読めない。
「きたゼッ。」
奥からモンスターが湧いてきた
いや、住んでいたと言うのが正しいか・・
姿形は影の魔物じゃない・・・純粋な獣だ
獰猛な爪・・・そして体には体毛がびっしり付いていて
虎と呼称するのが一番近い形だ、これを雑魚と呼ぶのか、しかも3体だ
見た目から俺は体がすくんでしまった
「あらら・・シェイドは引っ込んでて!」
「アティラスにお任せ。」
アティラスは、なにやら呪文を唱えると、手から炎が吹き出てきた。
アティラスは炎をまとったクナイみたいなものを投げつけた。
それは全弾敵に命中し魔物に致命傷を負わせた
「グォオオオオー」
ドギャアアアアアアン!!!!!!
命中したクナイは爆発して見事にモンスターを粉々にした。
「やるじゃないか・・・それが魔法なのか・・・?」
「あぁ・・こいつらは正式には獣じゃない・・紛い物だ」
「紛い物?・・・」
「中身がないんだ・・・外側だけ・・この山特有の生物
つまり外側が月の石の塊で、中身が意思を持った
魔力体だよ・・・だから魔力体が
自身の体を生成している内は
その本体側も本来ある獣と同じ性質を持つんだ」
「・・・・?わからん・・・」
「・・・・つまりだ、薄い膜を持った獣という事だ
そして生成した魔物は生き物と同じ炎を苦手とする
炎を分解できなくて形を維持できなくするんだ
まぁ・・魔力が強いなら他の属性でもいいが」
「・・・・・つまりガラス細工みたいなもんか?」
「そうだな・・・元の情報を持ったガラス細工といえば
わかりやすいか」
「・・・・つまり見た目的にも強くないって事なんだよね!」
ザシュウウウ
パリイィン
アティラスの残り火を元に
後ろに潜んでいた魔物に一撃を加える
短刀でリーチは短いはずなのに
流れるような動きで相手の
中心に深く突き刺していた
赤い光が放物線を描いているようで
俺はそれに見とれていた
「綺麗だな」
魔物の姿が崩れるまで見惚れていた
それ程までに鮮やかな技だった
「え・・・・・・わ・・・私?」
「あぁ・・・綺麗な技だ、誰かに教わったのか?」
「うん・・・アティラスじゃないけど
私の尊敬する人・・・今は遠いところにいるんだ」
・・・・相手の魔力を一気に
自分の物にして相手の急所に
一撃を加えるのか・・・・
いや・・あの魔力の流れは
放物線を描いている最中に
一定の温度を保っていた
つまりあの動きが最適だという事だ
熱源を保ちつつ放つ衝撃だ
覚えていて損はないな
「驚いたか?こいつは相手が放った技を自分の
物にするのに長けている、こいつの前で
新しい技を放ったら最後・・パクられるぞ!」
「・・・ちょ・・・ちょっと!その言い方だと
泥棒みたいじゃん!・・・せっかく綺麗・・
とか言われたのに・・」
リンスゥはブツブツ
嘆いていたが、正直
この女を舐めていた・・・・
天才という奴が世の中にはいるが
その中の一人だろう
悔しいが・・・俺に出来る事は
ないのか・・?魔力をうまく操れる事が
できない限りあのガラス細工の魔物と
渡り合える事ができない、
せめて索敵に集中するしかないか・・・
気配で相手を感じる事ができないなら
音で相手を認知すればいいだけだ
俺は耳に神経を集中させる
俺に魔力は操れないが魔力を触る感覚
さっきリンスゥがやっていたように
魔力を生み出したものに触るように
そうだ・・見えなくても感覚で視えるものを
置けばいいだけだ
魔力の流れが見えるようにするんじゃない
魔力反応があった物を見えるようにするだけだ
つまり俺から無色の音を探知する魔力空間を
生み出しそれを四散させ波状を浮き出させて
魔物にそれを当てる・・・そして反応があれば
魔物の姿見つける事ができるはずだ、魔力は生み出せないが
それが出ていると認識させていれば自ずと魔力も出る・・はずだ
0から1を生み出すんじゃない
元からあった流れをやる作業だ
つまり本体を出す作業じゃなくて
あたかもそれがある前提で出す動きだ
カァアアアン
「すごいな・・・もしかして素でやってるのか?」
「・・・あれ・・もしかしてこれって振知体?」
「そうだ・・・魔力振動によってモンスターの位置を正確に
認知させる方法だ、相手がステルス状態であろうが
擬態していようが、本来の姿に戻す」
「でもこれって、魔力体・・つまり媒介がないと
使えない技だよね・・それを無しでやってるって
どうゆう事?」
「・・・つまり・・魔力を集めて音を流す
物体・・魔力体があれば本来なんの苦労もなく
探知できるが・・・それ自体も作り出しているって事だ
・・・・お前にはあれが真似できるか・・?
精密な機械ごと魔力を流しているって事だ・・」
「・・・・あはは流石に・・あれは1度じゃ無理かも・・・
だって難しすぎるもん・・」
「リンスゥが発展型だとしたら、こいつは型破りだ・・・」
「・・・えとつまり・・予想できない・・?」
「ああぁ・・こいつの魔力は・・奇天烈すぎる・・
常識が一切通用しない・・・・という事だ」
「・・・・それって強いの?」
「・・・・わからん・・だが相手にしたくはないな」
「いたぞ!敵は天井に擬態していた!波状音波で捉えた!」
「シェイドはまだ戦う魔力は使えないでしょ・・
じゃあ私の番だね」
そういうとリンスゥは剣を構えた。
リンスゥの荷物から飛び出していた
短刀とは程遠い刀身が長く
標準的なソードだ、女性の身では少し重いはずだが
「おいっ!大ジョブか?そんな重いもん持って。・・」
「大ジョブだって、剣の扱いには慣れてるし・・・きたっ」
擬態していたモンスターは羽がついていて
浮遊している大きな目玉が特徴だが
大きい剣では相手を斬るにも一苦労だろう
浮遊して居る3体の他に
壁に擬態していたゴブリンの水晶体が
2体姿を現した、こちらはガラス体よりも層が厚い
ソードで傷をつけることが出来るが、リンスゥの力じゃ
破壊まではいかないはずだ
「やっぱり、俺も加勢する。」
「シェイドじゃまだ倒せないでしょ?大丈夫!
ちょちょいっとやっちゃうから」
リンスゥは剣を構えると
それに風の魔法を纏わせていた
「・・・・やっぱり負けたくないからね」
シュウウウウウ
剣を持っていないもう片方の手には
風で生成した剣が握られていた
2刀流か・・・
バシュウウウウウウウ
水晶体のゴブリンに思い切り斬りかかっていった
そのまま体は上空に宙返りして
回転しながら斬り上がる
そして飛び上がった状態から横斜め回転して
相手の後ろに飛翔する
上空から睨みつけて横斜め上から
交差するように斬り付ける
ゴブリンは粉々に砕け、風圧で粉も四散した
横に乱れた空気は上空に向かい
羽のついたモンスターの制空権を奪う
モンスターがバランスを崩した瞬間を見計らって
生成した風の剣に穴を開ける
そして散らばった風の魔力の渦を
モンスターの体ごと上に打ち上げる
ガガガガガガッ
下から打ち上げる豪風により
打ち付けられそしてその圧力に
耐えきれない体は粉々に散っていった
「・・・・・すごいな・・あんな事もできるのか」
「・・・・負けず嫌いだからな・・・あんな技初めて見たぞ・・
お前が魔力で器を作ったから真似して風の剣をこしらえちゃったか・・・
お前の技を擬似的に盗まれたぞ・・・・
王国の宝物庫にあった要らない風翔剣だったんだが
あそこまで使いこなせるとはな・・」
「・・・面白いやつだな・・」
「どう・・真似して見たけど実戦で使えるでしょ?」
「あぁだが使うなら短刀がいいな、お前自身
魔力の放出が激しいだろ?」
「・・・まぁね・・・だけどシェイドに負けたくなかったから
・・・ちょっと頑張りすぎちゃったかな・・・」
「おいおい・・膝にきてんじゃないのか・・肩を貸すぞ・・」
俺はおぼつかない足の方の腕を
肩に回してやった
「・・・・ありがと」
・・・・・変な奴にライバル視されちまったな
まぁ・・・俺もあんな事ができるのを
初めて知ったし・・・こいつと居れば
新しい技を編み出す事もできそうだな
俺たちはどんどん上に登っていくが
魔物はアティラスが蹴散らしていった
肩を貸してやったリンスゥがぼやく
「・・・・たまにはこうゆうのもいいもんだね」
リンスゥの体が寄りかかってきた
おい・・・お前剣二つ持ってるから
重いんだよ・・・・
「・・・・なんでだろう・・・なんか知らないけど
負けたくないって思っちゃったんだ」
「・・・・あぁ」
「そしたら剣みたいなの作れちゃって・・・
なんだろう・・・意地みたいなものだったのかなぁ?」
・・・知るかよ・・・
俺も自分の荷物持っていたから
重くてそれどころじゃなかった
・・・・・・・・・
「・・・・いいんじゃないのか?
そうゆう強さがあってもよ」
「・・・・そうだね・・えへへ・・
・・・・・シェイド・・・この冒険が終わってもまた一緒に」
「ダァああああああ!そろそろダァあああな!」
男の叫び声がした・・アティラスが
イライラしているらしい
俺はリンスゥを適当に放っておいた
そろそろ歩けるはずだ
「・・・・・・なんだよ・・・・もう一緒に
行ってヤンないぞ・・ばか」
「何がそろそろなんだ?」
「王国の兵隊たちも入らないところさ、ここに純度の高い石があるはず。」
「シェイド大丈夫?疲れたら休憩してもいいよ。」
・・・・・先ほどより早く動けているな
・・・・俺はまだ大丈夫だがリンスゥもなんとかなりそうか
「・・・・・少し休憩にするぞ・・・魔力を遮蔽するテントを
併設する・・・お前たちは休んでて良いぞ」
アティラスが荷解きにかかる、あの大きさなら
時間がかかりそうだ
「よっこいしょっと」
リンスゥは床に腰を落ち着ける
先ほどの魔力消耗がよほど激しかったのか
額に汗も出ている
「・・・・やっぱりこの剣重いかな・・・シェイドに預けておくよ」
ドサッ
無理やり剣を俺に預ける
俺も荷物あるのに・・こいつ・・
「・・・・だが・・良い剣だなこれは」
「ねぇシェイド・・・これあげるよ・・・」
そういって俺にガラス玉を一つ手渡す
「・・・・これは?」
「山に登っている間に集めて作ってみたんだ
・・・そしたらさ・・・意外に消耗しちゃって疲れたよ」
「・・・・何か意味があるのか?」
なんの変哲も無いただのガラス玉だ・・・
こんなものを作ってる暇があったら・・・・
「・・・・振知体・・・媒介が無いと
体がきついよ・・・これを使ったらもっと
体が楽になるよ・・・えへへ」
・・・・・・ッチ・・・調子が狂っちまう
・・・・俺はこいつらが敵だとは
・・・・・だんだん思えなくなっていた
一緒に戦っている所為もあるが
・・・・見ず知らずの男に
協力しちまうお節介野郎達だからな・・・
俺はさっきやった魔力空間を
展開するやり方を行う
・・・・・・!成る程・・・
空間の範囲が変わっている
さっきの倍以上だ・・・そして
体の負担も軽減されている
「・・・・これはすごいな・・・しかし
なんで俺にそこまでしてくれるんだ?」
リンスゥは笑ったまま遠くを見つめていた
「・・・昔それを言った私に言われた言葉は
可能性を感じた・・・それに他人と思えなかったから
もっと知りたいと思ったから・・・
それは私も同じなんだ・・シェイドをもっと知ってみたい
だから・・・・・関わりたいんだ・・・
それはお近づきの印だよ」
「・・・・・・・俺は何も無い・・
今は何も返せないが・・・・」
「・・・・十分だよ・・・今は一緒にいられれば良いんだ
それに・・・・・それは嘘をつかないでしょ?」
・・・・・リンスゥ・・・まさか俺が疑ってたのを
薄々感づいていたのか・・・・・
・・・・信用を得るために自分を犠牲にしたのか
・・・・・・・・
「・・・・・わかった・・ありがとう・・・
俺と一緒にディンを助けるために協力してくれ」
俺は手を差し出した、俺は心から
こいつを信用してなかった・・・でも
今なら信用できる・・・
「・・・・これが本当の仲間ってやつ?」
リンスゥは強く握り返してきた
・・・・仲間か・・・
「・・・お前らなぁ・・・俺がテントを
作ってる時にいちゃつくなよな・・・
だが・・信用に値するだろ?
たまには他人を頼ってみやがれ」
「あぁ・・・・俺も全力を尽くす
必ずディンを救うんだ」
「いちゃついてないってば!アティラスゥ!」
俺たちは体を癒すために
休憩することにした
3章はそんなに長く無いのだが、長くなったので1章分多くなります
リンスゥの戦闘描写が昔だと
ザシュ バシュ ザァアン
くらいの音表現しかなかったのですが
かなり強くなってますね^w^この技は
RPGツクールで再現しております
後原本だとリンスゥとシェイドが仲良くする部分は
ありません・・・このガラス玉は
今のシェイド君がもってるかは謎です
後魔物の描写も詳しく書きました
昔の原本シェイド君だとあまりに人を信用しすぎるので
現在シェイドを水を足して割ったみたいにしたけど難しいですね^q^