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シリーズ:加齢臭と転移する竜(関連話いろいろ)

七つの首の骨 - 加齢臭と転移する竜 -4周年記念投稿作

作者: 黒長 二郎太

”加齢臭と転移する竜”で、主人公のおっさんが、人間として死んだときのお話です。

本編はコレです

<<https://ncode.syosetu.com/n8898ej/>>


投稿開始4年記念で投稿するものです。


本編にも断片的に回想として出てきますが、主人公のおっさんが人間だった頃のお話です。


シンプルに、緩く書いていますが、簡単に書くと

"おっさんが人の道を踏み外してしまったお話"です。


なんだか凄く悪そうな響きですね!

挿絵(By みてみん)


夫が苗字記載で、妻が名前記載という変則的な書き方になっている箇所があります。


栫井 仁 ⇒ 栫井(かこい)

栫井 洋子 ⇒ 洋子


----


中年の夫婦が記念品の入った紙袋を持って電車に乗っている。


「みんな年取ってたな」 夫の仁が言う。

「だって、実際に時間が流れたんだもの」 妻の洋子が答える。


「皆、元気そうだったな。

 あの頃は、みんな若かった。

 あの頃は、年をとるってことがどんなことか想像もできなかったのに、

 この歳になると、だいぶわかるようになってしまう」


「…………」


この歳になると、同級生の話題は自分自身のことよりも子供の話が多くなっていた。


2人には子供はいなかった。欲しかったが生まれなかった。

だから、夫の仁は、なるべくその話には触れないようにしていた。


なのに、洋子が触れてしまう。

「うちにも……」

仁が話を遮る。

「俺はいいよ。俺は洋子さんが居てくれれば」


仁は、いつもそう言っていた。


…………


栫井(かこい)と、妻の洋子は、高校の同窓会に行った帰りだった。

2人は同じ高校の同級生。

高校から継続して付き合っていたわけでは無かったが、同じ高校を卒業して、後に結婚している。


2人の通った高校では、同級生同士の結婚は多くはなかったが、この2人の他にも、何組かは居るという程度だった。


進学校だったので、進学先の学校の同級生同士の結婚が多い。

そして、同級生同士の結婚であっても、高校から継続して付き合い続けて結婚したカップルはあまりいなかった。


時間が経ってから再会して結婚、そんなパターンが多かった。

この2人もそれだった。


2人は再会後、あっさり結婚した。


2人に子供は居ない。

洋子は初婚では無い。2度目の結婚相手が栫井(かこい)仁だった。

元々、洋子が離婚したのも、子供ができなかったからという理由が大きかった。


栫井(かこい)と結婚したあと、洋子が子供を望んだこともあり、不妊治療をした。

不妊治療は経済的にも、体力、精神的にも、負担が大きかった。


少子化対策で補助金が出るようになったのは、だいぶ後の話だ。

洋子たちの時代、不妊治療は自費だった。


不妊治療でたくさんの出費をしたし、洋子は不妊治療のために、条件の良い職場を辞めることになった。

それでも頑張ったが、36歳のとき2人は不妊治療を断念した。

十分早いタイミングで始めた不妊治療だった。それでも無理だった。


栫井(かこい)は元々、子供は居なくても構わないと考えていた。

結婚するとき、子供を持てない可能性が高いことはわかっていた。

洋子は断わったが、仁はそれでも洋子がいれば良いと言ったので結婚した。


2人は再会後、交際期間は、ほぼ無かった。


もともと洋子は仁のことが好きだった。

本当に、”何かの手違いで結婚しなかっただけ”と言っても良いくらいだった。


洋子は、栫井(かこい)と結婚すればよかったと思っていたし、栫井(かこい)も、元々洋子が好きだった。

両思いだったのに、些細なすれ違いで、付き合うところまで行かなかった。


そんな2人が再び出会った。

結婚するのに障害は何も無い……はずだったが、結婚を承諾するとき、洋子は1つだけ条件をつけた。


”私を独りにしないで”


栫井(かこい)も、ずっと一緒にいるつもりだったので、寿命で死ぬ時まで一緒にいることを誓った。


洋子が言ったのは、”浮気したりするくらいなら結婚なんて言わないで欲しい”という程度の意味だった。

途中で捨てられるくらいなら、結婚なんかしない方が良い。そう思っていたからだ。

栫井(かこい)を疑っていた訳では無い。前回の結婚で懲りていたからだ。


だが、この約束の意味は、洋子の中で、長い年月をかけて、少しずつ変化していった。


----


子供をあきらめてからは、出かける機会も少なく、忙しく過ごしていた。

栫井(かこい)は、二人で過ごす老後を比較的楽しみにしていた。

ただ、経済的にあまり余裕が無い。


……………………


時とともに、年金受給開始が遠ざかっていった。

若いころは、60歳まで働けば良いと思っていたのに、65歳に延長された。

まともに給料が出るのは60歳までで、そこから先は一気に収入が下がる。

余裕のある人は早期リタイヤ可能だが、そうでない人はずっと働かなければならない。


俺の親の世代は、年期もらい始めてから海外旅行に何度も行き、

元気に遊びまわっていたが、俺の時代にそれは無理そうだ。


”定年まで働いても、生活に余裕がありそうもない。

さらにその先、延長雇用で働いて年金が貰えるのは70くらいからか”

そんな事を考えていた。


老後……老いて労働の義務から解放される期間。


自分たちの親世代のように、海外旅行に何度も行くような経済力は無いと思うが、

自由に生きられる余生が存在する。


栫井(かこい)にとっては、そういう認識だった。


体力気力が衰えてからようやく自由な時間が手に入っても持て余しそうな気もするが、今まで、自由に使えるまとまった時間が無かったので、そんな時間が欲しかった。


2人でゆっくり過ごせる時間がある。


とは言え、有限の自由だ。人はいつか死ぬ。

洋子を一人にしないとは言ったが、平均寿命を考えると、男性の方が先に死ぬ可能性が高い。


なので、最後は一人にしてしまう可能性は高い。

だから、寿命で死ぬまで一緒に過ごせば約束を破ったことにはならないだろう。

そう考えていた。


普通は男でも80くらいまでは生きるのだろうか?

70で死んでも許してくれるだろうか? 75だったら?


先に死ぬかもしれないけれど、そのくらいまで生きれば許してくれるだろう。

栫井(かこい)は、そう考えていた。


だが、そうはならなかった。


50になる年、2人で行った同窓会からそれほど経たずして、栫井(かこい)は、病気の再発が見つかった。


何年か前、健康診断に引っかかった。

健康診断で引っかかる。これは毎年だった。

ただし、この年は、2次検査にも引っかかった。


検査に行くと、もうちょっと詳しく……と何度も検査する。

自覚症状が無くても、何度も検査が続けば気付く。


何度も検査が続くので、おかしいと思っていたら、結局、肺癌だった。


比較的場所がマシだったので、手術で完全に取り除いた。

……はずだった。


ところが、また肺に影が現れた。

「影が見えるから、ちゃんとした検査受けましょう」

医者はそう言った。


だが、ちゃんとした検査とやらで詳しく調べるまでも無く、再発している。

レントゲン写真に写っているのだ。俺が見てもわかる。

そして、再発が明らかなのに妙なことを言う。


「ちょっとまだ詳しく調べてみないとわかりませんが、

 どうやって治療していくか。

 今は、いろいろな治療法がありますから。

 合う治療をしていきましょう」


これは……

前回は”幸い場所が良かった”という説明の中で、悪い場所の話も聞いた。

今回映った陰は、まさに、そこにあるのだ。


この医者は、治す方法を検討しようと言っているのではなく、治らない病気とどう戦っていくかという話をしているのだ。


「奥さんにちょっと説明を」


まあ、そうなるだろう……が、べつに、妻にだけ話す必要は無いと思うのだが……


結果としては、肺癌の再発だった。

以前に栫井(かこい)は肺癌にかかり、治療していた。

治療は終わって、再発しなければ問題無いはずだった。


定期的に検査受けているのに、見つかったときには既にかなり進行していた。

何より場所が悪い。


これは治らない。


このとき栫井(かこい)仁が気にしたのは、妻の年金額だった。


”まずい。80どころか、定年前にリタイヤか。

 定年まで働かないと、洋子さんの年金が確保できない”


この時既に、栫井(かこい)は、もう長くないことを理解していた。

肺は勝手に再生したりしない。切除すると、二度と復活しない。

既に片肺は半分しか無いのだ。


「あとどのくらいなんだ? 俺の余命」


洋子はこう答える。

「え? 頑張れば完治するから」


「いや、俺写真見たから」


”俺写真見たから”

これだけでもわかる。

洋子の夫は、変なところで勘が良かった。

でも、勘が悪いところもある。

洋子は、現実を受け入れないで欲しかった。


「今は良い治療法があるから……」


洋子は、少しぼかすが、夫の仁には通じなかった。


「いいよ。わかってるんだ。

 切り取ることができないから、他の手段しか選べないだけだ。

 切ったら、残った肺で生きられない。

 切り取る以外の方法で、完治できる見込みはほぼ無い」


この話を聞き、洋子は驚いた。

夫は医者から話を聞いていないのにもかかわらず、洋子が思う以上に、状況をよく理解していた。

洋子は、それを、そんなにはっきり理解しないでほしかった。


…………


肺は必須の臓器であり、完全に切除することはできない。

既に一部を失っている上に、前回と違い今度は気管に近い位置にある。

だから、端を切って終わり、とはならない。

そして、投薬で完治は期待できない。


栫井(かこい)はそこまで理解している。


昔から、変に勘が良い時がある。

栫井(かこい)は位置と、そこを切り取ってしまうとどうなるかを正確に把握している。

洋子は、ごまかすのを諦らめた。


洋子は、この若さで世を去ることを不幸だと思ったが、夫の仁は、自分の寿命については直接的にはさほど気にしていなかった。

ただ、年金を予定の金額残せない。

そして、予想していたより遥かに早く、妻を1人にして去っていくのは気が退けた。


「俺が元気に歩き回れるのはどのくらいの期間だ?」


「そんなこと、気にしないで。

 そうだ、旅行とか……海外旅行なんてどう?」


「うん。洋子さんが望むなら」


まあ、洋子も、栫井(かこい)が海外旅行を楽しみにしたりしてないことは知っている。

でも、今やらないと、後になったらできないのだ。


「そうじゃなくて、ジン君がやりたいことをやろうよ」


----


栫井(かこい)は、そう言われても困る。

俺のやりたいこと……俺はこの暮らしに満足していたから、特に何も無い。


「年金満額残したかった」

「それはいいわよ。それより、私は長生きしてほしかった」


これに関しては仕方がない。完全に誤算だった。


「ごめん。寿命くらいは人並みにあると思ってた。

 せめて、子供が居たらな」


「それは私が……」


----


2人は、栫井(かこい)は初婚だが、洋子は再婚だった。

はじめの夫と離婚して、もう結婚なんかしないと思っていたのに、親友の玲子に嵌められた。

まんまと呼び出されて、栫井(かこい)と会わされてしまったのだ。

再会してしまえば、そこからは早かった。


洋子は子供を望んでいた。

自然妊娠は難しいことはわかっていたので、不妊治療も受けた。

高額で、精神的な負担も大きく、たちまち疲弊した。

そして、二人で生きていこうと決めた。


----


栫井(かこい)は思う。

俺が死んだら、洋子さんが独りぼっちになってしまう。

まだご両親は健在だが、これから介護で負担が増える。


これじゃ安心して死ねないじゃないか。


俺は失敗した。寿命くらいは人並みにあると思っていた。

現代医療を過信していた。

定期検診を受けていて、再発発見がここまで遅れるとは思わなかった。


再婚相手が俺でなければ、洋子さんは、この年で独りにならずに済んだのに。


栫井(かこい)は、洋子をこの歳で放り出すことになってしまうことを、酷く後悔した。


そんな時だった。死神がやってきた。

『洋子に子供が生まれる歴史に変わったら、私の世界の神になってください』


その死神は、妙な取り引きを提案してきた。

”歴史を変えるかわりに、私の世界の神になってください”。

つまり、言い換えれば、洋子さんに子供が生まれる歴史と引き換えに、この死神の世界の神になれと言っているのだ。


俺の考える死神とだいぶ違う。だが、洋子さんが子供を産む歴史を作ることができる。

俺が神様をやることと引き換えに。


「その条件と引き替えに?」


『私の世界では子供は事故でもない限り確実に産まれます。

 男の寿命と引き換えに。

 だからあなたが私の世界の人間になれば、子は産まれるのです』


単なる条件提示かと思ったのだが、そうでもないようだ。

俺がこの死神さんの世界の人間になることで、俺の寿命と引き換えに子供が生まれる。


だが、洋子さんとの間に子供が生まれるのだろうか?


「洋子さんとの間に?」


『とても難しいことですが可能です』


簡単ではないが、可能ではある。

だとして、その寿命というのはどのくらいだろうか?


「寿命ってどのくらいだ?」

『10年ほどです』


10年、この数字は少し悩ましい。俺は1年も経たずに死ぬだろう。

そこから10年減らしたら……

元から短い寿命から10年引いたら、歴史が変わって子供が生まれても、子育てが終わる前に俺は死ぬ。

……ますます未練が大きくなる。


「40で死んだら、洋子さんが……」


ところが、その返事は意外なものだった。

『減るのは精神の年齢です。その体は今と同じ寿命を持ちます』


減るのは精神的な寿命だと言う。


ああ、そういうことか。

死神は体の寿命を持っていくわけではないのだ。


俺の場合は病気で体が死ぬ方がずっと早い。

だったら、この世界での肉体的な寿命は変わらない。


「そうか。じゃあ、計画を話してくれ。実際に俺は何をすれば良いのかを」


『私の世界の神になってくれるのですか?』


「それを決めるための情報が欲しい」


俺は、幻覚かもしれないと思いつつも、話を聞いた。


……………………

……………………


俺が、その世界の人間の特性を持ち帰り、時間を戻す。


俺が死んだあと神様になると、それが可能になる。

どうせ、もうすぐ死ぬ俺には、比較的簡単にできることだった。

死ぬ前に準備をしておくと、俺は神になる。


そして、理由はまるでわからないが、その未来は、俺が神になると確定する。

俺が神になるかどうかは、洋子さんの行動で変わる。


俺はそれに賭けてみようと思う。

死神の話に乗ることにした。

洋子さんの寿命が削られたりはしないようだったから。


……………………


ある日、栫井(かこい)は、この話をする。

「洋子さん。もし子供が居たら、俺がこの歳で死んでも許してくれるか?」

「子供?」

「ああ。子供。実際に生まれたら、今何歳くらいだろう。高校生くらいになってるかな」


「いいわ。子供がいるなら。

 でも、うちには子供は居ないから、長生きして」


「長生きは無理だったけれど、子供は何とかなるかもしれない」

「え?」


このとき、洋子は、”子供が居れば(死んでも)良い”と言ったのではなく、”長生きしてくれ”と言ったのだが、栫井(かこい)は、”寿命が無理なら、子供のいる未来でも可”と受け止めた。

それしか選択肢が存在しなかったから。


洋子からすると、とてもおかしな話に思えた。

元から子供ができなかった洋子に、この年になって子供の話をされても困るが、このとき洋子は、深く追求しなかった。


……………………


俺は、他に何か穴は無いか、死神に再度確認する。

「代償が俺の寿命なら構わない。

 洋子さんや子供からは代償取られないんだろうな」


『はい。私は寿命を減らしたりはしません。私の世界に来て欲しいのです。

 そうすれば、子供が生まれます。これを見てください』


この死神は、妙な記憶のようなものを見せてくれた。


経緯はよくわからないが、確かに、俺と洋子さんと娘の居る風景があった。


「これが実現するなら、その世界に行ってもいい」

『それでは、妻と神殿を作って、そこに首の骨を持ってこさせてください』


……………………


栫井(かこい)が、神になるのは死後のこと。

だが、その前にやっておかなければならないことがある。


「洋子さん。俺、入院する前に、やらなきゃならないことがある」

「うん。何をするの?」

「最後に行っておかなきゃならないところがあるんだ」


「何を言ってるの。大丈夫よ」

洋子はバレてるのを知りつつも認めない。

だが、夫は妙なことを言い出す。

「俺、死に神と取り引きしちゃってさ」


「何を言って……?」


「ほら、どうせ死ぬのは決まってるから。

 狂人の言うことだと思って聞いてくれ」


洋子は、妙だなと思いつつも、何を言おうとしているのか聞いてみることにする。

「ええ」


「俺が死んだあと、遺骨の首の骨を触ってくれ。

 そうしたら、死神と話せるようになる」


夫は近いうちに死ぬ前提の話をしている。

その上、死神。洋子には受け入れがたい話だ。

「死神って、それに死んだあとなんてそんな話……」


だが、夫はそのまま話を続ける。

「代償は俺が払ってるから、洋子さんは、何も払う必要ないから。

 遺骨の中から首の骨を探して欲しい。

 洋子さんが見れば、すぐわかるから」


何か妙な説得力を感じる。真面目に言っていることがよくわかる。


「それと、悪いんだけど、一緒に樹海に行って欲しい。

 俺の神殿を用意しておかなきゃならない。妻と行かないと神殿にならないんだ。

 俺が歩けるうちに樹海に行かなきゃならない。


 そして、俺が死んだあと、その場所に首の骨を持って来れば、神様を呼ぶことができる。

 そこで、神様が出たら子供が欲しいと言えば良い。

 俺が神様になった後なら、その願いを叶えることができるから」


確かに、洋子は子供を望んだ。だが、それは過去の話だ。

今更子供ができたとしても……仮に、夫が元気であっても、この年齢で子を産み育てるのは難しい。

今更子供は要らない。

「この歳で子供なんて……」


ところが、栫井(かこい)は妙なことを言う。


「ああ、それは問題無い。時間を戻して、子供を授かる。女の子だった」


既に確定しているかのように話した。

「女の子だった?」


「ああ。見たんだ。その未来は用意されている。

 そこで1つお願いがある。

 50の年に俺と娘の命を選択する場面が来る。

 そのとき、娘の命を選んで、俺を殺してくれ。

 俺は、その歳で死ななければならない。でも、許可が無いと死ねないんだ。

 俺が死んでも、洋子さんと娘は幸せになれるから」


もうすぐ夫が死んでしまうことを悲しんでいる洋子に、その話をするのは残酷だ。

洋子は、夫をまだ失いたくないのだ。

「なんで?」


ところが、その意図は正しく伝わらない。

「だってお得だろ。その方が。

 俺はどうせ、この歳で死ぬ。

 俺が死んだ後に娘が残るなら、俺はその方が安心して死ねる。

 樹海に首の骨を持って来れば、神様が現れる。神様に願いを言えば……」


そんなことより、洋子が望んでいるのは、夫が長生きすることだった。

「ジン君が長生きする世界は作れないの?」


「それは無理だ。

 俺は、俺はこの世界を離れて、その後別の世界で働かされる。

 代償を支払わなければならないから。

 未来を変える代償は大きいんだ……とても」


「代償?」


「それは俺が何とかする。

 でも、この年で死んだら洋子さんの年金が減ってしまう。

 そこは変えられない」


それは、洋子自身が多少はどうにかできる部分だ。

洋子の力が及ばない部分を何とかしてほしいのだ。

「そんなのいい」


「でも、俺は長生きできないから、娘が居た方が良いと思う。

 神様になれば、洋子さんとの間に子供ができるって。

 なんか難しい話がいろいろあって、1人しか作れないんだけど」


栫井(かこい)も、可能な範囲で現状より良くする方法を模索した。

そう聞こえた。もうすぐ死んでしまう人が、死神とか神様とか言い出したら、正しい判断はできていないように思えるが、不思議なことに話の内容は辻褄が合っているように思えた。


何か制約があって、栫井(かこい)は寿命を延ばすことはできないが、娘が存在する世界を作ることはできる。

時間を戻すと言う。

洋子はもう細かなことを気にするのを諦めて、仁の話を聞く。


「俺が死んだあと行く時はガイドさんと一緒に。

 たぶん、1人で行っても、死神さんが案内してくれると思うから、迷いはしないはずだけど。


 神様は神殿で生まれる。神殿は2人で行かないと作れない。

 だから、俺が動けるうちに、洋子さんと一緒に行かなきゃならない。

 俺が死んだら、首の骨をその場所に埋めて欲しい」


……………………


突拍子もない話だが洋子は、仁に従うことにした。


「今回はまず、神殿を作りに行く。俺が死んだあと、神になる場所」


「その言い方、私、あんまり好きじゃない」


「ごめん。でも、俺が生きているうちにやらないといけないことなんだ」


確かに、もう仁が自由に行動できる期間はとても短い。

好きなことをやらせてみようと思う。


----


空気が薄い。俺は肺をやられてるので、相当きつかった。

やっとの思いで着いた。


「ここだ。この木の下。ここが良い。

 2人で回れば、この場所が俺の神殿になる。

 一緒に子供を作って育てたい相手と回る。二人で回った場所が、神殿になる。

 ここに、首の骨を持ってきて欲しい」


「わかった。ここが私たちの神殿なのね」

「ああ。今は何も無いけど。

 俺の死んだ後なら神様になって、願いを叶えることができるようになる」


「これだけでいいの?」

「ああ、十分だ」

手を繋いで回っただけ。

何も起きないが、仁は、この場所が神殿になると信じているように見えた。


もしかしたら、幻覚でも見えているのかもしれない。

それでも、夫が安心できるのであればと思う。


帰りはほんとに大変だった。


「大丈夫?」

「ほとんど、勾配無いのに、この調子だ、はあ、はあ」

「休み休みで良いから」

「ああ」


なんとか道路まで戻ってくる。


「もう、こんな体の負担になりそうなことはやめてね」


「もうこんな無理はしないよ。

 それより、覚悟ができたら、あの場所に来てくれ。来れば必ず出るから」


「行かなくても良いの?」

「それはかまわない。俺は、できることはやっておきたいだけだから」


こんなに無理して来たのだ。

行かなくても良いと言われても、来ないわけにも行かないだろうと洋子は思う。


----


すぐに入院の日が来てしまう。

仁は理解している。たまに自宅に戻ることはあっても、治って退院することは無い。

退院するのは死んだとき。


「金の心配だけはさせずにと思ったんだけどな。

 今のままだと、年金が……」


まだ言っている。


「そんなこと心配しても仕方ないでしょう。どうせ、貰う頃には、あなた生きてないんだし」


「だから気にしてるんだろ」

「時間戻るなら関係無いじゃない」

「ああ、その時も、年金額は変わらないけど。

 くれぐれも、よく考えてから。神殿は念のため用意しただけだから」


もうすぐ死ぬのがわかっていて入院するのに、よくそんな前向きで居られて凄いと思うのと共に、仁の性格的に、こう言うことは、よく理解もできる。


老後の話をよくしていた。

それができなくなった。この状況でできる最善のことをしようとしているのだ。


たぶん、どうせ神様になるだけだから、死を重大なことと考えていないのだ。

元から、そういうところがあった。

洋子の夫は、頑張って長生きしようとは思わないようだ。


----


本当に俺はダメだな。たばこも吸ってないのに肺ガン。

受動喫煙のせいなのだろうか?

とはいえ、ヘビースモーカーと過ごした時期は長くはない。

親父はタバコ吸っていたが、あれは俺が子供の頃。はるか昔だ。


だから、単純に運が悪かった。


「来週、杉と玲子がお見舞いに来るって」

洋子が伝えると、仁は答える

「こないだ会ったばかりじゃないか。いいよ。

 どうせ2人にはまた会う機会が有るから」


仁はそう言ったが、その機会は訪れなかった。


運悪く早々に肺炎にかかってしまった。

あの樹海行きは、肺に大きなダメージを与えていた。


肺を患っている患者にとって、肺炎は致命的だった。


人工呼吸器をつけたところで、肺自体の能力が下がっていると、血中酸素濃度はうまく上がらない。


意識が有ったのか無かったのかわからないが、仁が最後に言った言葉。


「7個あるから、7個埋めて。見ればわかるから。

 たぶん、首の骨に触れれば、死神が話しかけてくる。

 報酬は前払いしてあるから、怖がらないで。


 良かった、君を独りにしないで済みそうだ。

 それが心残りだった」


洋子にはよく考えてと言った割に、仁は洋子が行く未来を見ているようだった。


「わかった。必ず行くから、心配しないで」


「7個あるから」


それが最後になった。その後、意識が戻らず延命処置を打ち切った。


栫井(かこい)は延命を望んでいなかったから。


延命しても、二度と意識が戻らないかも知れない。

意識が戻ったところで、回復する訳では無い。


……………………


夫の死後、遺品の整理をする。

洋子の夫は、自分の死後のためにある程度準備を進めていた。

しっかりやったつもりだったが、案外残っていた。

死後でないとできない手続きが多いこともあるのだが。


遺骨は、こんな小さな壺に入ってしまう。

骨。こんな姿は見たくなかった。でも確認する必要がある。


夫が生前に言っていた”首の骨”の話だ。


ところが、すぐわかると聞いていた首の骨は、どれのことだかわからない。

”喉ぼとけ”の話をして、一番最後、一番上にありそうだが、わからない。


でも、何か光るものが見えた。

「何か光った? なに?」

こんなもの有っただろうか?


とても骨には見えない。

人体の一部分にも見えないが、骨壺に入っていた。

こんなものが有ったら、骨上げのとき気付きそうなものだと不思議に思う。


骨と言うよりは、宝石に見える。


摘まんで、よく観察する。


「コレ、骨じゃ無いよね?」


『触れたようじゃな。聞こえるか』


突然声が聞こえた。

だが驚かなかった。洋子はすぐに理解した。これが死神だ。

あの人の言っていたことは本当だった。


「死神さん? 7個って、どれのことかしら」


『1個で良いのじゃ。残りの6個は樹海と言うところにあるのじゃ。

 お主も行った場所じゃ』


「え? ジン君生きてる時に行ったから、埋めてない」

『妾はそういうのはようわからぬ。1個と決まって居るのじゃ』


1個と決まっているなら、仁は、なぜ7個と言ったのだろう?


でも、私には死神さんの声が聞こえるし

7個の話が嘘なら、死神の話ごと全部嘘の方が自然な気がする。


========


栫井(かこい)は、逝くの早すぎなんだよ」

「仲良かったのにね」


玲子とスギが様子を見に来てくれたのだ。


「まだ、あの人との約束が残ってるのよ。

 ジン君、亡くなる前に妙なことを言ってて。

 樹海に骨を埋めに行かないといけないの」


「樹海? 富士山の?」

「ええ。前にも一回行ってる」


杉と玲子は、これを聞いた時、はじめのうちは冗談だと思っていた。

ところが、話を聞くうち、だんだんと、そうとも思えなくなってくる。


……………………


「神様?」

「うん。神様」

栫井(かこい)が?」

「うん。だから、本当かもしれないと思って」


「どういうこと?」

「ジン君は、神様になりたく無い人だったから」


「そうなの?」

玲子が、杉に振る。

「私が知るかっての!」


でも、確かにそうかもしれない。

わざわざ自分から神様になろうと思ったりはしなさそうに思う。


まあ、そもそも、神様と言うのがおかしな話だ。

何か別のサプライズがあるのではないかなんて考える。


「掘ったら、小判でも出てきたり?」

「7個の首の骨って言われたんだけど」

「7個集まると何が?」

「願いが叶うのよ」


「ドラゴンボールかよ!」 杉が豪快にツッコミを入れる。

「ああ、そういえば似てるかも」

「神龍でも出るのか? まあ、そのくらい付き合うよ」


玲子と杉も一緒に行くことにした。


この仕掛けの意味は、すぐに分かる。

栫井(かこい)が生前何かを残した。

だから、それを回収しに行くイベントだ。


「熊除けとか無いと危ないかな?」

「熊除け用の鈴があるけど」

「それ付けていくか」


その日は、都合の良い日を決めて解散した。


========


当日は、良い天気だった。


「うわっ、まだ暑いと思ったのに、十分涼しいな」

出発したときは、今日も暑くなると思ったが、樹海は既にけっこう、ひんやりしていた。

森の中は日差しも無い。


日中でもけっこう暗い森の中を歩く。

「こっちみたい。ああ、確かにこんな道だったかも」

「まだ着かないの? 帰れなくなったらどうしよう」


「あの人が、私を遭難させるようなことするわけ無いから大丈夫よ」


まあ確かにそうだろうが、故意では無くても、過失としては有り得る。

こんななんの目印も無い森の中で、迷わない自信はどこから来るのだろうかと疑問に思う。


「こっちだっけ? そっち? そんなところ通ったかな?」

さっきから、洋子は誰と話しているのだろうかと疑問に思う。

それに洋子が気付く。

「ああ、死神さん。あの人が前払いで雇ってるの」


「…………」

いきなりすぎて、突っ込み損ねてしまう。


「前払いか。その分長生きすりゃ良かったのに」

杉がそう言うが、もちろんそんなのは検討済みなので、洋子が答える。

「死神は寿命は延ばせないからって」


「まあ、それもそうか」

そう言いつつ、妙なリアリティーを感じる。


「ああ、ここだ」

「え? ここなの?」

「ろくに目印も無いのにわかるの?」


「木の下、掘った跡がある」


「あれ? ほんとだ」


杉はすぐに理解した。

栫井(かこい)が生前、そこに何かを隠したのだ。

思い出の品か、手紙か、それほど大きくない何か。


これが、大きなサイズの埋め戻した跡だったら、絶対に掘り返さないが、この大きさなら死体が出たりはしないだろう。

まあ、これから埋めようとしているものも、言い方を変えれば、死体の一部ではあるのだが。



洋子は躊躇なく掘る。

見ていた玲子と杉が驚くくらいだった。


あっさり何かが出てきた。

「6個埋まってた」

「何?」


玲子と杉は驚く。確かに、骨のようではあるが、あからさまな骨ではなく、欠片と言う感じのものだった。


「既に埋まってた」

「なんで埋まってるの?」


これが仁のものだとしたら、ここに埋まっているはずが無いのだ。

遺骨は、洋子が持っていて、簡単に持ち出すことはできない。


「私の骨は1個だからって言ってる。残りはいつの間に埋まったの?」


「知らないって。怒られちゃった」

洋子は誰かと話しているように見える。

「死神さんが?」

「ええ。この死神さん、すぐ怒るのよ」


死神と言う割には、ずいぶん気楽な感じの相手と話しているように見える。


「でも、これで7個揃ったってことよね? これを埋めればいいのかな?」


骨を埋めに来たのに、既に骨が埋まっていた。

これが仁のものであれば、仁には不可能だ。


死神さんに聞いても、”妾が知るか”と言うだけで、理由はわからない。

洋子が持ってきたものを埋めれば、七つ全部が揃うと言う。

洋子は、なぜ先に6個埋まっていたのか疑問に思いつつも、元から埋まっていた6個と、洋子が持ってきた1個を一緒に埋める。


「でも、これで7個揃った。集め終わった感があると、ほんと、ドラゴンボールみたい」


「神龍出たりして。

 ”(いで)神龍(シェンロン)”ってか」


いきなり辺りが暗くなる。


「ええ?」


そして出た。

巨大な龍、キリンビールの麒麟(きりん)みたいなやつではなく、ティラノサウルスとかゴジラとかそっち系のやつだった。


身長はビルの何階分か。


何が起こったのかわからず、3人はぽかんと見上げて驚いていた。

半透明というか、あまり、現実感のないものだった。


『願いを言えと申しておるぞ』


「え?」、「誰?」

玲子と杉は辺りを見回す。


洋子は、2人にも聞こえたことを理解する。


「あの人の死神さん。怖がらなくても大丈夫。

 報酬はあの人が前払いしてあるから」


『死神ではないと言うて居る』


「死神……じゃないの?」


『そんなことより願いを言え』


洋子の願いは決めてある。

願いと言うよりは、夫への回答だ。


「私、子供が欲しい。あの人の子供が産まれて、子供が育ったら死んでも良い。

 そうでないなら、せめて70歳くらいまでは死なないで」


『わかったと言っておる』


「私は、金持ちの許婚が欲しい」

杉が言う。


「え? 願いは1つじゃないの?」

玲子がボソッと漏らす。


『できるかわからんが、試してみると言うておる』


「「ええ?」」

「やった。得したよ」


「許嫁? 少女マンガみたい」

「いいでしょ。願いなんだから、なんでも」


「玲子は?」


「洋子の願いを聞いてくれるだけでしょ」


『いいから申してみい』


「ええ? ほんとに聞いてくれるの?」


「善処すると言うておるが、善処とはどういう意味かの?」

通訳は意味が解らないようだが、神龍は願いを叶えるつもりではあるようだ。


「それじゃ、ストーカーのいない世界!」


「ええ?」

「夢無さすぎ」

「まあ切実な問題よね」


『それは無理そうだから、お前にストーカーが付かない世界を探してみると申しておる』


「ええ?できるの?」


「じゃあ、私に許婚は可能ってこと?」


『そのまま伝言するぞ

 ”願いは聞いた。努力はする。

 その代わりに、洋子さんを頼む。じゃあ、また”』


「また?」


「ええ? あれって?」


怪獣のようなものは、頷くと手を振ってスーっと消えた。


「またねー神龍(シェンロン)!」


それとともに、あたりは戻る。


「神様って、ずいぶん怖そうな見た目なんだね」


『何を言うか、凛々しいではないか、このたわけが!』


「死神さんに怒られたよ。

 突っ込みいれる死神か、新しいな!」


「今の栫井(かこい)君?」


確かに、見た目ではわかりにくい。

だが、洋子には、わかった。

洋子は事前に神様がどんな姿で現れるかは聞いていなかったが、不思議と、あれが夫が神になった姿だということはわかった。


「私を1人にしないでって言ったから、神様になったの」


つまり、あれが栫井(かこい)が神になった姿なのだ。


「願い事、叶えられるなら、栫井(かこい)が、長生きすれば良いのに」


「そう思うでしょ。死神さんは、寿命は延ばせない。

 それに、私を一人にしたくないけど、長生きしすぎて、私が先に死ぬのが嫌なのよ」


「ああ、なるほど。さすが、よくわかってる」

二人は納得する。


栫井(かこい)は、そういうことを真面目に考えそうだ」


「死神さんはまだ居る?」


『妾のことか?』

「ジン君は何処に行ったの?」


『転移せねば、時間を戻せぬではないか』

「え? 転移? どこに行ったの?」


『妾の世界に行ったのじゃ。この世界に戻るとき、好きな時間に戻って来られるのじゃ』


「好きな時間? 時間が戻ったら、どこまで覚えてるの?」


『…………』


「死神さん?」


『お父さんは転移しました』


「「「お、お父さん!」」」

3人は同時に声をあげる。


「もしかして、死神さんが洋子の娘?」


『あなた達の時間も戻ります。

 このときのことは、いつか思い出します。

 それは、あなた達にとって、ずっとずっと先のことになります』


「時間もう戻るの?」


「死神さん?」


『…………』


「もう居なくなっちゃった?」


『…………』


「変だね。時間が戻るって言ってたけど」

「いつ戻るんだろう」


時間が戻って、今日のことをいつか思い出す。

洋子は、そのときが本当に訪れるような気がした。


「不思議な体験だった」


「これ自体がイベントだったのかも。

 願いが叶わなくても、楽しかったし。いいよ」


「一緒に遠出するのもひさしぶりだったし」


「私たち、最後に旅行してからどのくらい経ったか知ってる?」

「そういえば、いつが最後だ?」

「8年ぶりなのよ」


「もう、そんなに経ってたのか」


「これからは、もうちょっと頻繁に遊びに行こう。

 栫井(かこい)君にも、洋子のこと頼まれたし」


栫井(かこい)君には、恩があるからね」


「でも、ほんとにそんなこと有るのかな?」

「許嫁?」

「時間が戻るとしたら?」


「うーん。それはそれで、困ることもあるかもしれない」


「けど、もし時間が戻っても、親友で居ようね」

「そうだね」

3人は誓った。


洋子は、なんだか少し孤独感が薄れた。

このイベントが、3人の友情を深めるためのものだったのかもしれない。


そう思い、足取りも軽く、調子よく進んでいると、周りが霞んできた。


「なんだか、霧が出てきた?」

「これって……」


”時間が戻る”

本当に時間が戻る。それを理解した。


「また会おうね」、「うん」

「ずっと親友だから」


3人は、明るい未来の断片を見た。

それぞれの理想の生活。そこに向かって歩き出す。



おわり

本編中に出てくる、味覚障害のあとに肺炎発症の流れは省かれていますが、本編と同じです。


本編では、7つの骨を洋子が持って行くことになっていますが、この短編では1個のみ持って行くことにして、7個必要になる理由の説明を省いています。

省くためにこうしただけで、本編の方が、より正確な流れになります。


本編では、オーテルが来たのは、もっと後のはずで、このときは来ていないとオーテル自身が否定していますが、「お父さん」と言っているので、おそらくオーテルが来たのだと思います。

ガスパールが送り込んだ竜は1頭のみ、オーテルだけです。


栫井(かこい)君には、恩があるからね”と言っているのは、本編と同じく、高校の通学で玲子の護衛役をやっていたからです。


本当は、夫の死後、富士の樹海に行くと言い出したので心配してついていくわけですが、

全体的に、本編より緩く書いています。


短編ですし、幸せな感じにしたかったからです。


--------


なんと、35~50万文字規模で、半年以内に投稿完了する予定が、4年で350万文字弱まで膨らんでしまいました。

読むのも面倒かと思いますが、書くのも面倒なので、お相子(あいこ)です!(何が?)


相変わらず結局のところ、”おっさんが異世界に終活に行くお話”です。

こんな短く説明できるネタが、こんなに長くなると言う謎を知りたい気持ちでいっぱいになった方は、本編にチャレンジしてみてください。


そんなわけで、今後ともよろしくお願いします。

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