第2話
10月2日
検索から除外しても手を尽くせば読むことが出来るんですね。初めて知った。一番昔に上げていたものが今でもたまに読まれているという……。ちゃんとプロットを書いて一から完結に向かって書きたいな。
朝、私は頬を伝う涙の跡を指先で辿った。
毎夜自分の意思から外れ見てしまう夢。他の人がどうかは分からないけれど、私が見る夢は三種類あった。
何もかもが鮮明に思い出すことが出来る記憶に刻まれた夢。
起きた後感情のコントロールが出来なくなる程一つの感情に囚われるけれど映像が記憶として残らない夢。
夢を見た事実だけが頭の中にあり何を思っていたのか、何を見たのか記憶に残らない夢。
この三種類を周期もバラバラに私は物心ついた頃からずっと見続けていた。
今回は二番目の夢だったらしい。
悲しみが胸の奥底からあふれ出て、涙となって布団を濡らしていく。一人でいることが不安で寂しくて、フラフラと体が揺れるような感覚に苛まれ続ける。明るい場所に居てこの部屋に自分1人だけしかいないことを見続けることが怖くて仕方がなかった。瞼を抑えていた布団を頭からかぶり直し、暗闇の中で再び瞼に布団を擦り付ける。
幸いなことに家族の中で私はいつも誰よりも早く目を覚ます。普段日中から寝ているせいで夜を迎えても上手く寝付けないのだ。だから、こうして泣いていても誰かに見られたことは無い。
深呼吸を繰り返して暫く。吐き出すたびに震えていた息は次第に平常のものへ成り代わり、心が次第に落ち着いていく。感情の奔流も半刻すれば、無理やり笑顔を作れるほど平常に近いものに戻っていた。
「あら、起きたの? 今日はちょっと遅かったわね?」
「そう?」
「朝ご飯の準備手伝ってちょうだいな」
「ん」
涙の跡を洗い流した後、台所に行くと先ほど起きたばかりと分かる姿の母が包丁片手に調理をしていた。鳥の巣のようなボサボサになった髪がこちらの笑いを誘ってくる。それを必死に隠しながら母の指示に従って食器を食卓に並べた。
食事が出来ると、祖父母、父の順番で起きてくる。匂いに釣られてなのか、それとも自然とそうなっているのか分からないが、この順番はいつも変わらない。姉だけは父より早く起きてきたり、一番最後だったりとまちまち。ただ、私が汁物を作った日だけは祖父母よりも早く、食事が出来る前に食卓に座っていた。今日は一番最後。
「おはよう、るる……」
「寝ぼけてる?」
「まだ寝たい……」
「そっか」
戸を開けて入ってきたと思ったら背にのしかかってきた。椅子に座っていなければそのまま前のめりに転んでいたことだろう。
「今日は?」
「お姉ちゃんの大好きなサラダ」
「……」
「だから残しちゃだめだよ?」
姉は野菜が苦手だ。特に生野菜。放っておけば細かく切った野菜も匙を器用に使ってピョイピョイと寄せて野菜抜きで食べてしまう。そんな大の野菜嫌いの姉だけど私が手を加えたものは顔を顰めながらも頑張って食べてくれる。そんな姿が少しだけ愛おしいと同時に、優越感を覚える。だって、町一番の美女である姉のこんな姿を見れるのは、年の近い者では私しかいないのだから。
「ねえ、今日外に行ってもいいかな?」
「え? うーん……」
「昨日は元気だった。今日も元気。ちゃんと二日続けて元気だったから、いいでしょ?」
「少しだけだよ?」
「やった」
仕方がないな、なんて顔をした姉が親指と人差し指で作った隙間をこちらに見せながら許可を出してくれた。姉との会話が終われば匙が食器を叩く音だけが響く静かな食卓になる。温かさなんて目の前で頑張って野菜を口に放り込む姉の姿からしか感じられなかった。
今日の筋トレ日記
腕立て伏せ:30回
腹筋:30回
背筋:30回
米30キロが重く感じてしまった。
今バスクラ吹いたらスタンドプレーできるのだろうか?