誰かを感動させたいと願う詩
新しい世界に触れると、僕は世界の可能性を感じていた。
いつだって、僕の周りには物語があった。
生まれた意味、というものがあるとしたら。
笑顔で僕は答えるだろう。
多くの人を僕の作った小説で感動させたい、と。
感動させる、なんて簡単じゃないことは知っている。
気まぐれで思いついたように目指しているんじゃない。
苦しい時も、悲しい時も、物語が僕を助けてくれた。
けれど僕には、僕を助けてくれた人に恩返しができていない。
このままでいいのだろうか、そう考えると僕は居ても立っても居られなかった。
最初は何一つ分からなかった。
失敗だらけで心が何度も折れそうになった。
素晴らしい才能を持っていると。
成功ばかりの最高な人生を過ごすと。
そう思っていたのはただの妄想だった。
楽しかった物語が、つまらないものに思えてしまった。
陳腐で使い古した物語ばかりに思えた。
辛かった。
手の届くところにあったはずの物語は、何処か僕の見えないところに去っていったようだった。
遠くへ、去ってしまった。
長い間、僕は物語から離れていたある日。
人気の小説を手に取って、僕は久し振りに物語に触れた。
沼に嵌まってしまった僕は、その時に本当の意味で救いを知った。
熱が、伝わったのだ。
脳を直接震わせるような、作者の思いが僕を貫いた。
ハッとした、それ以外に言う言葉は無い。
悲劇的な物語だったにも関わらず、僕は感動して涙を流した。
普通の、ありふれた物語のようであったが、そんなのはどうでもよかった。
下手な世界観よりもよっぽどよかった。
本当に人を感動させたいと願う人間の、文章だと僕は思った。
間違いなく、僕はそこから変わったのだろう。
短い自由時間をどうにか作って、僕はひたすら物語を生み出すことに熱中した。
昔みたいに、つまらないなんて思わなくなった。
目指したい物が明確になったからだろう。
もう二度と、迷ったりはしない。
やっと僕にも気付いたからだ。
夢は叶うか分からないけれど。
喜びを、感動を、僕も誰かに与えたい。
楽ではないけど、楽しいんだ。
理不尽を超えて世界を救うのと、それは同じだ。
流浪の旅のようにおぼつかなくて頼りないようだけど。
零細からのスタートだけど。
浪漫を求めてこそ、人生ってヤツだ。
分かってくれる人は、いるかな?
ヲタクでも恋はできるのか?
ん〜、イケメンだったらオールオッケー!
終わる