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英雄魔法使いの門出

 大騒乱の終結から数日後、未だ復興の途中にあるソルベの門前にぼくとノブおじさんは立っていた。

 

 「バッソ君、大丈夫? 王都はここよりもっと都会で色々な人がいるから気をつけないとだめだよ。」

 

 王都出身のセリエスさんはずっとこの調子で心配してくれている。

 

 何を隠そう、ぼくとノブおじさんは今日、王都へ向けて出発すべくここに来ているのだった。

 

 「大丈夫だよ、ぼくだって商家の息子だからね!」

 「・・・はぁ、まぁ俺もついてるから。」

 

 ノブおじさんのため息は理由を問いただしたいところだけど、とにかく本当に大丈夫だ。

 

 「何だったら町をあげて送り出したいところなんだが、すまんな。」

 「ゴラさん達が来てくれてるだけで十分だって。」

 

 それに前日に領主様の館で無駄に厳粛な壮行会もしてもらっている。

 

 「本部のギルド受付嬢に色目を使われてもついて行っちゃだめですよー。」

 「あはは・・・、うん、気をつけます。」

 

 マキリさんに業務を押し付けてきたというメーネさんからも激励の言葉をもらう。まあこれはあれだ。まだまだソルベの冒険者ギルドに必要とされていると解釈しておこう。

 

 「お、来たんじゃないか?」

 

 ノブおじさんが指す方を見ると、立派な箱馬車がするすると近づいてくるところだった。大きなガタガタ音がしないあたり、さすがは貴族様の高級馬車だ。

 

 「待たせたようじゃのう。」

 「バッソさん! その杖は旅装束にもお似合いですわ!」

 

 扉が開いてデルゲンビスト様とニトさんが降りてくる。あの戦いで師匠からもらったヒノキの杖を失ったぼくは、次の杖を見つけるまでの仮使いとしてニトさんのお古を借り受けていた。

 

 お古とはいえ高そうでしっかりした杖だったから、ぼくは早く次を見つけて返そうとしているのだけど、ニトさんはことあるごとに似合っているといって、これをこのままぼくに使わせようとしているみたいだった。

 

 「今回の顛末を国王陛下にご報告した後は、おそらくさほど日を開けずにバッソ君への叙勲になるじゃろう。」

 

 デルゲンビスト様から改めて言われたことで、なんだか実感が湧いてきた。ぼくはこれから王都へ行って憧れの大英雄アークゼスト様に謁見する。事件の解決に関わった冒険者として報告をするためだ。

 

 さらにはその後、国の要人でもあるデルゲンビスト様を守った殊勲者として勲章を授与されることが内々に決まっているらしい。

 

 「ソルベに戻ってきたときには立派な英雄じゃねぇか。」

 「今回の活躍で鉄ランクへの昇格も決まっているので楽しみにしておいてねー。」

 

 王都で報告して勲章を授与された後は、しばらく冒険者ギルド本部でいくつか依頼を受けて見分を広めるつもりだ。けれどそれほど長居はせずにこのソルベへと帰ってくることに決めていた。

 

 そしてそのタイミングでぼくも駆け出しである石ランクから一般的な冒険者である鉄ランクへと昇格できるようだった。

 

 キューラの起こした騒動は町へと小さくない被害をだしたし、ぼく自身も大変な経験だった。けれどそれを乗り越えたことでひとつ大きく成長できたように感じている。

 

 「ではいこうかの。」

 「バッソさん、こちらですわ。」

 

 デルゲンビスト様に続いて、ニトさんに手を引かれながら馬車へ乗り込んでいく。

 

 「行ってきます! もっと成長して帰ってくるからね!」

 

 もう一度皆に向かって挨拶してから扉を閉めると、ぼくらの乗り込んだ箱馬車が王都へ向かって出発する。

 

 向かう先には朝の太陽が燦々と輝いている。

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