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魔法ギルド

 ぼくにとって冒険者としての初仕事は散々だった。使い魔であるノブおじさんの強さと、戦闘魔法を習得し始めたばかりのぼくでも十分戦えることが確認できた、ということが慰めではあるけれど。

 

 レッドリーフ改めデスルートについては臭いが抜けていたので一応回収しておいたけれど、モッスル達を衛兵詰め所まで連行した後に証拠品として押収されてしまった。

 

 というかあれは珍品として裏で高額になるのは確かだそうだけど、紛うことなき禁制品だとか。あんな危険物取り締まって当然とは思うけどね。

 

 「で?結局今日は魔法ギルドに行くのか?」

 

 横を歩くノブおじさんが聞いてきた。今ぼくとノブおじさんはソルベの通りを歩いている。

 

 「うん。冒険者ギルドで聞いた通り、ミツバはその方が高く買ってくれるかもって話だったからね。」

 

 そう、依頼はぼくらを騙すためのものだったから、ミツバを相場より高く買ってくれるはずだったモッスルは今は牢の中だ。

 

 ミツバとかフタバは一応冒険者ギルドでも買い取ってくれるけれど、当然割安となってしまう。

 

 そこで普通は馴染みの雑貨屋であったり、薬を作る錬金術師に直接売りに行くことになる。

 

 駆け出しのぼくにはそんなコネなんてない。だから冒険者ギルドで買ってもらおうとしたところで、メーネさんから「錬金術師は魔法ギルドにたくさんいますからー。売りに言ったら迷惑かけた引け目で高くしてくれるんじゃ?」というありがたい言葉を頂戴した。

 

 駆け出し冒険者でお金に余裕のないぼくとしては、助言に素直に従うべく今に至るわけだった。

 

 

 

 しばらく歩いて辿り着いた魔法ギルドは石造りの重厚な建物だった。木造でいかにも風通しが良さそうな冒険者ギルドとはなんとも対照的というか・・・。

 

 「おじゃましまーす。」

 

 こちらも重々しく、やけに分厚い木造りのドアを開けて中へ入ると、さほど広くない空間にテーブルとイスが一組置いてあり、普通の町人風服装をしたおばさんが座っていた。

 

 「あら、どうしたの。弟子入り希望者かしら?そちらはお父さん?」

 「ええ!?いや、違くて、ぼくは冒険者で・・・。」

 「・・・はぁ。俺たちは冒険者ですよ。ここでも薬草類の買い取りしてると聞いてきたんですが。」

 

 いくらぼくの格好が見た目普通の布の服と、細めのヒノキの杖とはいえ、父親同伴の弟子入り志願者と間違えられて焦ってしまった。

 

 というかノブおじさん、フォローしてくれるのは助かったけど、小さくため息ついたの聞こえてるからね?

 

 「あら、そうなの。誰かギルド員に知り合いがいるなら直接交渉できるけれど、ギルドとしての買い取りでいいのかしら?」

 

 魔法ギルドとして買い取りだと、冒険者ギルドで売るのとたいして変わらなさそうだ。

 

 そうなると直接交渉、となるけどまさかデルゲンビスト様に薬草取ってきたから買ってくださいとか言うわけにもいかない。

 

 「えと・・・、その・・・・・・、ノルストさんに。」

 「あら、ノルスト君のお友達だったの。・・・これからも仲良くしてあげてね、ほらあの子性格があれだから、訪ねてくる人なんていないのよ。」

 「ええ、性格があれですね、知ってます。」

 

 満面の笑顔で即答するノブおじさんに感じるところがあったのか、受付のおばさんはそれ以上は何も言わずに入り口とは別に二つあった扉の片方、右手の扉を開けて入っていってしまった。

 

 「根に持ってたんだね。」

 「・・・まぁな。」

 

 微妙な空気になってしまったじゃないか。

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