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反撃そして末路

 「なぁっ!?い、生きて・・・!」

 

 モッスルさん、いやモッスルがこれ以上ないくらいに驚いている。

 

 あのデスルートをレッドリーフという架空の草と偽って引き抜かせた時点で、ぼくらが生き残ることはありえないと考えていたのだろう。

 

 実際、それは間違っていない。鉄ランクのセリエスさんと石ランクのぼくだけではどうすることもできずに、あの場で命を落としていた可能性が高い。

 

 しかし現実にはぼくらにノブおじさんがついていた。常に冷静に判断し、手に余るような強敵を単独で引き受けてくれるノブおじさんの存在が、モッスルにとってのあり得ない結果を導くことになった。

 

 「道中の会話もばっちり聞いてたからな、言い逃れはできないと思っとけよ。」

 

 モッスル達五人の後ろの暗闇から染み出すようにノブおじさんが現れて告げた。

 

 いるとわかっているぼくにも出てくるまで位置がわからなかったのだから、武装している人たちもひどく驚いているのは彼らが鈍いのではない、ということだ。

 

 「おいおいおい、モッスルさんよ。聞いてた依頼内容と随分違うんじゃねぇか?どこがヒヨッコ冒険者パーティなんだぁ?」

 「わ、私に言わないでくださいっ!依頼料の倍額を追加で払いますから、この場を・・・!」

 

 モッスルがそう言った途端、最後尾で弓矢を持っていた射手が矢をつがえてノブおじさんの方を狙い、同時に大柄な盾を持った剣士はぼくらの方へと走り出した。

 

 モッスルと話していたマチェット使いと、その横に立つハンドアックス使いはにやつきながら状況を眺めている。

 

 ぶつっん

 「はぁっ?」

 

 小さく、息を吐くように疑問の声を上げた射手の手にある弓は弦が切れ、勢い余った右手から矢を取り落として驚愕した。

 

 暗闇で、地面が草や葉に覆われた森の中であるからか、元々独特の虚をつく動きで実際のスピード以上に速く動くように見えるノブおじさんの身のこなしは、もはや動作を終えてから認識できるというレベルだった。

 

 ごく小さな動作の突きで弦を斬られた射手が驚いたときには、その隣にノブおじさんがロングソードを持った右手をだらりと下げて立っており、そこでようやく両手両足が絶妙な深さで斬られて動かないことに気づいた射手が崩れ落ちていった。

 

 「あぁっ?何された!?」

 

 マチェット使いが声を上げて驚く中、大柄剣士はこっちの目の前まで迫ってきた。

 

 「やぁっ!」

 「ぬぅ!」

 がいぃぃん

 

 ぼくの所へあと二歩というところで、隣から飛び出したセリエスさんが大柄剣士の木盾にレザーシールドを構えてぶち当たっていった。

 

 木と皮の盾の激突とは思えない音をたてて、両者その場に踏みとどまった。相手の方がはるかに大柄だけど拮抗するのは、セリエスさんの方が体内魔力の使い方がうまいということだろう。

 

 いや、拮抗じゃないようだ。セリエスさんは盾をぶつけたあと間髪入れずに分厚いロングソードを振りかぶっている。

 

 「ぃぃぃいやぁっ!!」

 ごっ!・・・どがっ

 「ぅぐう・・・・・・。」

 

 立て直せずにセリエスさん渾身の一撃を盾で受けた大柄剣士は、吹き飛んだ先で木の幹に激突して気を失ったようだ。

 

 そしてその間にぼくの方では、“雷”“収束”“飛ぶ”という回路が準備できていた。

 

 「“雷よ貫いて”」

 ばぢっ

 

 乾いた音と共に、閃光が宙を走り、ハンドアックス使いを後ろから通り抜けていった。マチェット使いとまとめて当てるつもりだったのに、勘が良いのかそちらには飛びのいて避けられてしまった。

 

 しかし、直撃したハンドアックス使いの方は、声も上げずにひざをつき、そのまま地面に倒れこんでいった。

 

 「護衛はあんたで最後だな。」

 

 挑発めいたことを言いながら、ロングソードを振り上げたノブおじさんがマチェット使いの横に立っていた。

 

 しかしマチェット使いの方も察知していたようで、振り下ろされる細身のロングソードを叩き折ろうとするかのように、マチェットを横なぎに、自身のやや上方へと振り払った。

 

 「反応はいいなぁ、それだけだが。」

 

 ノブおじさんは振り上げていたロングソードを体側へ下ろしながら、打ち合うことなくマチェット使いの真横へと踏み込んだ。

 

 「んぁ?」

 

 マチェット使いが目を剥いて驚いているようだ。おそらく自分がマチェットを振った瞬間に目の前のノブおじさんが消えたように見えたのではないだろうか。

 

 ごっ

 

 ノブおじさんが下ろしたロングソードを振り上げると、刀身の側面であごを強打されたマチェット使いは呻き声を漏らしながら、座り込むように気絶してしまった。

 

 始めに斬られていた射手も痛みのせいかいつの間にか気を失っているようで、あとは座り込んでがたがた震えるモッスルのみとなった。

 

 「わ、私を、私をどうするおつもりでっ?」

 「え?当然ソルベの衛兵に突き出すよ。」

 

 ぼくが答えるとモッスルはがっくりとうなだれておとなしくなった。

 

 どこかほっとしているようにも見えるのは、もしかしてこの場で殺されるとでも思っていたのだろうか。悪いことをたくらむ人は発想が怖いなぁ。

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