昭和40~50年ころ、、 映画(洋画)は私のすべてだった、 田舎少年の映画狂の日々 思い出はなつかしすぎて、 小夜物語 第69話
、
昭和40年~50年前後です。
1965年~1975年前後ころです。
それって今から、、50年前ですか?
そうなんです
そんな昔に私は「映画少年」?(死語ですか?)だったのです。
基本見るのは、洋画だけです
異国へのあこがれ?
まだ見ぬ西洋人
金髪碧眼の美女が恋を語る
これにあこがれたのです
何しろトンデモナイ田舎ですよ。
昭和40年の田舎を想像できますか?
何も文化のかけらもない
まして西洋の香りなんて
洋画しかないんですよ、
だから猛烈に洋画にひかれたんです。
洋画の世界はまさに田舎少年にとっては異世界ファンタジーワールドそのものだったんです、。あの頃、、
すごいいなかに住んでたのですが近在のありがたいことに、。
街には洋画専門館が一軒だけあったんですね。
そこまで自宅から約5キロです。
日曜日になると、朝7時ころに
周り中が雑木林だらけの山里にあった我が家から自転車で出かけます。
そして野道やあぜ道を走り抜けて、、やがて県道に出て、、
県道って言ったって当時は未舗装ですよ。
そこをガタゴト自転車で突っ走ってゆくとおよそ1時間ほどで街にたどり着くのです。
映画館はひっそりと
街裏の路地の奥にありました
その古びた洋画館では2週間ごとに洋画が懸け変わるんです。
二本立てです、そして上映作品は新旧取り混ぜです。
最新作なんて東京でやってからこの町に来るのは半年後以降です。
しかも、、B級作品だけです...すごいヒット作なんて永久にこの小さな町の洋画館には来ないのです。
さて、、そんな
この洋画館上映作品とは。
たとえば
こんな感じです、新旧取り混ぜですね。
ブルーマックス 1966 ジョンギラーミン監督
南太平洋 1959 ジョシュアローガン監督
この2本で2週間上映。
スーザンの恋 1962年 デルマーデイビス監督
十戒 1956年 セシルビーデミル監督
この2本でまた2週間上映
つまり、
ひと月に4本上映ですね
まあこんな感じです。新聞に、、せんか紙の上映予告チラシが入るんですよ。
それを見ては見に行ったものでした
その映画館も時代の波に勝てず平成5年に閉館したそうです…
この昭和の映画館の思い出についてより詳しくは、こちらをどうぞ、
https://ncode.syosetu.com/n9257ci/
さて話題は変わります。
そのころテレビでは洋画劇場が花盛りでした。
各局ともいい作品を放映していたものでした。
その先鋒がテレビ朝日の「日曜洋画劇場」です。
あの淀川長治氏の名解説付きで私の欠かさず見たものでした。
6チャンネルには「月曜ロードショー」というのがありました。
荻昌弘の解説付きです。
このころ、ここでは007とか
ウエストサイド物語、卒業。男と女。夜の大走査線、なんて名作を続々放映していましたね。
東京12チャンネル(現在のテレビ東京)では
火曜名画劇場
木曜洋画劇場
月曜特別ロードショー
なんて三本も映画枠があったんですよ。
そのほかにも洋画放映枠は各局にありましたね。
ちょっと時代はさかのぼりますが
「テレビ名画座」という番組がこの手の洋画放映枠の嚆矢になりますね
すごいフランス映画とかドイツ映画の戦前・戦中の名作を毎日放映していたのです。
「夜ごとの美女」「自由をわれらに」などなど、
私は当時「映画ノート」なるものをつけていて
これらのテレビで映画を見ると
ノートに題名、監督、出演者。私の評価、あらすじなどを細かく記録しておいたのです。
まあ行ってみれば自作の「映画事典」でしょうか。
確か10冊くらいの大学ノートがあったはずですが
度重なるその後の引っ越し人生で
今そのノートは紛失してありませんが
思えばすべてが懐かしい思い出です。
またまた、話題が変わります。
今度は映画雑誌です。
そのころの2大雑誌は
洋画専門の「スクリーン」と
邦画・洋画取り混ぜの「キネマ旬報」でした、
私は主としてて「スクリーン」派でした。
外国映画にはあこがれに似た強い思いが田舎少年にはあったからです。
そのころ
映画についての情報はこういう雑誌しかなかったんです。
インターネットがあるわけでなし
DVDもないし、
ビデオだってなかったんですよ。
最新映画情報はこうした雑誌しかなかったといってもいいでしょう。
ところで古い映画の名作についてはどうでしょうか?
まず大前提として調べようにも調べられない、
映画事典のようなものがない。
そのころ唯一あったのが今も私の手元にある
ジュルジュサドウールの分厚い「世界映画史」です。
世界映画史 G・サドゥール/訳:丸尾定 みすず書房/1964年
この巻末に時代別の名作映画のリストがあるのです。
でもあらすじとかの解説は在りません。
じゃあこういう映画史に残るような映画の内容をどう調べるのか?
ほとんど手段は在りません。
私が参照していたのが
飯島正の「世界の映画」という
映画年鑑でした。毎年1冊刊行でその年の主だった映画の解説ですね。
これは参考になりました。
彼の本は、ほかにもこんな本があります。
「世界の映画」1951年から1958年まで7巻、
「イタリア映画史」「今日のアメリカ映画」「世界の色彩映画」「アメリカ映画史」「ソヴェト映画史」「今日のフランス映画」「今日のイギリス映画」「現代アメリカ映画作家論」 飯島正、白水社
これらは図書館にあるのでそこでしか見れませんでした。
今のようにネットで映画情報なんてないですから
情報はどこにも、在りませんでしたね、
いまなら結構なレアな1950年代の洋画でも検索すれば詳しい解説が出てきますものね。
昔は
映画史の本でこういう名作がある、という
映画の題名と簡単なあらすじくらいが関の山でした。
ましてその名作の動画など見られるはずもありませんでした。
私にしてもサドウールの映画史の何枚かのスチール写真で
「へえ。こんな1シーンの映画なのか」くらいでした。
動画なんて夢のまた夢でしたね。
いまならネット配信動画で古い名作映画も見られますものね。
DVD買えば見られますし。
レンタルだっていくらでも見られます。
正に夢のような時代ですよ。
さてそんな何もなかった時代に
私の唯一の古い映画情報の頼りが
キネマ旬報から出された
4冊の本(映画事典)でしたね。
当時一冊2800円前後もしたんですが買い求めて手元に置き常に読んだものでした。
今から50年前の2800円、いまなら1万円というところでしょうか?
これはもう暗闇に明かりが差し込んだような衝撃と感動を得たものでした。
実に詳しく出てるんですよ、
「へ―こんな映画があったんだ。」という驚きと喜びです。
その4冊とは
世界映画人名事典 監督偏(外国)
世界映画人名事典 男女優編
ヨーロッパ映画作品全集 1945~1971
アメリカ映画作品全集 1945~1971
この4冊は衝撃でした
この本を私はむさぼるように読み、餓えた知識を得たのです。
とくに後の2冊ですね
これは1945年から1971年までに日本の劇場で公開された映画(洋画)作品すべてを
解説したすぐれものなのです。全作品の解説が乗ってるのです。
日本で劇場公開された全作品のあらすじとか俳優とかけっこう詳しく出てるんです。
全作品です。
これは重宝しました。無名な映画もすべて出ています。
あらすじ解説が結構充実していて見てない映画でもおおよその風景がわかるという優れものでした。
ここで私はほぼこの本を暗記するくらいに読みふけり
1945~1971の洋画についてはほぼすべてを理解したのです。
これらの中にはテレビ洋画劇場で放映されたものもあって
実際に見られたものも多いですが
すごいレアのものはテレビではやりませんから、
私はこの本でこういうレアな映画もあるんだなあ、、と知ったのでした。
後年。。ネットが普及して
ユーチューブなどでこういう
超レアな古い映画(洋画)を見られたときは感無量でしたね、
まあそれにしてもこの2冊の本は
私の映画狂の原典の本であることは間違いがなさそうです。
今でも時々めくってはこのころの映画の思い出にふけるのです。
さてついでにもう二つ私に衝撃を与えた映画の本を紹介します。
まず1冊目は
荻昌弘の「映画百年史」です
これは写真で見る映画史でしてスティール写真だらけです
うれしかったですね。当時ネット動画なんてあるはずもなくこういう映画のスティール写真でも貴重だったんですよ。
そして次は、これこそ、映画をひっくり返してしまった名著
ある意味危険な爆弾的な名著です。
この本でレアでカルトなそしてシュールな映画のかずかずに開眼させられました。
それは
アドキルー著
「映画とシュルレアリスム」です。
この本は今でも最高に面白い映画の本だと思います。
ああそれにしても
時代はなんて早く過ぎ去ってしまったのでしょうか?
あの頃
まさかこんな時代が来るなんて
想像もできませんでしたよ。
ユーチューブ
これは脅威でしょう?
こんな動画サイトができるなんて
もう。ビックリですよね?
思えば遠くに来たもんだ
映画雑誌しか映画情報がなかったあの時代
今ネットでどんな古い映画も見られるなんて
メリエスも
DWグリフィスも
メトロポリスも
チャップリンも
古ーい無声映画も
お手軽にネットでみられるなんて
ああそういう意味では長生きしてよかったのでしょうね
あの頃あれほど洋画に夢中になってむさぼるようになってみた思い出、
でもその後私は東京の大学へ進学してこの田舎街を離れて
大学時代はほかにやることもあるので、やや洋画熱も冷めてしまったのでした。
でも池袋文芸坐とか
飯田橋佳作座とか
そういういわゆる名画座系の
映画館にしばしば通った思い出は在りますね。
ああそうそう
それから当時、新橋にあった
「フィルムセンター」にも通いました。今ほかに、移動してしまったようですよね。
ここで私は「春の調べ」という映画を見たことを覚えています。
ヘディ・キースラー主演の性の目覚め?ものでした。
さて
大学卒業後は私は食うために働き続けて
映画なんて熱はすっかり冷めてしまいましたがね
引っ込しも14回しましたし、、
まあ生きるのに必死でしたから
映画はたまに「テレビの洋画劇場」で見るくらいでした
それ以上でもそれ以下でもありませんでした。
映画の本を読むことも絶えましたね。
さっきのあの映画関係の本が良く残っていたものと感心するばかりですよ、
おそらく段ボール箱に詰めっぱなしで
14回の引っ越しで開けることもなく運ばれたのでしょうね。
そうしてやっと今
定年退職していくらか心の余裕ができると、、
昔の夢が目覚めるというか
映画少年だったころのことが無性に懐かしいんですよ。
開かずの段ボール箱を開けてみたり、、
まあ
でも。語り出せば思い出は尽きませんが
キリがありませんので本日は
ここらで終わりにしましょうか。