《ヘルプ》を読みました。
説明回です。
兎にぼこぼこにされた後、俺は《メニュー》に表示されている《ヘルプ》について、読み返すことにした。
幸い、俺は、他の眷属からもスタートの時点で大きなハンデを抱え、しかも、最初のダンジョンで、まだ二の足を踏んでいる状態だ。焦る必要なんてない。焦ったところで、状況は悪くなる一方だろう。
まぁ、要するに時間をかけても問題なんて今更だということで、開き直って情報を集めることに全力を出そうと思ったわけだ。
というわけで、《ヘルプ》で分かったことは、四つ。
一つ目は、《ヘルプ》についてだ。どうやらこの《ヘルプ》機能、俺の魂の格によって表示されることが変わるらしい。これは、最初に《メニュー》から、《ヘルプ》を押したときに、忠告が出て、知らされたものだ。
これは、格が上がることで、情報にアクセスできる権限も比例し上がるらしい。こちらは、最高権限は一の、全十段階あり、今俺は、最低の権限の十らしい。どの段階で、権限が増えるのかは、よく分からない。これは要調査か?
二つ目、俺たち眷属見習いの体は、死ぬと自分の拠点のある階の像の前で復活するということ。
俺たちの体は魂の格を反映させる器である。これは、最初《龍》のジジィが言っていたことだが、どうやら俺たちの本体が魂であるため、体が死んでも、その体を再構築することで、魂だけ入れれば元通りになるらしい。その体が自分の《主神》を模した像の前に作成されるため、そこで復活したということらしい。
三つ目は、俺の体内の魔力についてだ。体内の魔力は全身を血液のように循環しており、これがないと全身に異常が生じるのだ。体内魔力を半分ほど消費することで“軽い倦怠感”が襲うらしい。
全身が動かなくなるのが、軽いなんて言ってるなら無理があると思ったら続きがあった。
七割消費で“体に痺れが”、九割消費で“体が動きにくくなり”、全部消費すると意識を、失うこともあるらしい。
これはおかしい。なぜなら、【闇魔法】の《ダーク》の消費魔力は、2だ。俺の魔力でも、半分の消費もないはずだ。体が動かないほどになるわけがない。
これの答えは、四つ目だ。
四つ目は、魔法についてだ。権能の【魔法】は詠唱を行い、世界の理を変えるものである。
例えば、俺が唱えた《ダーク》の詠唱は『我が権能を用いて、世界の理を改変する。闇よ、すべてを包み込め。』だ。魔法は世界の理を変えるものだが、どんなこともできるわけではない。世界側としては、その理を簡単には覆されたくはないわけで…。ならばいっそ、魔法も世界の理の一部にして制御してしまえばいいのでは?
そして生まれたのが、この世界の【魔法】である。
詠唱を用いることでこの世界の【魔法】のシステムにアクセスし、誰でも求める事象を起こさせられる。
ただこれには、欠点もとい世界側が条件を設定していた。
それは、《魔法言語》と呼ばれる特殊な言語を使うことで魔力の効率を上げることができたり、起こる事象を具体的にイメージしたり、自分の体内魔力の流れを意識したりなどすることで、よりその効率を上げれるらしい。
表示された消費魔力とはつまり、この最大効率時のものであり、ただ唱えただけの俺の詠唱では全魔力を使うことになったというわけだ。
遅くなりましたが、更新は続けます。
誤字脱字、感想などお待ちしております。
7話に加筆しました。物語には、影響はありませんがよろしくお願いします。