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立浜高校探偵部  作者: 中上炎
探偵部の冒険
9/93

5.恐喝王②

 幼馴染み3人組が出て行った後の部室で、僕はモモちゃんと一緒になって頭を抱えていた。密室。よくミステリー小説とかで出てくるトリックだ。で、実際には何処かに抜け道があったりして、解決できるやつ。


 でも、そんなものは調べれば分かるはずなんだ。些細なことだ。


 問題はそこじゃ無い。


 「えっと……お姉、今なんて言った?」


 ちょうどモモちゃんが僕の本音を代弁してくれた。それを聞いたちと先輩はどうでも良さそうに頭を振ると、速やかにノートを手に取って出発の準備を整えている。


 「後輩。この件は君に任せる」

 「……っ!? 先輩! それは……謎が解けたっていうことですか!?」


 驚愕を隠せない僕を意に介さず、ちと先輩は平然としていた。あのノート、現在も使われている活動日誌だ。……ってことは、森亜の謎に挑むつもりなのかも知れないな。


 「いいや。でも、ある程度の内容は理解できた」

 「……お姉?」

 「だからこそ、後輩の試験にはちょうど良いと思ってな? なんだかやる気に満ち溢れているようだし」

 「…………あっ……」


 モモちゃんが間抜けな声を上げるのと、ちと先輩がインバネスコートを着込んで部室を出ていてしまうのは同時だった。


 残されたのは僕とモモちゃんの2人だけ。


 僕が悩んでいると、いきなりモモちゃんが頭を下げた。


 「ごめん。私、リョウっちをフォローしようと思ってお姉に言ったんだけど……失敗したかも」

 「……? もしかしてやる気に満ち溢れてるってこと? それなら別に……」

 「ううん。ブラジャーよりパンティの方が興奮するって」

 「ふおおおっ!? な、何を言ってくれてるの!?」


 まさかの展開に吹き出した僕は思わずモモちゃんに詰め寄っていた。彼女は……僕と視線を合わせようともしなかった。


 「だって……ちょっとでもリョウっちの得点を稼いであげよーって……」

 「良くないよ!? っていうか、僕の先輩からの評価が……!?」

 「……? お姉、嬉しそうだったよ? ほら、胸ないし」

 「マジで!? なら許す!」

 「許すの!? 許されたの!? マジかー!」


 今度はモモちゃんが吹き出した。僕の高速認可に驚いたのだ。……実際、自分でもそう思う。一瞬で気持ちが180度変わったし。


 「他にも幽霊騒動の雪辱を晴らしたいって。そうしたらお姉も……喜んでた」

 「……そう言われちゃ、やるしかないね」


 気がつけば僕は笑っていた。今回の事件……ちょっと面倒くさそうではあるけど、反面幽霊騒動ほどの複雑さは無いと思えるのだ。


 「モモちゃん」

 「ん? なぁに?」

 「中学校であの3人組を調べて欲しいんだけど」

 「ほえ? それは構わないけど……なんで中学? 高校じゃ駄目なの?」

 「うん。同じクラスの3人全員に心当たりが無いんだもの。犯人は高校入学以降の相手とは思えないよ。ということは、中学校から因縁がある相手じゃないかと思って」


 なるほど、と言わんばかりにモモちゃんが頷く。もちろん高校入学以降の線も疑ってないわけじゃ無い。でも、それはこれから僕が調べれば良いだけだ。


 「オッケーイ! 中学は私に任せるし!」


 かくして、僕の初めての事件調査は始まったのだった。




 大分涼しくなってきた時間帯、僕は真っ先に立浜高校のグラウンドに向かっていた。別棟体育館の方。理由は簡単で、僕はここに来る途中にクロヨシのクラスに立ち寄ったのである。そこで彼は野球部だということを掴んでいたのだ。


 「佐伯! ちょっと良いか!?」

 「おうおう! 俺の名前を呼ぶのは誰だぁ! ……ってリョウじゃん。どったの?」


 運良くグラウンドの隅で暇そうに素振りをしていた佐伯を発見できていた。中々に幸先が良いな。


 「黒田君のことなんだけど、ちょっと良い?」

 「黒田ってクロヨシか? 別に良いけど、あいつ今日は休みだぞ? なんでも悩みがあるとか……。ま! 明日は来るらしいし、深刻でも無いだろ! ……ん? 探偵部?」


 途端、佐伯の目が輝いた。こいつ……変なところで鋭いな。まるでゴシップ記者だよ。迂闊なこと言えないぞ。


 「まぁまぁ。で、クロヨシってどんな人?」

 「ふふーん。教えてやっても良いけど……後で俺にも真相を教えてくれるか?」


 僕は頷いた。言ってはいない。頷いたのだ。ちなみに、全く関係ないがブルガリアでは頷きは否定を表す。関係ないけど。


 「あぁ。あいつは中々優秀なやつだよ。ポジションはサードだな。でも肩も良いし、外野も行けるんじゃないか? 確か……バレー部に秋風とかいう綺麗な幼馴染みがいたはずだ。……チクショウ、羨ましいぜ!」

 「うんうん。それで? 他には? 誰か彼を恨んでいるような相手とかはいない?」

 「まさか! でも、そうだな……。今あいつが悩んでるのは、多分恋の悩みだぜ!」

 「……え?」


 初耳だ。……でも、考えてみれば恋の悩みを初対面の人には相談しないだろう。しかも、クロヨシはあまりいじめを苦にしていなかった。あり得る話だ。


 「なんでも、幼馴染みの秋風との距離が縮められないんだとよ。俺もこっそり相談を受けて、一緒にアクセサリーやら香水やらのプレゼントを吟味したりしたもんだ!」


 佐伯は野球部という硬派な部活の割に、結構性格はチャラいところがあるのだ。お陰で本人は2枚目だと思っているのだが、周囲からは3枚目の残念な子扱い。なるほど。


 「末期的だね」

 「うるせえよ!? っていうか、お前も一緒に自棄カラオケしたよな!?」

 「僕はその後ちと先輩から声かけて貰えたし!」


 僕は思わずむっとしていた。勘違いしないで頂きたい。僕はあの後先輩に自宅にお呼ばれして…………駄目じゃん。されてないよ。よく考えたらモモちゃんじゃん。


 「ぐぬぬぬぬ。チクショウ、世の中間違ってるぜ……俺みたいなイケメンが……」

 「あ、ありがとね。じゃ、また明日」

 「聞けよ!? せめて聞いてよ!? 虚しいじゃんよ!?」

 「あー! 佐伯がサボってる!!!」


 僕は大声で遠くにいる野球部の先輩を召還していた。同時に佐伯の顔が真っ青になって後ろを振り向く。こいつと来たら、話に夢中になるあまり、バットを放り投げていたのだ。


 「ば、馬鹿!? そんなこと言われたら!? ……ち、違うんです先輩! これはその、こいつが…………っていねえし!? おーい! リョウ! 助け……」


 次はバレー部だな。




 「マイ先輩!」

 「おー! 後輩君! どうしたの? 女子バレー部の揺れるおっぱいでも見に来たの?」

 「ち、ちがいますよ!? 人聞きの悪いこと言わないで下さいっ!」


 周囲の女子部員達がギョッとする中、マイ先輩は相変わらずだった。既に引退しているだけはあって長いポニーテールを元気に揺らして体育館から外に出ると、あっさりと話を聞かせてくれていた。


 「秋風? ……あぁ、葉月ちゃんね。彼女がどうしたの? ……っていうか、後輩君、浮気?」

 「だから違いますって!? ……えっとですね。あまり詳しいことは言えないんですけど、ちょっと彼女の事を知りたいんですよ」


 僕がそう言うとマイ先輩はあっさりと教えてくれた。多分、ちと先輩のお使いだと思っているのだろう。


 「葉月ちゃんは良い子だよ? ちょっとクールで取っつきづらいところがあるけど……仲良くなってみると、とっても頭の良い子でね。ただ、それでちょっと中学時代はあったみたいだけど」

 「……? それはどういうことですか?」

 「ううん。大したことじゃ無いの。ただ、彼女……ええっと、なんていったかな……。えらく格好良い幼馴染みがいるのよ……。名前……名前」

 「大町勇武?」


 僕がそう言うとマイ先輩はそれだっ、と言わんばかりにずびしッとポーズを決めた。この人、こう言う仕草が驚くほど似合うんだよな。


 「そうそう。その大町君と親しいってだけで、仲間外れにされたことがあるらしいわ……」

 「……なるほど」

 「で、その時に野球部の子に助けられて、以後は尚更3人でつるんでいることが多いみたいね。今日も律儀にサボるって連絡貰ってるし……」


 ……3人が仲良いわけだ。しかし、あまり有益な情報は手に入らなかったな。僕の聞き方が悪いんだろうか。


 「……彼女恨んでいるような人に心当たりってあります?」


 僕がそう言うとマイ先輩は豪快に笑って否定した。


 「ないない! 少なくとも私のバレー部じゃそんなことは無いわ! ……あぁ、でもぼやいてたわね。物が無くなるって」

 「……物が?」

 「えぇ。化粧品ポーチらしいんだけど、本人はあっけらかんとしていたから、私てっきり忘れ物が多いのかと思ってたの……。……今思うと、結構深刻に悩んでたのかな。もしかしたら、まだ中学時代のが続いてるのかも」


 またいじめ問題だ……。どうなってるんだ。


 その後も暫く聞いてみたのだが、マイ先輩はあまり知らないようだった。やむを得ないだろう。直接クロヨシと接点があるわけじゃないし。


 でも、秋風もいじめられていたっていうのは収穫かも。理由は大町との親密さ。なら、同じ理由でクロヨシにいじめが向いている可能性もゼロじゃ無い……。と思う。


 まだ判断を下すのは早計か。……アテが少なくなってきたな。


 ……でも、僕にはまだ本命が残っている。それを後回しにしていたのは、下手に聞いても教えて貰えないのが目に見えていたから。だから、少なくとも煙に巻かれない程度の知識は必要だったのだ。


 そう、我らが探偵部の天敵、クマちゃん先生である。




 「……来たな。来ると思ってたよ、春茅」

 「クマちゃん先生、差し支えない範囲で教えて欲しいですけど」


 僕がマイ先輩経由でコンタクトを取ると、先生はあっさりと生徒指導室で時間を作ってくれていた。


 初めて入ったそこは殆ど書類の入ってない本棚が聳え立っていて、どことなく威圧感を感じさせるところだ。しかし、それ以外は普通の教室をそのまま小さく切り取ったような部屋である。あるいは……なんとか準備室とか。


 クマちゃん先生は椅子に座った僕に対しインスタントコーヒーを淹れてくれた。先生、気遣いはありがたいのだけれど……多分高校生は苦いコーヒーを喜ばないと思うんです。そんなんだから婚期が……


 「……お前、今失礼なこと考えてないか?」

 「まさか! 気のせいですよ」

 「……何故だろう。この対応、デジャヴュを感じる……。こいつ、ちび千歳か……」


 光栄である。


 でも本題はそこじゃ無い。それに時間も結構経ってしまった。モモちゃんが戻ってくる前には結果を纏めないといけないだろうし。


 「先生……。それでいじめの件ですが……」

 「分かっている。秋風と黒田の件だな? ……ッ!?」


 同時に僕の瞳がきゅうっと絞られた。妙な迫力が出ていたのか、思わずクマちゃん先生もハッとなっている。でも、それは一瞬のことだった。


 先生はすぐに自分の失言に気づいたのだ。


 「ゴホン! 悪いな春茅。我々教師も生徒のプライバシーを守る義務があるのだ」

 「……ですから、差し支えない範囲で大丈夫です」

 「……なら、聞かないで貰えると助かるんだが?」

 「それなら、最初からここには来ません」


 同時にクマちゃん先生も戦闘態勢に入ったようだ。キリリと細められた眼が正面から僕の瞳を貫き、僕にこれ以上の接近を許さない。


 可愛い生徒を守らなくてはいけない。さりとて別の生徒を邪険に出来ない。そんなジレンマに陥っていんだろう。


 ……やっぱり、良い先生じゃないか。


 あえて視線を外して見る。壁には学校の鍵がかけられていた。多分、朝早く来て学校の鍵を開けるのも先生の仕事なんだろう。そして、遅くに鍵をかけるのも。……教師って大変な仕事なんだな。


 他には……窓の向こうでは園芸部の花壇が見える。本棚の書類の背表紙は手書きで”指導日報”と書かれていた。書類の分厚さは相当の物であり、どうやらたった一度の相談だけでもかなりの負担になるようだ。


 「別に本人のプライベートを教えて欲しいんじゃ無いです。ただ、先生の知ってる怪しい人間を……」

 「駄目だ。相談内容はいじめとの関係の有無にかかわらず言えないし、言うつもりもない」

 「……分かりました。ではこう訊きましょう。先生はこの事件をどう見ていますか?」


 僕が言うのと同時に先生は眉をしかめて硬直した。内心で情報の取捨選択をしているのだろう。先生だっていじめを解決したいはずなのだ。でも多忙で出来ることは少ない。だからこその探偵部なのである。


 「…………そう来たか」

 「…………えぇ、まぁ」


 再びの沈黙。僕も何も言わない。ただ、待つだけだ。


 やがて一通りの算段を終えたクマちゃん先生が口を開いた。


 「……園芸部に聞いてみると良い」

 「え? ……先生、どうしてそこで園芸部が?」


 虚を突かれた僕は、思わず本音を漏らしていた。それを悟ったクマちゃん先生はしてやったりと言わんばかりに獰猛に口角をつり上げる。


 「ほら、急げ。そろそろ園芸部の活動が終わってしまうぞ?」


 一瞬迷ってしまう。その間に先生が次の行動に移り、僕はあっさりと部屋を追い出されていた。




 園芸部。どうやらその部活に部室は無いようだ。去年は部の規定を満たしていたらしいのだが、現在では現役部員数はたったの3人。そのため同好会扱いなのである。


 校舎回りの花壇でその貴重な1人、部長の安村令人(やすむられいと)先輩に会うことが出来ていた。


 ……のだが、それは決して順調では無い。


 「……何のようだ、1年」

 「先輩、その、黒田良輝君のいじめの件で……」

 「チッ! 何だよ。さっさと訊けよ! で、帰れ」


 恐ろしく機嫌が悪いようだ。僕は敵意丸出しの姿勢に思わず萎縮してしまっていた。


 「何か知ってることはありませんか?」

 「無い。帰れ」

 「……いや、そんなはずは……」

 「帰れ。俺の言葉疑うようなら、何を言っても無駄だろうが! 馬鹿かお前!」


 空気を引き裂く、ガツンと怒鳴るような声に僕は思わず後ずさりしてしまっていた。だけれど、最後のところで踏みとどまる。


 僕は……この謎を解かなくてはいけないのだ。他ならぬ、ちと先輩の為に。


 「……でも先生は安村先輩に訊けと言ってました」

 「あん!? んなわけないだろう! そもそも俺は熊公には会ってねえし!」


 引っかかった! 相手を刺激しない範囲で唇がつり上がっていく。


 「僕、熊田先生とは言ってませんけど?」


 返った言葉は舌打ちだった。見る見るうちに安村先輩の顔は赤く染まっていく。こめかみの血管がひくつき、傍目からでも激怒しているのが分かる。


 上等だ。どっちみち、僕には前に行くしか無いのだから。


 人を殺しそうな視線にたっぷりと晒されて、それでも僕は逃げず、負けずに見返し続ける。


 「チッ! そこだ。そこの第4花壇だ!」

 「……それがなにか?」

 「あぁもう! 苛つくやつだな! 千歳の後輩のくせに鈍い! 良いか! そこの第4花壇が黒田の教室の真ん前なんだよ! で、あそこは10月になったら秋植え球根を植えるつもりで今は黒土だけだ! 分かるかこの愚図! 俺は毎朝花壇を見回ってるから分かる! ここ暫くあそこの花壇が踏み荒された形跡は無い!」

 「……それは」

 「窓から誰かが教室に入った形跡は無いって事だ! 昼の間に窓の鍵を開けておいて入るのは不可能だ! 俺が綺麗に整えた花壇を踏み荒らせばすぐに分かる! で、熊公の話じゃ学校の扉も間違いなく鍵をかけたそうだ! 一旦鍵をかけてしまえば警報装置が作動するから、外からは入れないし中からも出られねえ!」


 そこまで言うと、安村先輩は苛立ちを隠そうともせずに立ち去っていった。残された僕は念のために花壇を確認してみるが、確かに異常は無い。


 ……時間だな。一旦部室に戻ろう。




 「リョウっち! お疲れー! どうだった!?」

 「モモちゃん……そこそこかな」


 部室で僕を出迎えたモモちゃんは甲斐甲斐しくも紅茶を入れてくれていたようだ。微妙に香りが違うあたり、ちと先輩では無く彼女の好みみたいだ。


 「それでね! 私の方はあんまり分かんなかったよ! でも、一つだけ!」


 疲れて椅子に座り込んだ僕に対し、モモちゃんは立ち上がると胸を張って教えてくれたのだ。


 「うんとね。中学の先生に聞いたんだけど、秋風さんだけじゃなくて、大町君もいじめられてたっぽいよ? で、黒田君が二人を庇ってたんだって! 彼、結構良い男じゃない! ……でも、そのいじめっ子は別の高校に進学したっぽい」

 「なるほどね。いじめは中学校時代からも存在したのか……」

 「そうみたい。リョウっちの方はどう? お花の謎は解けた?」

 「いや、それが全然。あの教室に入り込む隙はないってことだけ。……それ以外だと、クロヨシも秋風もいじめられてたってことかな? 手口が同じっぽいから、同一犯かも。そうなると……」

 「そうなると、順調のようだな」


 ガラリと扉が開き、ちと先輩が現れたのだ。僕は疲れも忘れて立ち上がり、必死で弁明しそうになっていた。


 ……そう、ちと先輩の笑顔を見るまでは。


 先輩は良くやったと言わんばかりに僕達を褒めてくれたのだ!


 「後輩、ヒントをやろう。これだ。例の黒田の机に置かれていたという花だよ」


 ……こんもりとした赤い花と、紫色のうつむき気味な花だ。両方とも見たことない。少しだけ汚れているのは、ゴミ捨て場から拾ってきたからだろうか。妙な匂いがするな


 「あ、これはゼラニウムだね。こっちは……オキナグサだっけ?」


 そんな僕とは対照的に、モモちゃんは見た目とは逆にあっさりと教養を見せつけて花の種類を看破していた。


 「あの先輩。……その閉じた教室の謎が……」

 「そうだよ、お姉。ヒントちょーだい?」

 「……? だが、さっき後輩が自分で答えを言っていたじゃないか?」


 ……っ!?


 その言葉と同時に全身を閃きが走った。そういうことだったのか!


 「えっ!? ど、どういうこと!?」

 「先輩! 僕、分かりました!」


 驚愕した顔のモモちゃんを尻目に、僕は全てを理解していた。


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