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二つのライト

作者: 神名代洸

夜車を走らせると二つのライトが光る。

当たり前だが暗闇を照らしてくれる。

でも、今日ほどこのライトが怖いと思ったほどはない。


今日は彼女とのデート。

今は午後7時。

ドライブと称して山に来ていた。

今夜は星が見られるかもと彼女を誘ったのだ。ラッキーなことに満天の星空だ。



「来てよかったね。とーっても綺麗だよ。」

彼女は嬉しそうに夜空を見上げていた。

俺は小さくガッツポーズをした。そして自分も見上げた。彼女の言う通り綺麗な空だった。

30分ほど外に立っていたが、今の時期外は寒いので車内に戻りエアコンの温度を上げた。

そして、たわいない話をして帰ることになった。

今、駐車場には車は2、3台しかない。皆白色の車だった。


車を発進させ、BGMを流しながら坂道を下っていく…。しかし、途中から後ろから車がやってきて今にもぶつかりそうな位詰めてくる。

「あっぶないなぁ〜。」そう言いながら車をわきによせたが、後ろの車も同じようによせてくる。

「何なんだよ。一体。」

俺は仕方がないので車の速度を上げた。

ピッタリとよせてくる後ろの車をミラー越しに睨みつけたが、それでどうこうなる相手ではなかったようだ。接近度が上がった気がする。

曲がり道では危ないのでどうしても減速しなくてはならず、ブレーキをかけるが後続車はそんなのお構い無しだ。

じりじりと寄ってくる。

助手席の彼女は固まったまま一言も喋らない。真っ青な顔をしていた。


「ねぇ、大丈夫?」

「いや、後ろの車がビッタリとくっついて走るから危ないんだ。」

「おかしいよね。夜道は危ないからゆっくり走るはずなのに…まるで私達が事故にでもあって欲しいような感じね。」真っ青な顔をしたまま彼女は喋っていた。

確かに言われてみればそうかもしれない。

夜道はただでさえ危ない坂道。ゆっくり走るのが常識だ。再度ミラー越しに後ろの車内を見てみることにした。すると真っ青な顔をした男性?らしき人が運転しているようだ。

ブレーキをかけてみることにしたが、なんとそのまま車体が後続車にぶつかった。

ガツンと大きな音がし、車体が大きく揺れた。

彼女はもう真っ青で悲鳴すら出ない。

俺は何とか車体を維持しながら少しずつブレーキをかけていった。


と、突然モースピードで赤い車が去っていった。後続車だったようだ。

そこで俺は不可解なことに気づいた。

さっきまでいた駐車場には白い車しかなかった。

じゃあ、一体あの赤い車はどこからやってきたのか…。確かになかったはずだ。


2人で話し合ったがわからなかった。



後日、友人の1人からこんな話を聞いた。

そう昔ではないが、以前走り屋だった男が無謀にもブレーキを踏まずにアクセルのみで山から下るレースをしていたようだ。その時ブレーキをかけてれば事故にはならなかったが、度胸試しのレースだった為曲がり角で曲がりきれずハンドル操作を誤って坂道を転がり落ちたそうだ。その車はその後爆発炎上し、運転手の男もろとも燃えてしまったそうだ。それが丁度俺が運転時体験した場所と同じだった。


「じゃあ、今でもでる…とか?」

「おお、マジでるって話だぜ。ったく、山頂はデートスポットなのになんで途中が心霊スポットなんだって感じだよ。」


じゃあ、あの時ブレーキを踏まずにアクセルのみで山から下る事をしていたら死んでたかもしれない。そう考えただけでブルッとした。あれ以降、彼女とはデートするが山にだけは近づかないようにしている。

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[良い点] 道連れに しようとする 真っ青な   顔の男性 の 雰囲気に 恐怖を そそられました; 「おかしいよね。夜道は危ないからゆっくり走るはずなのに…まるで私達が事故にでもあって 欲しいような…
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