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短編集

朝空を飲む

作者: さゆみ

 道明寺を桜の葉ごと食べた朝、カラスたちは朝空を散歩しながら『おかしいーおかしいー』と鳴くのだ。僕はきのう夜空を見つめながら、眠る間合いを逃してしまった。腹が減った。カラスよ、僕は別におかしくないのだ。


 それから……。それから僕は睡魔に襲われ、予定時刻まで短時間睡眠をとった。すんなり起きられたのは、道明寺を食べたのと朝空を飲んだからだと思っている。きっとそうだ。


 簡単に身支度をして外へ出ると、もう葉ばかりになった桜の木にスズメがとまり『からいな、からいな』とぶつぶつ囀っている。そうだよ、世知辛いよ。


 僕は馴染みの喫茶店に行き指定席に座る。黙って出てくるブレンドを飲みながら新聞や本を読む。そうして体内時計が暮れてゆく時を告げるから僕は店を出る。


 夕空を泳ぐカラスは『さいこう、さいこう』と鳴くのだ。最高なのか、さあ行こう、なのか分からないが、僕は婆さんの待つ家に帰るのだ。若い頃、散々迷惑をかけた婆さんのもとへ帰るのだ。


『うまい、うまい』ムクドリが電線の上から騒ぎ立てた。

 そうだ、僕は婆さんの作った料理をうまいと言って食べるのだ。婆さんが笑ってくれるから。それが僕の償いだ。






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― 新着の感想 ―
[良い点] 不思議な感じでいいですね。鳥の言葉が聴けそうです。朝夕の対称がほっこりします。
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