第十八話 風雷竜リンドブルム
投稿かなり遅くなり申し訳ありません。 しかも今回ちょっと短めです。 スミマセン……
僕の呼びかけに対して発光体から返事が返ってきた。
それと同時に発光体の光が収まり光の中から青色の鱗に金色に輝く角と爪を持つ体長4~5mの竜が姿を現した。
「母の敵?」
『ソウダ!』
一体何の事でしょう? これでも僕は今まで真っ当に生きてきました。 自ら命を殺めた事があるのはオーガ・キングさん位です。
相手は竜種。 幾らなんでも僕に倒せる相手ではないです。 しかも僕のレムス、エンリルが完成したのはつい先日。
つまりはレムスを所持していない時期。
少なくとも僕がレムス無しで遭遇したらケツまくって逃げるしか生き延びる方法が無い相手です。
あ、いや……最上級以上のマジック・スクロールを連続して使えばひょっとしたら勝てるかもしれませんが。
まあ、そもそも僕にそんな相手と戦った記憶は無いです。
あったら周りに自慢してますよ。
僕の目の前に居る竜さんが何処の竜さんで何が目的――目的は母親の敵討ちみたいですが――ともかく直接話しを聞いて見ましょう。
「あなたの母の敵と言われましても……僕が出会ったのは竜は竜さん、あなたが始めですよ? だからあなたが何処のどちらの竜さんが僕は存じ上げません」
『エエイ! 見エ透イタ嘘ヲ吐クナ! 空ヲ飛ビ海二潜ルレムスガ、我ガ母ヲ殺シ、巨大ナ飛翔船デソノ亡骸ヲ持チ去 ッタ。 ソンナ物コノ世二フタツト在ルモノカ!』
「空は飛べますが海には潜れませんよ!」
機密性の問題等、色々あってエンリルは水中潜航出来ません。
『誤魔化スナ! オ前ガ母ノ敵ダ!!』
「だから! 違いますって!!」
『親父殿、そうムキになるな。 落ち着いて話し合え』
「そのセリフはあの竜さんに言って下さい!」
『親父殿は少々頭に血が上っている様だ。 此処は私が話しをつけよう』
『ナンダ? 他ニ誰カ 乗ッテイルノカ? 年増女ノ声ガ聞コエル』
『親父殿、あの竜は我等の敵だ。 滅ぼすぞ』
「いやいや。 それは無理ですって」
『我は決して年増女ではない! 花も恥らう乙女だ! ピッチピチの乙女だ! 永遠の乙女だ!』
「ガラテア、あなたこそ頭に血が上っていますよ……」
レムス・コアだからこの場合血ではなく魔力か?
なんにしてもガラテアのお陰で頭が冷静になれました。
「え~とですねえ、竜さん。 このレムスが完成したのは一昨日前。 しかもこのレムスは大昔の飛翔技術を基に僕が復活させたんです。 だからこのレムスであなたのお母様を殺すことは出来ません。 そもそも技術的な問題でこのエンリルは水の中を潜れませんし」
『ム! 水の中ニ潜レナイダト!』
「そうです。 もし水中に入れば隙間から操縦席に水が入ってきてライダーである僕は溺れてしまいます」
その話を聞いた後、竜さんはしばらく黙って何やら考え込んでいます。
『デハ、ソレヲ証明シテ見セロ』
「証明? どうやって?」
すんごく嫌な予感がします。
『丁度、我ラノ下ニ池ガアル。 ソノ中ニ入ッテミセヨ』
嫌な予感的中! でもこれには断固反対です!
「池なんかに入ったら僕が溺れ死んじゃいますよ!」
『ソノ時ハソノ時。 オ前ガ敵ダトイウコトダ』
「何ですかその嫌な理論! 兎に角それをするのであればちゃんとした安全対策をですね――」
『ツベコベ言ワズニトットト入レ!』
そう言うと竜さんは行き成り自身の尻尾でエンリルを叩き落としてくれました。
何してくれんですか!
そのままエンリルは急速落下。
『いかん! このままでは水面に激突するぞ! 緊急モード! ショック・アブソーバー起動!』
咄嗟に機転を利かせたガラテアがレムスが高高度から落下した時用の為の安全装置を作動してくれます。
このショック・アブソーバーは騎体が空中で制御不能に陥ったら操縦席にレムスのフレームを包む筋肉の役割をする物とわ別に衝撃吸収用のジェム・スライムを急速充填しライダーを包み込んで衝撃からライダーを保護する物です。
もう一つ安全装置――騎体が空中で破壊された場合の安全装置があってこれは座席に取り付けられており、万が一そうなった時にはベルトで座席に固定されたライダーごと一定速度でゆっくりと自由落下する代物です。
……ガタガタガタンッ!!
騎体が水面に激突したのか体が少し揺れましたが体への衝撃はスライムが吸収してくれたので殆どありんませんでした。
ジェム・スライムは充填口から再び騎体の中に収容されます。
ちなみにジェム・スライムが騎体に収容不可能になってしまった場合は水分が無くなった様に縮んで薄い膜状になり、やがて急速に劣化して自然に割れる仕様です。
この工夫は僕の見つけた飛翔騎体の設計図の中に書き込まれていたものをそのまま流用したので衝撃吸収用のジェム・スライムの作り方なんかではさほど苦労しませんでしたよ。
ですが此処からが問題。 案の定隙間から操縦席内に池の水が浸入してきました。
「と、兎に角! 水の中から出なきゃ!」
『親父殿、悪い知らせがある聞きたいか?』
「何ですかいきなり! 時間が無いのに!」
『リピータとワイヤー・アンカーを落とした。 その上、エンリルとフライト・ユニットの接続が切れた。 どうやら落下した衝撃で壊れたようだ』
「げっ! それじゃあ飛び立てないじゃないですか!」
僕は頭をフル回転させて解決策を導き出す。
「ガラテア! エンリルは動きますか!」
「装甲は所々剥がれ落ちたが問題は無い」
「じゃあ、這ってでも良いですから急いで岸に向かって下さい! この池、落ちる時に見ましたが、それ程広くなかった筈です!」
『這うなどと美しくない姿だが仕方が無い。 了解だ』
エンリルは搭乗席が完全に水没するギリギリで何とか陸地に辿り着いた。
こういう時、魔術師である僕は本来なら水中で呼吸する魔法を使えれば良かったのだが、その魔法、難易度が上級なので中級以下しか使えない僕では無理なのだ。
岸に着いたら急いで搭乗口を開いて水を追い出したました。
危うく溺死するとこでしたよ。
ガラテアがエンリルを動かせてよかった~。
お蔭で僕は息を止めるのに集中できましたからね。
ガラテアに感謝です。
其処にあの憎たらしいドラゴンさんが目の前に降りてきた。
こんにゃろ~、よくも僕の新品のエンリルを此処までボロボロにしてくれましたね~。 その上、リピータとわいやー・アンカー落としちゃったじゃあないですか。 泣きますよ? ボルさんが。
それにしてもこの脳筋ドラゴンさん、ド ウ シ テ ク レ ヨ ウ カ ……。
『オオ! 良ク無事ダッタナ! 確実二死ンダト思ッタゾ。 シカシ、コレデ汝ノ無実ハ証明サレタ。 デハ、サラバダ!』
逃がすか!
僕は搭乗口を開けたままドラゴンさんの尻尾をエンリルの足で踏んづけた。
「ッ!? 何ヲスル! 痛イデハナイカ!」
「僕は死にそうにんなったんですけどね~。 しかも、完成したばかりの、ピカピカの新品だった僕のエンリルを、こんなにボロボロにしてくれちゃて~。 無実の僕らに罪をかぶせたんですからどう責任取るんですかね~。 どう責任取るんですかね~。」
大事なとこなので二回言いました。
さあ、どうする? どう出る?
ドラゴンさんは暫く沈黙した後――
『……秘儀! 尻尾切リ! 改メテ、サラバ!』
ドラゴンさんは踏んづけた尻尾の先を自切して逃げ出す。
お前はトカゲかーい! しかし、逃がさん!
僕は飛び立つ寸前のドラゴンさんの綺麗に切れた尻尾の先をエンリルの両腕でムンズと掴む。
『何すんのよ! エッチ! 変態! スケベ! 乙女の大事な可愛いお尻まで引っこ抜けちゃうじゃないのよ!』
行き成り流暢になるドラゴンさんの言葉。 しかも、耳に響いてくる声は黄色い。
そう、ドラゴンさんは雌でした。
「誤魔化しても逃げようとししても無駄よ無駄無駄! 僕は絶対、貴方を逃しませんよ!」
『しつこい男は美女に嫌われるわよ!!』
ジタバタもがき何とか僕のエンリルから逃れようとするドラゴンさんの切れた尻尾を伝って後ろから羽交い締めにする。
「お生憎様! 逆に好かれて婚約しました!」
『何よそれ!?』
「さあ、懺悔の時間です! 歯を食いしばって下さいね! ガラテア! エンリルの出力100%! この際エンリルが破損しても構いません! バックドロップで後ろの地面にドラゴンさんを叩きつけてあげなさい!」
『よっしゃあ! やったるぞ親父殿! ウオラアァァァ!!』
ガラテアは厳つい咆哮を上げると同時にエンリルの脚部と腰部がミシミシと不吉な音を立てながら空中に放り投げるようにドラゴンさんの巨体をいきよいよく浮かせる。
ガラテアよ、そんな男みたいな雄叫び上げると嫁の貰い手が無くなりますよ?
『ちょっ!? 辞めて許してお願いします!! そんな事されたら私、死んじゃうー!!』
もう遅い。 既に技は繰り出された。 それに此方は被害が結構ででいる上にエンリルを破損させられた。 泣こうが喚こうがドラゴンさん、貴方を許すつもりは毛頭ない。
ドグシャアーーー!!!!
先ず先にドラゴンさんの頭頂部が地面に激突。
『ぐぎゃっ!?』
カエルが潰れたような声で泣き、次に背面ある首の頚椎と肩の部分、そして背中を地面に叩きつけた。
夜の闇の中、地面からもうもうと上がる砂煙に包まれるドラゴンさんにバックドロップを決めたエンリル。 此処に一つの死闘が幕を降ろした。
ちなみ、ボルさんにワイヤー・アンカーを落とした事を告げたらマジ泣きされてしまった……
これからちょくちょく投稿出来るよう頑張ります!




