プロローグ
「これ、どうすんのや?」
この男の手の中には1つのビンがあった。透明な球体が入っている。
この男の名前は、カトーフ・V・トレンド。彼ともう一人居た。
もう一人の名前は、カフオド・V・トレンド。もちろんこの二人は兄弟だ。
さらに言うと二人はあるものに乗っていた。
それは、竜だ。(竜とはあの神話とかに出てくる奴だ。)
もっと言ったらこの二人は人ではない。
半人半猫である。証拠として猫耳と尾がある。
「なんとかしますよ兄さん。それと何ですかそのしゃべり方は?」
「知らんのか。関西弁や、大阪辺りの。」
「そんなの知ってますよ。でも、ここ長野ですよ。」
カフオドの言うとおり、ここは長野県上空だ。もちろん、落ちたら即死だ。
「そんな事より、本当にこれどうするのですが?」
カフオドは、さっきとは逆に質問した。
「そんなに心配するなや。なんとかしんかったら親父に殺されかねんからな。」
カトーフは、冗談もほどほどにそう言った。
「それはともかくお前も、関西弁使ってみるか?」
「嫌ですよ。しかもダサいし・・・・・」
「まあまあそう言わずに、使ってみ、まずは練習がてら、関西弁定番のなんでやねんから。」
「絶対に嫌で・・・・」
「布団がふっとんだ。」
「なんでやねん!!」
唐突にボケされたためか、ツッコミを(しかも手付きで)入れてしまった。
「いいツッコミや。次いってみよか。」
「そんなことより、これを・・・ってあああああーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!」
なんとカフオドの手からビンが消えていたのだ。
「ツッコミなんかしてたからだ!どうするんだクソ兄!!死ねクソ」
兄という事を忘れて、暴言言いまくり弟をなだめるように、
「探せばええやろ。」
怒りを通りこして泣き出しそうにしている弟の頭を撫でながら、カトーフは呆れながらそう言った。
五月の風が、肌に気持ちいいとカトーフはふと思った。
これは、ある少年の物語が始まる前日の話だ。