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刻印術師の高校生活  作者: 氷山 玲士
第五章 世界刻印術総会談編
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27・新友

――PM6:42 源神社 母屋 居間――

「えっ!?それじゃこの子、真桜先輩の妹なんですか!?」

「そうだよ。来月からあなた達の同級生になるから、仲良くしてあげてね」

「七師皇の娘っていうだけでも驚きなのに……真桜先輩の妹さんでもあったなんて……」

「そんなことは気にしないで。この子はオウカ・グロムスカヤであって、それ以上でもそれ以下でもないから。でしょ、オウカ?」

「はい。確かに私は七師皇の娘で、ヴァルキリー・プリンセスの妹ですけど、私は私です。よろしくお願いします」

「こっちこそ。私は長谷部花鈴」

「私は妹の琴音。花鈴とは双子なの」

「御崎紫苑よ。この双子とは幼馴染で、長い付き合いってところかな」


 どうやら自己紹介はすんだようだ。浩達がいるとはいえ、全員男だ。真桜としては、女の子の知り合いもほしいと思っていたから、この三人と知り合えたことは本当に嬉しかった。


「それで真桜、この子達、浩君や瞬矢君もだけど、全員で積層術を使ったんだって?」

「ええ。生成者の防御術式を貫いてたわ」

「そりゃすごいな。ということは京介、スランプ脱出か?」

「それはわかりませんけど、何か吹っ切れた気がします。それより、姉ちゃんはどうなんですか?」

「明日退院だってよ。丈夫な奴だよな」

「水谷君のお姉さんって、クリスタル・ヴァルキリーですよね?」

「そうよ。けっこう広まってるのね」

「そりゃそうですよ。昨夜三剣士が、テレビで紹介してたじゃないですか」

「先輩達の称号も知ってますよ。飛鳥先輩がパラディン・プリンス、真桜先輩がヴァルキリー・プリンセス、井上先輩がクレスト・ハンター、一ノ瀬先輩がレインボー・ヴァルキリー、そして三条委員長がオラクル・ヴァルキリーですよね」

「よく覚えてるな」

「だって、うちの学校の生成者全員なんですよ。多分、他のみんなも覚えちゃってますよ」


 それが良い意味でなのか、それとも悪い意味でなのかはわからないが、改めて言われるとかなり照れくさい。


「かなりこそばゆいけどな。親父や母さんが出て来なくて、一安心だったが」

「同感ね」

「それぐらいのことは、平気でやらかすからな」


 敦やさゆりも、総会談で散々な目に遭わされた。普通ならば、七師皇という世界最強の術師に直接お目にかかれるだけでも運が良いというのに、称号まで賜るなど、身に余る光栄というものだ。

 だがその七師皇は、普通ではなかった。総会談では信じられないような事実がいくつも発覚し、罠にもはめられた。既に尊敬の対象とはかけ離れた存在へと成り下がってしまっている。


「だけどあなた達、そんなに緊張しなくてもいいのよ?」

「そ、そんなこと言われても……!」

「先輩達だけじゃなく、アーサー・ダグラスまでいるじゃないですか!無理言わないでくださいよ!」


 今この場には、雅人とさつき、ミシェルはいない。雅人は中華連合強硬派残党の調査任務に就いており、ミシェルはそれに付き合っている。さつきは卓也やセシル、そして派遣された術師と共に、久美の入院している鎌倉市民病院周辺を警戒してくれている。


「俺達もすげえ緊張したよな」

「しない人っているのかな?」

「いないでしょうねぇ」

「会う人会う人に緊張されるのって、けっこうキツいんですけどね。それより、どうかしましたか?」

「まだ聞きたいことがありそうな顔してるな」

「ないわけじゃないんですけど、その……」

「大河と美花がどうかしたのか?」


 琴音の視線の先には、大河と美花がいた。どうやら二人に聞きたいことがあるようだ。


「はい。佐倉先輩と真辺先輩って、術師じゃないんですよね?」

「ああ、違うぜ」

「他の先輩達が生成者なのに、怖くないんですか?」


 少し遠慮がちに、紫苑が尋ねた。先程の光景が忘れられないし、神槍事件では風紀委員が中心となって、連盟の術師が駆け付けるまでの間、学校を守っていたと聞いている。

 だが同級生の風紀委員術師は全員が生成者で、二人は刻印術師ですらない。そこが気になって仕方がない。


「別に」

「怖くないわよ」


 紫苑の疑問に、大河も美花もあっさりと答えた。


「だ、だって……!」

「言いたいことはわかるよ。俺達だって、何度も見たことあるからな」

「でもね、それは私達や誰かを守るためであって、自分達のためじゃないの。私達だって何度も助けてもらったわ。確かに怖い目にも遭ったけど、それはみんなのせいじゃないわ」

「それは……そうなのかもしれませんけど……」

「初めて見たら、誰だってそう思うさ。俺達は、感覚が麻痺しちまってるだけなんだよ」

「先輩達もだけどね。って、そんなことを聞くってことは、三人とも術師じゃないの?」

「はい」

「そういや今年の1年は、3年程じゃないが術師の数が少ないって話だな」

「そうなの?」

「竹内会長がそんなこと言ってた気がする。まああの人は、また頭抱えてるだろうけど」


 敦は修学旅行前まで連絡委員会に所属しており、委員長である矢島の代わりに生徒会に出席したこともある。入学式前にも押し付けられたが、その時護が、そんなことを言っていたような記憶がある。


「なんで?」

「偶然とはいえ、あの人が会長に就任してから、どれだけの事件が起きたと思ってんだよ?気の毒すぎるだろ」

「去年の明星祭前の襲撃事件に神槍事件、春の不正術式事件に魔剣事件、革命派や総会談関係の襲撃事件か。確かに多いな」

「竹内会長、よく投げ出さないわよね。普通なら泣くわよ、これ」

「魔剣事件は直接関係ないけどね。それでもすごい数だけど」

「向井が逃げるのも当然か。田中も怖がってるし、次の会長、どうなるんだろうな?」


 次期生徒会長には、生徒会役員を務めた2年生が立候補することが多い。護もそうだし、翔もそうだった。だから例年通りならば、次の会長は副会長の向井か書記のかすみが立候補することになる。

 の・だ・が。


「なんだよ、大河。俺達のせいだって言いたいのか?」


 大河の呆れたような視線を感じた飛鳥は、かなり不満を抱えながら尋ねてみた。


「それ以外ねえだろ。フランスで向井の苦労を水の泡にしたのは、どこのどいつだよ?」

「……痛いとこ突くわね」


 その一言で黙ったのは飛鳥だけではなく、生成者全員だった。


「どうかしたの?」


 そんな生成者達を困ったような顔で見ていた美花だが、1年生達の様子がおかしいことが気になった。


「い、いえ……なんか、聞いちゃいけないような気がして……」


 次の生徒会長が誰になるのか、ということはあまり1年生には関係がない、わけはなく、大いに関係がある。何故なら生徒会長は、風紀委員会を含む委員会をまとめあげ、学校生活を円満にするために活動をしてくれている。風紀委員会の戦力が異常すぎるとはいえ、委員長の雪乃をはじめ、生徒会に迷惑をかけるようなことはしない。結果的に手間をかけてしまうことはあるが、これだけ生成者がいれば、それは起こるべくして起こることであり、風紀委員長である雪乃は、何度も事後処理を、自ら請け負っていた。


「僕も時々逃げたくなるよ。少し慣れてきたけど、それでもね」

「新田君は風紀委員だもんね」


 同じクラスの琴音は、浩が風紀委員に推薦された日のことをよく覚えている。

 ここにいる2年生の風紀委員生成者が束になって教室へやってきたのだ。春の事件からまだ一ヶ月程しか経っていなかったこともあり、2年生の生成者は、既に恐怖の存在となっていた。そのため誰も手どころか口も出せず、あっという間に浩をかっさらい、風紀委員会室へ連行し、半ば強制的に風紀委員へ仕立てあげてしまった。

 真っ青どころか真っ白な顔で憔悴しきって教室に戻って来た浩の姿は、今でも忘れられない。


「新学期になったら1年生からも推薦されるけど、誰が推薦されるのかしらね?」

「わからないけど、みんな逃げるんじゃない?」

「逃げないのはオウカちゃんぐらいでしょうね。あとは逃げられないという意味で浩君」

「もう諦めてますよ」


 10月の生徒会新体制移行に伴い、風紀委員会も3年生が引退し、新たに1,2年生が推薦される。

 だが2年生はどう見ても戦力過剰だ。一人ぐらいはいるかもしれないが、刻印術師が推薦されることはないと思える。

 問題なのは1年生だ。浩はこのまま引退まで確定しているが、他の候補がわからない。さゆりの話からの推測だが、オウカも確定のようだ。あとは成績で選ぶのだろうが、そうだとすれば京介と勝、瞬矢も決定だろう。だがそれでも五人だ。しかも術師が四人と、非常にバランスが悪い。


「新任候補か。先輩達も頭痛めてるよな」

「新学期まで先送りしかないものね。それはともかくとして、どうする?せっかくだし、ご飯食べてく?」

「え?いいんですか?」


 思わぬ真桜のご招待に、紫苑も花鈴も琴音も目を輝かせている。


「ええ。なんだったら、泊まっていってもいいわよ?」

「それは……悩みますね……」

「男は駄目だがな」

「なんで!?」

「当たり前だろ。俺と飛鳥を相手にする覚悟があるなら、話は別だが」

「飯食ったら帰ろうぜ!」

「異議無し」


 飛鳥と敦を相手にするなど、先程の連中よりハードすぎる。一度は泊まってみたいと思っているが、そのための門番があまりにも強力すぎて、既にムリゲーと化している。だから京介も勝も浩も、とっくに諦めている。今回は一瞬光が見えてしまっただけに、落胆も大きいが。


「あ、瞬矢君は泊まりだよ。あとで瞳さんも来るから」


 だから真桜のセリフに、京介と勝から無言の殺意が放たれた。


「姉さんが?どうしてですか?」


 瞬矢もそれを感じ取ったが、放置することにしたようだ。瞳が来るとなれば、勇斗も来る。そっちの方が気になって当然だ。


「瞳さんもしばらく、ここに住むからよ。開発もあるし」

「ああ、なるほど。でも、いいんですか?」

「いいも何も、私達だって泊まり込んで開発させてもらったんだから、問題ないわよ」

「さゆりが言うことないでしょ。その通りだけど」


 さゆりだけではなく、敦も雪乃も、そして久美も、源神社に泊まり込んでS級術式を開発した。三剣士や三華星にもアドバイスを貰えたし、開発中の話も聞くことができた。実に有意義な時間を過ごしたのだから、勇輝の恋人であり、勇斗の母でもある瞳をここに招くことは、知り合った当初から既に決定されていたと言ってもいい。


「開発って、もしかして佐々木君のお姉さんも、生成者なの?」


 紫苑達は、瞬矢の姉が生成者だとは知らなかった。だが生成者なら、優秀な術師に間違いはないだろうことは想像できる。


「そうだけど、まだS級は開発してないんだ。そんな時間も余裕もなかったし」

「時間はともかく、余裕がなかったって、なんでなの?」

「妊娠中だったから、それは無理だよ」

「え?妊娠って、佐々木君のお姉さん、結婚してるの?」

「いや、シングル・マザーだよ」

「俺の従兄が父親なんだが、去年亡くなってるんだ。その後で瞳さんが妊娠してることがわかったから、瞳さんは一人で育てることを決意してくれたんだ」

「そ、そうだったんですか……」

「す、すいません……」


 花鈴も琴音も、子供の父親が飛鳥の従兄だったとは、しかも既に亡くなっていたとは、思いもしなかった。知らなかったとはいえ、聞いてはいけないことだったから、すぐに謝罪の言葉が出てきた。


「知らなかったんだから、仕方ないないよ。そんなわけで、瞳さんはS級の開発をしなかったんじゃなくて、できなかったんだ」

「妊娠中で開発なんて、自殺行為もいいところだしね」

「そんなに危険なんですか?」

「私と真桜さんのS級を見たでしょう?開発中はあれが暴走したり、制御不能になっちゃったりすることもあるのよ」

「実際に亡くなった術師もいるわよ。だから普通じゃ、S級開発をしてるところは見れないの」

「怖っ!」


 敵のS級もすごかったが、真桜のシルバリオ・コスモネイションやジャンヌのプラティヌ・エクストレームは、さらにすごかった。確かにあんな術式が暴走したり、ましてや制御不能にでもなったりすれば、普通の人間にすぎない自分達では、簡単に命を落とす。生成者の切り札であるS級術式の開発が、そんな危険なものだったとは、三人は今日まで知らなかった。


「あ、でも明日は京介君や新田君、二宮君も泊まっていいよ」

「へ?何でですか?」


 真桜の一言は、凶悪な門番と対峙する必要がなくなる、まさに女神の一声だった。が、ただで源神社に泊まれるわけがない。何か理由がある、と三人が三人とも敏感に感じ取っていた。


「久美の退院祝いをするのよ。せっかくだし、あなた達もどう?」


 久美は京介の姉であり、自分達の幼馴染なのだから、理由そのものは納得できる。だがおそらく、三剣士やさつき、セシルも参加するであろう退院祝いの宴では、先日の鶴岡八幡宮で聞かされてしまったような、自分達が聞いてはいけない類の話も、湯水のように出てきそうだ。既に巻き込まれてしまったという事情を差し引いても、だ。


「でも、二日続けてご厄介になってもいいんでしょうか?」

「全然問題ないわよ。私達だって、けっこうな頻度で泊まってるし」

「俺や美花にいたっては、既に自室がある状態だからな」


 紫苑達からすれば、先輩方の理由は何の参考にもならない。勘のいい紫苑は、この源神社が生成者や風紀委員の溜まり場なっているだろうと思っている。だからさゆり達がいても不思議には思わない。大河や美花の自室の件はよくわからないが、神社の手伝いか何かで泊まることがあるからではないだろうか。


「京介の姉貴を見るいい機会だぞ。この弟にしてあの姉あり、ってのがよくわかるからな」


 だが飛鳥の話は、確かに興味があるし、いい機会かもしれない。

 京介は刻印術に関しては並々ならぬ実力を示している。試験前後はスランプ気味だったらしいが、それを差し引いても、猪突猛進と呼ぶに相応しい勢いで術式を繰り出していた。その京介の姉がどんな人なのか、かなり興味深い。


「飛鳥先輩、それはちょっとひどいですよ」

「確かに瞳先輩や三条委員長みたいにお淑やかじゃありませんけど、けっこう面倒見はいいですよ」


 瞳や雪乃は、かなりお淑やかで温厚だ。2年生では美花がそのポジションだが、対象的に久美はかなり手が早く、気が短い。飛鳥達もよく知っている。だが同時に、面度見がいいこともよく知っている。


「あれ?新田君も二宮君も、水谷君のお姉さんを知ってるの?」

「幼馴染だからな」

「そうだったんだ。でもなんか、興味あるかも」

「それじゃ、決まりかな」

「あ、でも家に確認してみます。最近物騒ですし」

「俺達の名前出せば、多少は安心してくれるんじゃねえか?」

「私達だけじゃなく、三剣士までいるもんね」


 飛鳥達が七師皇から称号を授けられたことは、先日のテレビで三剣士が出演した際に公表された。三剣士によって脚色されたと感じる人はいるだろうが、内容は身に覚えがありすぎることだったし、七師皇から直接というのは間違いないことなので、生成者は肩を落とし、風紀委員の先輩達やここにいる術師ではない親友達は、爆笑しながら見ていた。バラエティー番組でもないのにあそこまで笑ったのは、こいつら以外では両親だけに違いない。


「それは言えるかもしれないわね。でも親御さんの許可は必要よ。無理強いはできないから」

「ですね。だけど替われって言われたら替わるぞ。うちに泊まってもらうんだから、安全保障は最低限だ。帰る時も、誰かが護衛につくぞ」

「ありがとうございます。それじゃ、ちょっと電話してきます」

「あ、私も行っていきます。花鈴、何か伝えることってある?」

「特になしかな」

「わかったわ。それじゃすいませんが、ちょっと失礼します」

「それじゃその間に、作っちゃおうかな。オウカ、手伝ってくれる?」

「はい!」

「それじゃできるまでの間、ちょっと鍛練場に行くか」

「あ、私も行くわ。みんなも来る?」

「いいんですか?」

「構わないぞ。俺は社務所に行って、先輩達に飯の時間を伝えてくるとするかな」

「じゃあ紫苑と琴音が戻ってきたら、そちらに行きますね」

「えっと、井上先輩。僕達は……」


 ほとんど確定事項ではあるが、浩が敦にお伺いを立てようとしてみた。


「来るんだろ?」


 がしかし、敦の笑みには、有無を言わさぬ圧力があった。


「ですよねぇ」

「瞬矢君もね。飛鳥や真桜ほどじゃないけど、私達でも少しは教えられるわよ」

「お、お手柔らかにお願いします……」


 2年生の生成者は、全員が1年生にとって恐怖の対象だが、特に恐れられているのは、敦とさゆりだった。

 夏休み前の革命派襲撃事件の際、飛鳥、真桜、雪乃、久美、卓也は結界を張っていたため、直接見られてはいないが、敦とさゆりは二人とも広域系を苦手としているし、何よりテンペストというA級の風属性自然型術式の中で戦っていた。さゆりの苦手属性でもあったが、A級は結界術式としても優れていると思っていたから、ギリギリまでテンペストを破壊しなかったばかりか、逆に利用までした。

 だが実はその自然型、結界としての効果は薄い。相手が相手だったとはいえ、多数の生成者をたった二人で全滅させた現場を、多くの生徒や先生方にまで目撃されてしまったのだから、恐怖の対象にもなるというものだ。ちなみに敦とさゆりは、四刃王でもある鎌倉警察署署長 柴木に、後でたっぷりと絞られた。もっとも革命派を倒したことではなく、A級術式についての不勉強さについてだったが。

 その二人が相手など、恐怖で委縮しそうだが、飛鳥や真桜はさらに上という話を聞かされたのだから、瞬矢達が自分で望んだこととはいえ、早まったかもしれないと思う気持ちがあるのも仕方がないことかもしれない。


「私は真桜さんとオウカちゃんを手伝いますね」

「あれ?そういえばジャンヌさん、セシルさんは?」

「デートです」

「デート?あ、もしかして!」


 さゆりが敏感に反応した。やはり確定だったようだ。


「そうです。だから多分、今日は帰ってきませんよ」

「何の話だ?」

「男には関係ない話よ」


 だが飛鳥も敦もアーサーもまったくわかってない。ここまで鈍いと、逆に殴りたくなってくるから不思議だ。


「委員長とアーサーさんはどうするんですか?」

「ここで論文をまとめます。少しずつではありますけど、確実に進展してますから」

「私はお手伝いよ。ワイズ・オペレーターにも記録させてあるし」

「それじゃできたら呼ぶね。それまでは好きにしてていいから」

「ありがとうございます、先輩」

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