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刻印術師の高校生活  作者: 氷山 玲士
第五章 世界刻印術総会談編
70/164

4・日常

――西暦2097年6月23日(日)AM10:50 源神社 社務所――

「真桜ちゃん、交通安全のお守りがあんまりないけど、どこにあるの?」

「え?あ、ホントだ。引き出しにもありませんか?」

「そこにもないのよ」

「それじゃ社務所の中ですね。取ってきますね」


 聖美は来月の世界刻印術総会談に向けて、今日から源神社でのバイトを始めた。志藤と安西は今のバイトの都合がつかず、来月に入ってからになるらしい。


「いいわよ。場所教えてくれれば、私が行ってくるわ。どこに何があるかも覚えないとだし」

「すいません。そこのドアの先にある棚にまとめてありますから」

「こんにちわ~」

「さゆり、久美。あ、香奈先輩も。いらっしゃい」


 そこにさゆり、久美、香奈がやってきた。


「聖美先輩、似合いますね、その格好」

「ありがとう。今日はどうしたの?」

「井上君のお手伝いです。今日は別の角度からアプローチするって言ってましたから」

「私は神社の方の様子見です。あとでエリー達も来ますよ」


 香奈だけでなく、3年生はよく源神社に来ているし、何度か手伝ったこともある。特に香奈は、小学生の頃はよく氷川神社に遊びに行っていた。そのためけっこうな知識がある。


「本当によく来てるのね」

「ここの鍛練場、すごいですからね。私達もここを使わせてもらってS級を開発しましたし」

「新しい術式を習得した時も、ここで試させてもらってもいます。修練にもなりますからね」

「環境的には最高だものね」


 融合型と複数属性特化型の生成者がアドバイスをくれる場所など、数多くある日本の神社でもこの源神社だけだ。対抗できるとすれば、連盟本部のある京都の護国院神社ぐらいだろう。


「聖美先輩も、いつでも来てくださいよ」

「え?いいの?」

「大河や美花なんて、勝手に使ってますからね。最近は私達もですけど」

「委員長ぐらいですよ。飛鳥君か真桜に断ってから使ってるのは」

「別にそんな必要ないんですけどね」

「雪乃らしいわね」


 神槍事件後、飛鳥と真桜が無事に鎌倉に帰って来てから、さゆりと久美はS級術式の開発のため、源神社に入り浸っていた。春休みの半分は泊まり込んでいたし、他の委員達もしょっちゅう来ていた。それは今も続いており、ほとんどは勝手に鍛練場を使っている。たまに神社の仕事を手伝ってくれることもあるため、飛鳥も真桜もそれぐらいは気にしていないが、唯一雪乃だけは、必ずどちらかに声をかけてから鍛練場を使うようにしている。


「そういえば真桜、飛鳥君は?」

「お買い物に行ってもらってるよ。今日はみんな来るから、材料が足りないんだ」

「なるほどね」


 風紀委員が全員集まることは、実はあまりない。先週は雅人とさつきがテレビ出演するために集まったが、それ以前は春休みに数回あったぐらいだ。

 総会談の前後数日は飛鳥と真桜だけではなく、雅人とさつきまで神社を空けてしまうことになるため、既に両親から風紀委員に協力の要請が届いており、今日は全員が集まることになっていた。浩は1年生ということで免除されていたが、自分だけ何もしないことに引け目を感じてたらしく、自分から手伝いを申し出てくれている。

 ちなみに久美の弟 京介と友人の勝は、飛鳥が出した課題をクリアしない限り、源神社へ立ち入ることを禁止されている。


「やっほー!」

「あら、さつき」


 社務所で他愛ない世間話をしていると、さつきもやってきた。最近伸びてきた髪を、後ろで一つにまとめている。


「聖美、やってるわね。どんな感じ?」

「まだ何とも言えないわね。巫女服着て社務所に座ってるだけだし」

「それもそうか。香奈もごめんね。せっかくの日曜だってのに、呼び出しちゃったりして」

「呼び出されたって言っても、遊びに来てるようなものですからね。多分、みんなもそんな感じだと思いますよ」

「そう言ってもらえると助かるわ。お礼ってわけじゃないけど、お土産持ってきたから」

「お土産?」

「え?さつき先輩、どこか行ってきたんですか?」


 だがその言葉に反して、さつきはほとんど手ぶらだ。小さなカバンを背負ってはいるが、土産が入っているとは思えない。


「違う違う。雅人が当てたのよ」

「またですか……。今度はいったい何を……」

「もうじき来るはずなんだけど……。あ、来た来た。遅いわよ、あんた達」


 香奈も雅人が強運の持ち主だということを知っている。春休みに何度か遊びに来たが、その都度、雅人が懸賞で当てたという高級食材を御馳走になったものだ。泊まり込んでいた雪乃、さゆり、久美はほとんど毎日だったらしい。いったい何をどうすれば、そこまで当てることができるのだろうか。

 そんなことを考えていると、答えが歩いてきた。と言っても、本当にお土産が歩いてきたわけではない。遥と昌幸が大きな荷物を大量に抱えながら、神社の階段を上がってくるところだった。


「む、無茶言わないでくださいよ……」

「何なんですか、これ……」


 遥も昌幸も息が荒い。見るだけでかなり重いだろうこともわかる。


「戸波先輩!葛西先輩も!どうしたんですか、それ?」

「下でさつき先輩に会って、これを持って上がるように言われたんだよ……」


 運が悪いとしか言いようがない。さつきが愛車に乗せてきた荷物は、大きな段ボール二箱と大きな手提げ袋四つ分だった。さつきは力持ちというわけではないが、フライ・ウインドを応用して車に積み込んだ。熟練した術師であれば、それぐらいは朝飯前だ。本当なら下の駐車場から自分で運んでくるつもりだったが、丁度よく遥と昌幸が現れたので、二人に荷物を運ばせた次第だ。


「まさか……これ全部、雅人先輩が当てたんですか?」

「そうよ。北海道の恵み詰め合わせ。さすがにあたし達だけじゃ食べきれないからね」

「相変わらず凄い人ですね……」

「それにしたって多すぎでしょ……。何をどうすれば、こんなに当てられるのよ?」


 誰もが呆れている。運んできた二人も、中身を聞いた瞬間に地面に突っ伏した。


「先に教えてくださいよ。こんなことなら飛鳥にお買い物頼まなかったのに」

「ごめんごめん。でもさっき届いたのよ、これ」

「凄い量ね。冷蔵庫に入りきらないんじゃないの?」


 予想外、予想以上の食材の量に、さすがに真桜も困っている。北海道の恵みというからには魚介類が大量なのだろうが、肉や野菜があることにも疑いの余地はない。


「その場合はニブルヘイムでも使います」

「A級を冷蔵庫代わりにって、初めて聞いたんだけど……」


 ニブルヘイムは水系世界樹型A級広域対象術式だ。戦闘はもちろん、領域内の水分を操り、氷を張ったり雪を降らせることで、スケートやスキー、スノー・ボードなどを季節を問わずに楽しむためや、競技の練習のために使う術師も少なくない。そんな術式を冷蔵庫代わりにする、などという話は、当たり前だが初耳だ。


「冗談ですよ。多分入りきると思います。けっこう大きな冷蔵庫ですから」

「そういえばさつきさん。雅人さんは?」

「今日は管理局に行ってるわ。夕方には顔を出すって言ってたけど」

「よかった。それじゃ晩御飯は、雅人さんの分も用意して大丈夫ですよね?」

「もちろん。喜ぶわよ、あいつも」

「よ~し!それじゃ腕を振るって、はりきって作りますね!」


 さつきも雅人も、姫に料理など、と考えたことはない。料理は真桜の趣味なのだから、それを止める理由はない。しかもその料理がかなり美味しい。


「もしかしてさ、真桜ちゃんの手料理が食べたいから、懸賞続けてるの?」

「当たらずとも遠からず、かな。あたしもそこそこ料理はするし」

「でも遠からず、ってことは、やっぱり真桜の料理を食べたいってことですよね?」

「だって美味しいじゃない。下手なレストランより全然上だと思うわよ」

「それには異議なしです。しかもこんな、見たこともない食材の山なんて、逆に楽しみですよ」

「それは、俺達も食う権利、あるんですよね?」

「当然じゃない。こんな重い荷物を、一番下から持ってきてくれたんだから。真桜、この二人には飛鳥の次にいいとこよろしく」

「わかりました!戸波先輩、葛西先輩。あとで飲み物持ってきますから、ゆっくりしててくださいね」

「おお、ありがとな」

「飛鳥の次ってことは、最上級クラスか。苦労した甲斐があったな、葛西」

「同感だ。武や鬼塚に自慢できるな」


 真桜の料理で一番おいしくできた物は飛鳥が戴く。これは常識だ。だからそこに文句をいうつもりもないし、そんな勇者が過去に現れたこともない。

 だが次であっても、極上ということに変わりはない。春休みは雪乃、さゆり、久美が中心だったこともあり、高級品は飛鳥とその三人用だったが、それ以外の料理もとてもとても美味しかった。早くも夕食が楽しみだ。


「そういえば敦は?」

「部活があるので、昼頃来ると思います」

「ああ、そういえば空手部って言ってたっけ。委員会と部活の両立って、かなり大変だと思うけど」

「他の委員会ならともかく、風紀委員会はねぇ」

「部活みたいなものですしね。今なんてまるで合宿ですよ」

「あ、それいいですね。夏越祭の後に、一度ぐらいやりません?」

「面白そうね。京介君と二宮君も誘ってみる?」

「さゆり……それは私に対する挑戦ってことでいいのかしら?」

「そんなわけないじゃない。だって昨日、やっと次の段階に進んだんでしょ?」

「みたいね」

「そういえば飛鳥君、何をさせてるの?」

「第一段階は広域系を半径約10メートルの領域で展開。干渉系は対象への干渉力と事象の改変力、持続力。攻撃系は発動速度と精度。防御系は相克関係のある術式を防ぐこと、ですね」

「あいつ……また無茶苦茶なことさせてんな……」

「それがそうでもないのよね」

「そうでもないって、どういうことなんですか、武田先輩?」

「それって術師の基本中の基本なのよ。広域系と防御系はキツくなってるけど、干渉系と攻撃系は、本当に基本。戦闘系だろうと競技系だろうと研究系だろうと、どの道に進もうとも、それができない術師はどこも雇ってくれないのよ」


 聖美も基本を知っている。と言うより、2,3年生でできない術師はいない。広域系と防御系もある程度のレベルの術師ならばできて当然のことで、言うまでもなく聖美もできる。


「それができたら、次は干渉系、攻撃系、支援系を使った攻撃手段と、干渉系、防御系、支援系を使った防御手段の構築です。京介はやっとここまで来れたといったところですね」

「へえ。それじゃ浩君は?」

「新田君は私達が修学旅行に行く前に、全部終わらせてたよ」

「え?そうなの?」

「はい。だから新田君は源神社に来る許可が出てますし、井上君と一緒に風紀委員に推薦できたんです」


 飛鳥が出した課題のうち、広域系と防御系は2,3年生でも難しい。

 広域系は半径5メートルで優秀と評価される。それを10メートルなど、たとえ刻印術師であっても、1年生には難しすぎる。聖美は広域系に適性を持っているため、半径20メートルの術式を展開できるが、適性の低いさゆりは、マルス習得のために広域系の習熟に努力を重ねた結果、レインボー・バレルを使ってようやく聖美と同程度の術式を使うことができるようになっていた。

 防御系の相克関係も、術式に習熟している必要があるため、一朝一夕でできるものではない。さすがに等級、術式の制限はしていないが、それでも簡単ではない。


「ほほう。ちなみに飛鳥の奴、他にはどんな課題を出したんだ?」

「さっきの二つと、最後に一つ難問がありますね。非適性属性のみで、最初と次の課題をもう一度です」

「またエゲつないことを……」

「私も見てたからわかりますけど、やっぱり二人とも、非適性属性への習熟度はゼロに等しかったんです。新田君だけはある程度習熟してたみたいなので、あの子が一番最初にクリアすることだろうことも予想できてました」

「けっこう重要だもんね、非適性属性の習熟って。荒療治に近いけど、確かに課題としては十分だわ。でも相談ぐらいはされるんでしょ?」

「それはそうですよ。自分だけでできるわけじゃありませんから」

「むしろ先にクリアする人がいるから、この方法を選んだって言ってましたよ」

「浩君、もうちょっと自信持たなきゃだもんね。雪乃先輩みたいに奥ゆかしいのもいいけど、少しは俺に任せろ、みたいなこと言ってもいいと思うし」

「さゆり、もしかして浩君狙い?」

「レインボー・バレルを構えながら、狙った的は外さない、みたいなこと言うの?」

「オッケー、ご希望に応えましょう。私が狙う的は香奈先輩と久美の心臓よ!」

「ごめん!嘘だから!!」

「調子に乗りすぎたのはごめん。でもさゆり、けっこう浩のこと気にいってるでしょ?」

「まあ……実はね。同じ属性だし」


 さゆりは浩が気にいっていた。一見頼りなさそうだが、並の術師ならば悲鳴を上げる飛鳥の課題を、わずか一ヶ月で終わらせてしまったのだから、高い潜在能力があることは間違いない。同時に勝気な性格のさゆりは、守ってくださいオーラをかもし出している浩に、母性本能のようなものを刺激されてしまったようだ。


「あげないわよ?」

「そうそう、あげないわよ……って久美!?」

「冗談よ。あの子次第でしょうね」


 久美にとって、浩はもう一人の弟のようなもので、相手がさゆりならば申し分ない。だが最終的には本人次第なのだから強制はしない。それに久美も浩を気にいっている。冗談混じりではあったが、何割かは本気だった。


「ところで佐倉と真辺は?」

「お墓参りです。先週はさつきさん達がテレビ出演してたから、代わりに今日行くって言ってました」

「あの子達や聖美達は、月命日には必ず顔見せてくれるのよ。飛鳥と真桜もだけどね」

「そうか、もうそんな季節になるんですね……」


 昨年の八月十三日、さつきの兄 立花勇輝が国防軍過激派と戦い、命を落とした。

 当時の過激派は飛鳥と真桜の命を狙っており、そのため盾であることを誓っていた雅人とさつきは、多数の過激派を粛清していた。勇輝も同様だったが、あの日遭遇した部隊の隊長は、勇輝にとってもっとも戦いたくない男だった。生徒会副会長 神埼優奈の身元引受人であり、刻印銃装大隊第三小隊隊長でもあった藤田は、勇輝に優奈のことを託し、笑って死んでいった。その時に受けたダメージによって、勇輝も飛鳥と真桜のことを、雅人とさつきに託し、笑いながら後を追った。

 あれからまだ一年も経っていない。3年生が教えてもらったことは一つだけ。だがとても大切なことだった。まだ加入前だった望、良平、久美は直接会ったことはないが、神槍事件後に教えてもらった。聞いた時は後悔したが、直接会ってみたかったとも思った。


「ふう、ただいま」

「あ、おかえり、飛鳥」

「あれ?井上君と一緒だったの?」

「そこでバッタリ会ってな。今日はもう終わりらしいから、まっすぐ来させてもらったぜ」

「そういうことだ。戸波先輩、葛西先輩、氷川先輩も来られてたんですね」

「武田先輩、お久しぶりです」

「井上君もね。部活と風紀委員を両立させるなんて、大変じゃない?」

「思ったよりキツいですね。今はなんとかなってますけど、十月からはあんまり顔出せなくなりそうで」


 毎年十月に新生徒会が発足するため、各委員会も新委員長を選出する。同時に3年生も、名目上は引退となる。しばらくは顔を出すことも多いが、三学期になればほとんど顔を出せなくなるため、早く新体制に慣れる必要もあるため、あまり頼るわけにはいかない。


「しかし井上が先に来るとは思ってなかったな。もしかして他の連中、昼飯食ってから来るつもりなんじゃないのか?」

「あり得るわね。特に雪乃なんか」

「武と鬼塚は、まだ寝てそうだけどな」

「ところで飛鳥。何を買ってきたの?」

「昼飯と晩飯の材料だ。みんな来るから、買い込んできたぞ」


 その言葉を証明するように、飛鳥の両手には大きな袋がいくつも下げられていた。どう見ても一人では持ち切れない量だが、フライ・ウインドを使い、重量を軽減しているようだ。


「それはご愁傷様だな」

「はい?」

「ごめんね、飛鳥。雅人から差し入れがあるのよ」


 さつきのその一言で、飛鳥は全てを理解した。


「またですか……。今度はいったい何を……」

「これよ」


 見せつけられたのは食材の山。それもかなり高級そうだ。


「なんだ、この高級食材の山は……」

「雅人さんが懸賞で当てたんだよ……。あの人、すごい強運の持ち主だからな……」

「春休みなんか凄かったわよ。私も久美も、委員長と一緒に泊まり込んで開発してたんだけど、ほとんど毎日、雅人さんから差し入れがあったもの」

「日本全国の食材が次から次へとやってきて、結局食べきれなくてお土産に貰ったぐらいだったしね」

「なんつう羨ましい……」

「それもそれで問題なんだけどね。最近当選率が上がっちゃったし」

「上がったって……もうチート・レベルじゃないですか……」


 今までも雅人からもらった景品は数多い。一斗と菜穂が京都に行ってから、食材は月に一度必ず、人気ゲーム機ジョイ・ボックス、60インチ大型刻印テレビ、有名メーカー包丁状生活型刻印具セット、業務用にも匹敵する大型刻印冷蔵庫 等々、普通の高校生が買えるはずのない高価な品々を頂戴している。その雅人の当選率が上がるなど、もはやチートと言っても過言ではない。


「……とりあえず、全部冷蔵庫に詰め込んできます」

「入りきるのか?」


 昌幸の疑問も当然だ。自分達が下の駐車場から運んできたのは大きな段ボール二箱に大きな紙袋が四つ。飛鳥が大きなレジ袋を五つ提げている。三上家の冷蔵庫が大きく、母屋と社務所の両方にあるとはいえ、入りきるかどうかは甚だ疑問だ。


「今からお昼御飯作りますから、それで少し減らそうかなと」

「今ここにいるのは……十人か」

「佐倉と真辺は昼前に来るだろうが、それでも十二人だな」

「微妙な時間だけど、お昼御飯食べないで来るように連絡しといたら?」

「それしかなさそうですよね」


 今境内にいるのは飛鳥、真桜、さつき、さゆり、久美、敦、聖美、香奈、遥、昌幸の十人。遥の推測通り、大河と美花も、昼前に顔を出すだろう。

 だがこれだけいても、どれだけ頑張っても、おそらく紙袋二つ使うかどうかだ。作るのは真桜だが、早くも頭を悩ませている。いつもより豪勢な昼食にする以外、解決策が見当たらない。

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