表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/9

異世界に生まれて四年経ちました-7

投稿遅れましたすいません!!


「――俺は、虹ヶ峯翔也だ!」



 がばっと起き上がる。俺は、雨野幸彦なんかじゃない。確かに、俺は虹ヶ峯翔也だった。あんなもの幻想に決まってる。



 そこで、ふと周りの微妙な空気に俺は気づいた。もうあの都会の喧騒は感じられない。道行く人どころか道なんてない。そこは、静かな病室だった。真っ白な純白のカーテンが周りに張られていて、窓からは青い空が見えている。





「イルヴァ様……?」



 恐る恐るといった感じでレイナが俺の顔を覗き込む。それが一瞬、あの千春とかいう奴に見えて、少し仰け反ってしまった。



 俺は、そうだ。レイナの料理を食べて、倒れたんだっけか。じゃぁ、さっきの光景は夢か? 妙にリアルに脳に焼きつくこの記憶は、俺が捏造したものなのか。



 俺はじっとりと汗を掻いていることに気づき、ベッドの横にかけられているタオルを手に取った。



「あ、わ、私がやりますっ」



 レイナがタオルを俺から奪い取るようにして、取っていった。



 そして、俺の着ている服を捲るとタオルで汗を拭き始める。



「ありがとう」



「……いえ」



 レイナが俯き加減に呟いた。どうやら、あの殺人ゼリーの事で反省しているようだ。うん、良い心がけ。これからは美味しいデザート作ってなんて言わないから、せめて死なないようなものを作ってくれ。頼むぞ、レイナ。




「あの、失礼かとは思いますが」


「ん? 何だ?」





 一拍間をおいて、レイナが思い切ってというように口を開く。




「――ニジガミネショウヤとは誰なのでしょうか?」




 一瞬して背筋が凍る。



 ヤバい。ヤバいヤバいヤバいヤバイ。




 ただでさえ、俺の教養は一般の常識を覆している。それもそうだろう、元々俺は高校生だ。体が子供なだけである。当然、俺は数学や国語は簡単に理解出来た。理科、つまり科学というのはこの世界には存在しないのだが、代わりにあるのが魔法である。




 これも、理解をするのにそう時間はかからずに出来た。



 言葉も話すことが出来たし、難しい言葉もそれなりに知っている。





 だが、流石にそれを全部披露してしまえば、何らかの形で疑われるのは確かだった。



 故に、言葉遣いにも気をつけてきたし今の俺はイルヴァなのだから、前世の事は絶対に話さないようにしていた。



 しかし、それがつい先程寝言の様な形で綻びが出てしまった。




「あー……えっと……」



「言えない様な方なんですか?」



「いや、そんな事は無いけど……」



「じゃぁ、誰なんですか? 明らかにこの国の人の名前ではありません! まさかイルヴァ様、この国を出て他の国にでも行ったのですか?」



「滅相も御座いません」




 そんなことしたら、王様に嫌というほどに怒られるに決まっているからな。折角自由に身になったのに、また監禁生活になってしまう。



「では、誰なのです!?」




 レイナがぐぐいっと顔を寄せる。ち、近いっ!


 てか、なんでレイナはそんなに聞きたがるんだ?





「いや、つまりはそのぉ」



「もしかして、もう罪を犯してしまったのですか……?」



 震える声音でレイナが呟く。



 ん? 罪? 段々おかしな方向にいってる気が……。



「いや、そうじゃなくて。とにかく、言えないんだよ!」




「やっぱり!!」



 レイナがヒステリックな声を上げた。な、何だ、いきなり。




「イルヴァ様! 駄目ですよ、そんな事は絶対に許しません!! そ……そんな、いくらお城での遊びに飽きてしまったからって女の子と、大人の遊びだなんて……」




 おい。盛大に勘違いしていないか? どうやら、虹ヶ峯翔也というのを架空の女子だと思い込んでいるみたいだ。やっぱり、聞いたことの無い発音、アクセントだから男か女かな区別がつかないらしい。








 ――っていうか大人の遊びって何だよ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ