市街戦
上田「あっ!逃げた!?」
翌朝、装備を整え、弾も補充し、休養もとって万全な状態で再び進んだ俺達だったがウルフに遭遇した瞬間、相手は逃げ出した。
山下「折原、どう思う?」
山下が尋ねてくる。
良也「ウルフはバカじゃないからな、同じことをしたら昨日と同じことの繰り返しだと分かってるんだろう」
山下「では、戦いを避けたということか?」
良也「そうともとれるし、そうともとれない、ウルフは非常に仲間思いらしいからな、仲間の敵をとろうとするだろうから諦めていない可能性が高いだろうな」
山下「と、いうことは……」
良也「ああ、罠を張ってるかもしくは別の場所で仕掛けてくるだろうな」
佐藤「しかし折原さん、期限は明日までなので時間がありません」
良也「ああ、こうなったら罠があろうとなかろうと行くしかないな、佐藤さん、輸送部隊にゲートで待機するよう指示を、成宮さんに知らせておいてくれ」
佐藤「わかりました」
良也「よし、それじゃあ進むが、刀を持ってる桐原と桐谷を前衛にして進むぞ山下と結城さんはその後ろに、ペコと鈴浦さんが後方を警戒永松は遊撃で俺と佐藤さんと一緒に中心にいろ」
良也がテキパキと指示を出すと全員がそれに従って動く
良也「よし、進むぞ」
良也の号令と共に前進を開始した。
山下「見られてるな」
永松「ああ、」
結城「やっぱりそうですか?」
あれからニキロ程進んだが、良也達はウルフの者と思わしき視線を浴びていた。
「もうすぐ街に入るぞ」
旧市街地、アーケード街
佐藤「目標までもう少し、そろそろ着く筈です」
市街地に入り10分程してから佐藤が報告した。
それを受けて良也が指示をだす。
良也「佐藤さん、輸送隊に出発するように連絡を、ウルフへの警戒を怠らないよう成宮さんに伝えて、山下ウルフが襲って来て食糧が食べられたらマズイ、こちらから仕掛けるぞ」
佐藤「了解しました」
山下「分かった、桐原、永松とペコを連れて先行しろ、目標についたら、永松とペコを残してこちらに合流しろ、桐谷と結城さんは待機、周りを警戒してくれ、鈴浦さんは戻ってくる桐原の援護を頼む折原、後方の警戒は任せるぞ、永松とペコがポジションをとったらこちらから仕掛ける」
「「「了解!」」」
桐原と永松とペコの三人が走り出す。
周りを見るとウルフ達が建物の中を通りながら追ってきていた。
良也「佐藤さん、輸送隊はどのくらいで到着すると?」
佐藤「道路が舗装されていますし、私たちが安全を確保して来たので10分程かと」
そう言いながら彼女も銃を構えている。
良也「桐原、建物の側はお前の担当だ、上から来るぞ、気をつけろ」
桐谷「了解っ!」
そのまま警戒しながら進んで行くと桐原が戻って来た。
「「「グルルッ!」」」
その瞬間、周りの唸り声が大きくなった。
良也「来るぞ!」
良也が叫ぶ。
「ウオーン!」
群れのボスらしきウルフの叫びを合図に、一斉に建物からウルフが跳び出してきた。
良也「攻撃開始!」
銃声が廃墟と化した街中に響いた。