ミッションスタート!
「おい良也!聞いてんのか?」
そこまで思い出した所で俺は意識を現実に戻した、声のした方をむくと友人の桐原がいた。
「何だ桐原?」
「会長殿が御呼びだとよ、今から校長室に来いだそうだ」
「俺が?」
「ああ、とっとと行け 俺は飯食ってっからいつものとこに来いよ」
「わかった、………どうせろくなことじゃねーだろうが」
俺は桐原に返事をして校長室に向かった。
☆
(コンコンッ)
「入りたまえ」
ノックをすると嫌ったらしいほど落ち着いた声で返事があった。
「………失礼します」
とりあえず形だけでも敬語を使っておく
「来たか……まあ座りたまえ」
そう言って尊大な態度で椅子を勧めてきたのでおもいっきり音を立てて座ってやった
「………機嫌はよくないようだね」
「そりゃ仕方ないだろ?それよりお前だけか?」
俺が問いかけると会長ーーー移川 渡 はうなづいてみせた、
「安心したまえ、ここにいるのは君と私だけだ」
「……気味の悪いことを言うな、そしてその言葉遣いを辞めろ!?」
「それは無理だね、俺が私で有る限りは変わらないさ」
「胸を張って意味不明なことを言うな!」
俺が私で有る限りってなんだよ!
「まあ、落ち着きたまえ折原氏、コーヒーでも飲むかい?」
「飲む!そして口調を統一しろ!」
さっきから無駄な会話ばかりだな
奴はコーヒーを二人分入れて来て俺の前に置くと真剣な顔をして話し始めた。
「さて、今日君を呼んだのは他でもない、君達の部隊にあるミッションを頼みたいからだ」
「素直に命令だと言え、指令と言えばわかりやすいだろ」
俺がそう言うと奴はやれやれと首を振った。
「わかってないね、指令ではなくミッションだよ、スパイ大作戦を見たことがないのかい?」
ない、それに解りたくもないわ!
そう思った俺だったがぐっと堪えて話を進めることにした。
「それで?今度は何をすればいいんだ?ジャンプの確保か?それとも鬼の捕獲か?それとも野良猫集めか?」
俺が今までやらされたことを挙げていく、どれもろくなものじゃなかったが
「何を言っているのかね君は、私が一体いつ、そのような作戦を命じたりした?」
「三日前だ!そしてこの会話自体八回目だ!」
こいつの頭は何が詰まっているのか見てみたいな……ろくなもんが入ってないだろうが
「まあいい、それより私が頼みたいのはオペレーション6 だよ」
「おいまてこら、ミッションじゃなかったのか?」
俺がツッコムと奴は怪訝そうな顔を向けてきた。
「何を言っているのかね?時代はオペレーションに決まっているだろうに」
初耳だな
これがこいつの特技、ロストメモリー、まともにこいつが会話の記憶を持っていることはない、
それはさておき
「で?そいつは何をすればいいんだ?」
「何、簡単なことだよ、ここから三キロ先のスーパーから食品を運んで来て欲しい、むろん輸送部隊はつけるよ」
サラっと無理難題を押し付けやがった。
「何だよそれ、食料は学園の倉庫に備蓄があった筈だろ、なんでそんな急に必要なんだよ」
とりあえず、少しはマシな指令のようなので、聞き流さずに疑問をぶつけてみる。
「それが、賞味期限が厳しいものばかりでね、それで急遽食料の入手先を捜したら確か偵察部隊の話ではあそこはたくさん食料品があった筈だと思い出してね」
驚いた、存外まともな理由らしい
「わかった、とりあえずいつまでにだ?」
「あさってまでにだ、とりあえず給料日までの一週間を乗り切れる量があればいい」
「わかった、了解した、作戦は明日行う、輸送部隊は明日の朝に校門前に集合させといてくれ」
「わかったでは頼むよ、なお、諸君らがどのような状況に陥ろうと、当局は一切関知しないからそのつもりで、なおこのテープは自動的に消滅する」
「……………」
「グハッ!?」
最後に調子に乗った馬鹿を締めて終わった。