M16
ペラ一純文学です。お目目汚しにどうぞ。
教室の一番後ろで物思いにふける私。結局私と宮下君は結ばれることがなくこの高校生活を終わるんだ。そう思うと、寂しくなってなんだか昨日もらったばかりの卒業アルバムを開くのもためらう。でもいいか、みんなの寄せ書きをアルバムに載っけたから、それでも見てみよう。私が一番最初に目についたのが、やっぱりそれでも宮下君の寄せ書き。
「俺の青春まるごとM16」
何このわけのわからない暗号みたいなの。宮下君とは高校三年間一緒のクラスだったけど、想い出と言えばいっつも宮下君の好きなコの相談ばかり。でもそれでもうれしかったな。だってみんなの憧れの宮下君と相談のおかげで二人で一緒に帰ることもできたし。宮下君は美奈のことが好きだってことは知ってる。たぶんあのMって美奈のことだよね。出席番号も16番だし。結局宮下君は美奈のこと、ずっと見てたんだ。
私、梅田優子、18歳。高校3年生。なんの取り柄もないショートカットのボーイッシュな女のコ。そんな私に宮下君からメール。
ーー卒業式の後、梅田のLOFTにプレゼント買いに行こうと思うねん。付き添ってくれへんかなぁ。お願いするわぁーー
そんなんだから、私、余計切ない。
約束の日、私は宮下君と一緒に地下鉄梅田へ。そのとき、宮下君が指を差す。
「地下鉄の駅には番号がふってあるねんで。ほら、M16。着いたで」
「M16って何?」
「梅田」
「あの寄せ書きのM16って……」
「なんか恥ずかしいなぁ。M16って梅田さんのこと。寄せ書きに青春の想い出として書いておいた。俺の青春まるごと梅田さんやったってこと」
「でも、美奈のこと……」
「だって梅田さんと一番仲ええやろ? 梅田さんに近寄るには一番かなって」
それからお互いは大学を出て社会人になった。いつも利用する地下鉄御堂筋線のM16と書かれた梅田駅。地下鉄も電波届くようになったことだし、宮下君に電話しようとするけど、やっぱり最後の電話のマークのボタンが押せない。携帯の画面に表示される「宮下公一」の文字にときめく。このまま大切にこころにしまっておくとするか……
ありがとうございました。




